牛滝山~和泉葛城山~犬鳴山ハイキング

2015年6月27日(土)


忙しい日が続いていたが、昨日無事ひと区切り。久々の酒宴も盛り上がり、今日は遅くまで寝ているつもりだったのに、年のせいか、6時過ぎには目覚めてしまう。体調も悪くなさそうだし、天気も良さそうなので、以前から行きたかった、牛滝から和泉葛城山に登り、犬鳴山まで歩くハイキングに出掛けることにする。南海ハイキングMAPでも取り上げられている定番コースだ。



南海岸和田駅から、牛滝へのバスは、午前中にわずか2本。50分ほどバスに揺られて、牛滝山大威徳寺に到着。役行者が開創し、弘法大師が修行したという古刹だ。小学生時代には2~3度は来ているはずなんだけど、さっぱり記憶が残っていない。



大威徳寺の境内を抜けて、いよいよ山の中に入っていく。牛滝川にある、いくつもの滝を巡るように山道を登っていく。



子供の頃の牛滝は、飯盒炊爨のメッカとも言えるところだった。バスも、もっと頻繁に走っていたように思う。河原で飯盒で焚いたご飯を食べ、川遊びや虫取りで楽しく一日を過ごしたように記憶している。清流の様子は今も変わっていないように思う。



いくつかの滝を巡った後、いよいよ大の苦手の丸太階段の急坂が目の前に現れた。バスに同乗していた2人はとっくに先へ進んでしまったようで、前にも後にも人の気配は無い。体調は良かったように思っていたのだが、すぐ息があがり、足が引き攣りそうになる。何度も丸太に腰を下ろしながら、亀のような足取りで進んでいく。



「地蔵さん登山道」と呼ばれるだけに、丁石代わりに地蔵さんが設置されている。山道に地蔵、というのは珍しく無く、経験上、地蔵に出会うたびに手を合わせつつ息を整えていけば、ちょうどいいペースで山道を登れることが多いんだけど、登りがキツイのか、体調が悪いのか、とても次の地蔵まで息が続かず、地蔵の数以上に立ち止ってしまう・・・。



1時間以上掛かって、地蔵さん登山道をようやく登り切り、車も走る道に出てきた。スマホの歩行記録を確かめると、距離わずか2kmの登山道の標高差は600m以上あった。ハイキングの序盤だというのに、この疲れよう。犬鳴まで辿りつけるんだろうか・・・。少し不安になる。



緩やかな登りが続きとはいえ、2kmほどの舗装林道は、それまでの地蔵さん登山道と比べると全然楽チンなはずなんだけど、既に疲れが溜まって思うほどペースはあがらない。和泉葛城山の山頂付近からは、ブナ林を抜ける木製遊歩道を進む。



自然の群生そのままの葛城山頂周辺のブナ林は、国の天然記念物にも指定されている。葉が薄いのか、鬱蒼とした割には太陽の日射しが柔らかく地面にまで注がれている。



山頂へと続く最後の石段を進む。山頂には石の宝殿と呼ばれる葛城神社と龍王神社の2つの社殿が、背中合わせに建てられている。



かつて、金剛山を含めて、大阪府・奈良県・和歌山県の県境付近の山々を総称して葛城と呼んでいたらしいが、現在葛城山と呼ばれているのは2つ。金剛山の北に聳える大和葛城山が単に葛城山と呼ばれることが多いのに対して、こちらは和泉葛城山と呼ばれることが多いようだ。標高はわずか100mほど低いだけなんだけど、ロープウェイもあって人気のある大和葛城山に比べて、どうもこちらは影が薄い・・・。



山頂にある展望台は、大阪市内方面から、関空・泉南方面、さらには粉河や紀ノ川河口方面まで見渡すことができる360度パノラマの絶景スポットなんだけど、人の姿は無い。展望台に登ると、空の様子が怪しい。黒い雲が、関空や、その向こうの淡路島までを覆い尽くすように垂れ込めている。



和泉葛城山からは、紀伊高原スカイラインと名付けられた舗装道を進む。スカイラインというほどの開放感は無く、左右からの深い緑に囲まれた林道風の道だ。もっとも車も少なく、勾配も緩やかなので、歩きやすい。



あまり眺望も楽しめず、やや退屈な道ではあるが、今どのあたりを歩いているかが図示された案内板が設置され、ハイカーを励ましてくれる。



とても気になる歪んだ電柱を発見。最初から曲げて製作する理由も思いつかないし、曲がってしまった電柱を2本のワイヤーで引っ張っることで済ませているのも合点がいかない。何本もの電線が架けられた重要な電柱のように見受けられるが、大丈夫なんだろうか・・・。



五本松に到着。ハイランドパーク粉河、と名付けられた道の駅風の売店があり、その先には展望台や公園もあるようだ。粉河の農産物だろうか、立派な茄子やトマトなどの野菜や果物が売られている。



立派なスモモがひと山500円で売られていたが、さすがに荷物になるので躊躇って見ていたら、2個100円でばら売りしてくれた。とても赤く熟した2個を選んでもらい、歩きながらかぶりつく。熟れた果肉がとても甘い。



スモモの美味しさに気を良くして歩いていると、分岐点が現れた。ハイランドパーク粉河から20分ほども進んだところで、間違った道を、和歌山県の粉河に下る道を歩いてきたことに気付く。仕方なく再びハイランドパーク粉河にトボトボと戻るが、蓄積した疲労が急に溢れ出てくる。



犬鳴山に向かって、杉林のなかをひたすら石段を下りることになる。古傷の右股関節が痛い。右足を庇いながら歩くものだから、さらに腰とか背中まで痛くなってくる。



怖れていたことだが、ついに雨が降り出した。茂った樹木が雨除けになる林の中を歩いている間は良かっただが、舗装道に出ると雨を避けようがない。足は痛いうえに、ずぶ濡れになるが、途中で止めることもできないし、雨宿りするところも無い。



泉佐野の市の花にもなっているササユリも、雨に打たれてションボリしているようだ。



いよいよ犬鳴山の入口とも言える犬鳴隧道にやってきた。2~300mほどのトンネルは何とも薄気味悪いが、雨を凌ぐことができることが有難い。



犬鳴山七宝瀧寺。役行者が開いた日本最古の霊場なんだそうだ。深い緑に囲まれた渓谷のアチコチに修験道の行場がある。ゴールも間近になって、ようやく雨があがってくれた。



これは何だ?トロッコのような、エレベーターのような、山上に荷物を上げ下ろしするためのものと思われる装置が、不動尊や地蔵が並ぶ犬鳴川の河畔に設置されている。何十mはあろうかと思われる高所まで、レールが伸びているが、どうやって動かすものなのだろうか。下りる時は、ほとんど自然落下速度になってしまいそうだ。



義犬の墓。犬鳴山の由来となった伝説の主だ。しきりに吠える猟犬に怒った猟師が、犬の首をバッサリ切ったところ、その首が飛んで、猟師を狙っていた大蛇に噛みついたというお話。主人を守った犬を讃えているが、うるさく吠えたくらいで首を切るような酷い主人に忠節を尽くさなくとも良いではないか、 と感じてしまう。



犬鳴川にも多くの滝がある。とても美しい渓谷なんだけど、これらの滝場は、修験道の厳しい行場なんだと思う。



随分背の高い杉の木がある。38mの高さで、大阪府では最も高いものなんだそうだ。ガイドマップには「ノッポ杉」と書かれているが、もう少し良いネーミングがないものだろうか。

ゴール地点のバス停近くは犬鳴山の温泉街。温泉旅館で900円を支払って、日帰り入浴をさせてもらう。ぬめり気の多いお湯だ。掛かり湯もせずに湯船にドブンと入る宿泊客には随分憤りを感じたが、あまりの疲れで注意する気にもならなかった。



汗と雨でグタグタになった服も着替えて、小ざっぱりとした格好で、バスでJR日根野駅へ。意外なことに、泉佐野市が最近プッシュしている市のキャラクター「イヌナキン」を全く犬鳴山では見かけなかったのに、バスのなかで「イヌナキン」の車内放送が突然始まったのには驚かされた。

日根野駅前には、電車型の公衆トイレが設置されていた。



天気のせいいか、体調のせいか、それとも単に体力がさらに衰えたのか、随分疲れた。道を間違ったりでロスも多かったが、13kmほどを歩くのに6時間ほども掛かってしまった・・・。

南海ハイキングMAPでは一般向けになっているが、タフなコースだった。以前滑落してしまった玉川峡コースも相当厳しかったが、南海ハイキングMAPではやはり一般向けだったように記憶している。