立杭&篠山散策(直通バススタンプラリー)

2016年10月1日(土)


「丹波焼の里と篠山城下町を結ぶ直通バススタンプラリー」なるものを発見。立杭と篠山を結ぶバスに乗ると貰える台紙に、それぞれの観光スポットでスタンプを集めるという仕組みだ。立杭と篠山の間は約20kmなので、往路はバスに乗り、復路は歩くという作戦で、JR篠山口にやってきた。



JR篠山口駅前から、直通バスの始発に乗り込む。始発といっても11時26分発と、とても遅い。気のいい運転手さんに台紙を貰うが、乗客は他にいない・・・。



平成の大合併の先駆けとして、篠山、西紀、今田、丹南の4町が合併してできた広大な篠山市の南端にある立杭の里にやってきた。未だ今田町だった頃に訪問したことはあるが、記憶は朧気だ。周囲は山ばかりだ。



兵庫陶芸美術館。スタンプは入場しなくても貰えます、と台紙には書いてあるが、切符売り場で「スタンプだけ押してください」とは言いにくいんだよねぇ・・・。結局大枚1000円を支払って入場。となると、じっくり鑑賞させてもらわなければ割に合わない。広い館内を見て回ると、随分の時間が経っていた。



続くスタンプポイントの「陶の郷」でも、やはり入場料を支払って入場。う~ん、こんな調子では、篠山城まで歩いていく時間が無くなるばかりだと、慌てて立杭を後にして歩き始める。陶窯が立ち並ぶ道をドンドン北に進む。



これは登り窯のようだ。燃焼ガスの対流によって、陶器の大量生産ができる仕組みだが、これって古墳時代からあったものだ。高槻などの古墳の近くによく再現された登り窯が展示されている。



現役の住居としては稀少となってきた茅葺きの民家がごく当然のように建っている。山々の景色ととてもマッチして、全く違和感を感じない。



イガ栗が散乱している。実の入ってるものも多い。丹波地方をウォーキングしているとよくある光景だ。以前は拾って帰って、栗ご飯にしたりしたものだが、売り物の栗ほどに大きくなく、味も良くない。さすがに商品になっている栗は手の掛けようが全然違うようだ。



「花車」と書かれた石碑がある。説明板によると、相撲の力士の顕彰碑らしい。娯楽の少ない時代、相撲は大人気で顕彰碑を街道筋の目立つところに建てることがよくあったそうだ。




このまま歩いていては、篠山中心部に辿りつくのは16時を過ぎてしまう。これでは篠山城跡などを見て回る余裕が無い・・・。かといってバスは、1日に2本しかない・・・。えらいところに来てしまった。



結局、予定の半分の10km近くを歩いた後、篠山口から2駅南のJR古市駅を目指す。駅の近くに「不破数右衛門ゆかりの地」の看板がある。忠臣蔵で吉良方を何人も斬ったと言われる赤穂浪士きっての武闘派だ。もっとも、あまりの乱暴さゆえ、松の廊下事件当時は赤穂藩を追い出されていたいたらしい。



結局、篠山口まで電車に乗って、さらに篠山市街地まではバスに乗ってしまう。う~ん、これではウォーキングスタンプラリーになっていない・・・。が、気を取り直して、篠山巡りを楽しむことにする。まずは日本最古の木造裁判所だ。



元裁判官だった知り合いから話を聞いて、とても興味を持っていたところ。古い裁判所が今は歴史美術館として使用されているが、法廷は当時のままだという。



篠山郵便局の前庭にあった郵便ポスト。茅葺きの小屋の中に鎮座している。いかにも篠山って感じだ。



デカンショ踊りの像。市内のアチコチに見られるのが、篠山が世界遺産ならぬ「日本遺産」に選ばれたとの幟だ。文化庁が昨年から開始したものらしい。認定のタイトルが「デカンショ節に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」なんだそうだ。デカンショ、ってドッコイショと同じ、と聞いたことがあるが、ホントだろうか。



篠山城跡。かつて徳川家康が関ヶ原の戦いの後、大坂への抑えとして、西国大名を動員して天下普請で築城させたという。広大な縄張りだが、今や天守は無く、大書院が再建されているばかりだ。



大書院に通じる道を取り囲む石垣は高く、威圧感がある。壮大な城郭であったことが窺い知れる。



城跡の周囲には、今も武家屋敷跡が多く残っている。おそらく江戸時代にも同じような風景だったんだろうな、と思わせる街並みが続く。



もっとも、立ち並ぶ武家屋敷の表札はいかがなものか。どの屋敷にもお揃いのサイズで、「武家屋敷 木戸家」と、安っぽい木板の表札が掛かっている。表札の文字も、全然気合が入ったものには見えない。



解放されている武家屋敷「安間家」の裏庭に、水琴窟があった。先日、京都の河原町四条付近で見かけたものとは大きさは違うが原理は同じ。黒い石の上に水を流すと、地中の甕に水が落ちて、軽やかな音色が楽しめるようになっている。安間家は「十二石三人扶持」というから、下級武士のようだが、風流な庭を造ったものだ。



篠山の町中には、栗、黒豆、山芋、松茸など、おいしそうな地元の旬の特産品がズラリと並んでいる。さらにボタン鍋やキジ鍋などもあって、グルメも楽しめる。足の便がもう少し良ければ、さらに観光客がやってくるはずだ。



自動栗むき機なるものが店先に設置されている。ここで栗を買うと、このマシンで栗を剥いてもらえるらしいが、どんな仕掛けになっているのだろう・・・。



篠山口駅にバスで戻る。篠山口駅前の駐車場は終日500円。それよりも、駐車した人は料金箱の番号のところに各自お金を入れる仕掛けになっていることが、とても新鮮に感じられる。



歩行軌跡では23kmも歩いたことになっているが、このうち半分は、電車とバスに乗ってしまっている。結局篠山城周辺散策を含めて、合計12~3kmほどしか歩いてていないはずだ。



集めたスタンプは6つ。なんの変哲もないスタンプだ。4つ集めると記念品を貰える仕組みで、それ以上集めても何のご褒美もないのだが・・・。貰ったのは、立杭焼きのストラップ。