天の香具山スタンプラリー

2015年12月13日(日)


昨日、天理の観光案内所でチラシを入手した「天の香具山スタンプラリー」に出掛ける。スタンプポイントも不明だし、主催者も不明。ネットで調べると、台紙配布場所の記載だけは見つかったが、そのほとんどは、地元の商店と思しきところで、住所も定休日も不明。こんな頼りない情報だけで、大阪からわざわざ橿原まで出掛けるとは我ながら酔狂なことだ。



スタンプポイントが香具山エリアに集中していることは判っているが、3kmほど離れた近鉄大和八木駅で下車。駅前の観光案内所に情報があるかと期待したのだが、アテが外れた。仕方なく、平城京と藤原京を結んでいたという古代の道「下ツ道」をテクテクと歩いて香具山を目指す。



お房観音。橿原市のスタンプラリーではほぼ例外なくスタンプポイントになっているところ。ご住職も観光による町の活性化に熱心な方だ。しかし、ここでも何の情報も得られなかった。明日香村や今井町など天の香具山から離れた施設でも台紙が配られていると、関係者と思しきフェースブックには書かれていたのだが、こうなるといよいよ香具山まで行くしかない。



藤原京跡の先に香具山が見えてきた。大和三山の他の2つと異なり、少々平べったい丘陵状の山だ。持統天皇が、白妙の衣を見たのは、この角度からだと勝手に想像する。



藤原京跡。ちょっと見ただけでは、ただの広大な原っぱだ。平城京とほぼ同じ規模だったとのことだが、さあ、ここから先、どうするのだろうか。中途半端な再建では、逆に滑稽なことになりそうだ。



こちらは正三角形に位置した大和三山の北側の頂点、耳成山。



そして、西南の頂点となる畝傍山。標高200m弱とはいえ、大和三山のなかでは最高峰だ。3つの山を順々に歩いて頂上制覇するという、定番のウォーキングコースがある。何年か前にチャレンジしたが、登山している時間は僅かで、山と山の間の平地歩きが大半になる。



香具山エリアまで歩く間、いくつかの寺社に立ち寄ったが、スタンプラリーをしている形跡は発見できなかったのだが、ついに香具山の西麓にある畝尾都多本(うねおつたもと)神社に、スタンプを発見。手作り感満載の可愛いポスターは良いが、肝心のスタンプ台紙は見当たらない。



奈良文化財研究所(通称、奈文研)の藤原宮跡資料室にも立ち寄るが、スタンプ台紙は無いという。フェースブックには、台紙があると書いてあったのに・・・。



以前ソフトクリームを食べたことがある、ミルクが美味しいスイーツショップ。ここも台紙があることになっているのだが、もう無いという。他の台紙を置いてあると書かれている店の場所を聞いたが、判らないとのこと。打つ手無し、と思われたが、優しいおばさんが、アチコチ電話してくれたようで、橿原昆虫館にはあるはずとのこと。さっそく向かうことにする。



香具山を北西から東南に半周以上歩いて昆虫館に向かう。蝶の放し飼いや、昆虫のペーパークラフトなど、とても面白い施設なんだけど、今日は見学の時間はない。稲わらで作った巨大昆虫を楽しむだけにする。台紙を無事ゲットして、あらためて香久山方面に来た道を戻る。



かつては、桜井市の「安倍の文殊」と並ぶ「香久山の文殊」として信仰を集めたという興善寺。今は過去の隆盛も感じられず、香久山の東麓にひっそりと佇んでいる。



天岩戸神社。天照大神がお隠れになったため、世界中が真っ暗になったという岩戸の巨岩が祠の向こう側の竹林の中に見える。初めてここを訪問した際、ちょっと感動したものだが、その後、アチコチに天岩戸伝説の舞台と称する場所があることを知る。さらに考えてみれば、天岩戸事件は、天上の世界での出来事だったはずだ。なんてことを、ここまで来て考えるのは野暮というもの。しっかりとお参りする。



天岩戸神社から10分ほどで、香久山の頂上に登ることができる。山頂の眺望はあまり開けていないが、木々の隙間から畝傍山が確認できる。



香具山の西麓にある、天香山神社。「天香山」で「あまのかぐやま」と読むようだ。漢字が伝来する以前からあった名前なんだろう。漢字は後で付けたものだから、香久山、香具山、香山と、いくつもの表記が見られる。



橿原市のコミュニティバス。里中満智子の「天上の虹」が車体に大きく描かれている。持統天皇を主人公にした超大作のマンガだ。読んだことはないのだが、最近、30年以上に渡る連載が完結したとのニュースを耳にした。



あらためて訪問した奈文研でもスタンプをゲットし、畝尾都多本神社も再訪問。藤原京ができる前からあった古い神社なんだよ、と奈文研の方に教えていただいた。



聖徳太子が地蔵を祀ったと伝わる八釣山地蔵尊(興福寺)。



竈の神様を三柱お祀りしている三柱神社。



とまあ、アチコチ歩き回り、集めたスタンプは計10個。商店以外のスタンプポイントはあらかた歩き回ったことになる。色違いだが、スタンプはどこも「山に三日月、そしてKの文字」のデザイン。どうやら香久山のKのようだ。



スタンプは3つ集めれば、何かの記念品が貰えるらしく、6つで2個。それ以上はダメ、とある。10個集めても、貰える記念品は2つでしかないが、香久山をデザインしたお洒落な缶バッジを2つ貰った。



JRの香久山駅。単線の桜井線の、静かな無人駅舎だ。しかし、ここから訳あって、3kmほど先の近鉄の桜井駅まで歩かなければならない。



三輪明神のでっかい看板の向こうに三輪山が見える。今日は山の写真ばっかりになった。



実は、昨日の近鉄・阪神・山陽3社沿線クイズ&スタンプラリーで、山の辺の道を歩いたものの、ゴールの桜井駅でスタンプを貰い忘れるという失態を演じていたため。こんなチッチャな駅スタンプを貰うために、延々と歩いて来た訳だ。



今日の歩行軌跡。奇しくも昨日と同じく16km。もっとも、その半分ほどは、香具山周辺・山上でウロウロしている。



どうやら、このスタンプラリーは地域のボランティア有志で開催しているもののようだ。香久山近辺は、史跡や博物館なども多く、見どころたっぷり。もう少しPRに工夫を加えたら、遠隔地からの参加者も増えるんじゃなかろうか。半端な情報のチラシより、台紙を配った方がいいと思う。