2016年12月10日(土)
今年も近鉄・阪神・山陽の3社沿線クイズ&スタンプラリー(沿線散歩2016)の季節がやってきた。毎年10月~翌年5月初旬までという長い開催期間だが、スタンプラリーイベントが枯れ気味となる冬期に歩くことを常としている。
全10コースのうち、トップバッターとして選んだのは飛鳥。1ヶ月ほど前に「飛鳥の女帝と四神トレジャーラリー」でデジタル版、ペーパー版のファーストステージで計8ヶ所のポイントを歩き回ったばかりだが、最終ステージに進む前に力尽きてしまった。丁度今回のコースに、この最終ポイントも含まれているので都合がいい。
近鉄飛鳥駅に降り立つ。なんやかんやで、年に2回ほどはこの駅に来ているように思う。自宅からは随分遠い駅なんだけど、駅周辺には相当詳しい。
駅から歩いて10分ほどのところにある欽明天皇陵。日本に仏教が伝来した際の天皇として知られる。
欽明天皇陵のすぐ西にあるのが吉備姫王の墓。欽明天皇の孫か曾孫にあたり、紅玉天皇や孝徳天皇の生母でもあるのだが、そんなことより、この墓を有名にしているのが、墓所に置かれている猿石と呼ばれる石造物。
確かに猿のようでもあるが、外国人だとか、宇宙人だとか、まあ色々な説があるようだ。高取にも似たような石造物をいくつか見かけることができる。
鬼の雪隠。向こうに広がるのは白菜の畑だ。
もともとは鬼の雪隠の蓋の部分であったと考えられている鬼の俎。鬼の雪隠と俎で、石棺であったらしい。一体誰の石棺であったのかも分からないはずだが、宮内庁の管理になっている。
こちらは亀石。飛鳥を代表するメジャーな遺跡のひとつだが、立入を妨げる柵もなく、民家の裏庭にポツンと置かれているような感じだ。
飛鳥の典型的な散策ルートを辿って、川原寺跡へ。かつては飛鳥を代表するような大寺院だったそうだが、火災などがあって平安時代に衰退してしまったらしい。
川原寺の南が、聖徳太子の生誕地とも伝わる橘寺。ここから東に石舞台、北に飛鳥寺など飛鳥の見どころは多いが、マップに従って、ここでUターン。南西の高松塚方面を目指す。
高松塚壁画館。高松塚で極彩色の壁画が発見されたのが1972年。世紀の大発見として、大変なニュースになったことを覚えている。それから半世紀近くが建ち、壁画館も古ぼけた感じが否めない。静かなのはいいが、遠目には公衆トイレのようにさえ映る。
一方で高松塚古墳そのものは、随分草木も綺麗にカットされていて、逆に古墳感が無くなっているようにも思う。いやはや、この手のものは、新しくても古くても、色々と違和感を感じてしまうようで難しい。
文武天皇陵。在位中に大宝律令が完成している。藤原京から平城京に遷都する直前に崩御しているため、飛鳥に陵がある最後の天皇だと思う。次代の元明天皇からは奈良に天皇陵が築かれている。
檜隈寺跡からキトラ古墳にかけての1kmほど間、新たな散策路が整備されつつあるようだ。古民家や棚田なども再現したりして、歴史公園的な雰囲気にしていくようだ。
キトラ古墳。鎌倉時代あたりに掘られた盗掘穴から亀と虎の絵が見えたことからキトラと呼ばれるようになったと言われる。壁に描かれた四神や十二支の美しい絵や、天井に残る世界最古とも言われる天文図が発見され、高松塚を壁画古墳の主役の座から追い落してしまった。
高松塚とは比べものにならないような、展示館が完成していて、訪問客も高松塚壁画館を大きく上回っていた。
展示館の完成もあって、最近、飛鳥ではキトラを強力プッシュしているようだ。飛鳥歴史公園のスタンプラリーの5つ目として「キトラ古墳周辺地区」編が追加されていた。
キトラ古墳からテクテクと、壺阪山駅に向かう。1ヶ月前に歩いた高取の土佐街道は「かかし巡り」で大いに賑わっていたが、今日は閑散として人通りも少ない。
これは「かかし」だろうか。かかし巡りは終わったはずだが、町には色々なオブジェやら人形やらが多く残っていた。
壺阪山駅。レトロな雰囲気だ。「観光とくすりの町」という高取町のキャッチフレーズもどことなく古めかしい。でも、これでいいんだ。高取や飛鳥は、流行に流されることなく、日本の原風景的なものを残しておいてもらいたい町だ。
壺阪山駅で、今年度最初のスタンプをゲット。何の変哲もない、ありふれた改札印なんだけど、これほど日付や場所を証明できる信頼度の高いスタンプは、あまり無いはずだ。今年度もあと9つ、この無機質なスタンプをゲットするため何十kmも歩くことになるだろう。
「飛鳥の女帝と四神トレジャーラリー」の最終ポイントでは、飛鳥の女帝との邂逅を果たすことができた。スマホアプリでは、位置情報と画像情報を組み合わせて判定しているようだが、なかなか女帝が現れず苦労した。諦めかけたところで、突如女帝がスマホの画面に現れてきてくれた。
その点、ペーパー版のリアルスタンプは間違いない。世代のせいか、やはりバーチャルスタンプよりリアルスタンプの方が馴染みやすい。
もっとも、リアルスタンプも、盗まれたり、汚れたり、あるいはスタンプの在処が判らなかったり、スタンプのある建物が閉まっていたり、様々なトラブルが付き物だが・・・。
随分寒い日だった。壺阪山駅前で堪らず「里うどん」を食べる。このあたりの呼び名なのか、店の命名なのかは知らないが、里うどんとは、山菜うどんのことだった。