2017年1月22日(日)
かつて姫路に4年間住みながら、訪問できなかった家島諸島に遂に出掛ける機会がやってきた。もっとも寒いうえに雨を心配しなければならない天気で、パンフレットの「海と空のであう島」の表紙の写真のように、眩しい島並が楽しめるかどうか、不安を抱きつつ、家島に向かう船が出向する姫路港にやってきた。
姫路港のターミナル。ここから家島諸島や小豆島に向かっての定期船が出ている。
朝9時50分に家島に向かう「高福ライナー」に乗り込む。長さは20mほどだろうか、思ったより小さな船に、お客さんは10名程度。観光客と見られるのは、うち3名ほどだ。
姫路港から西南方向10kmほどの沖合にある家島の真浦港に27分で到着。漁業の島とのイメージが強かったのだが、意外なことに作業船がズラリと並んでいる。どうやら石材を運搬するガット船というものが大半のようだ。
最初に着桟した真浦港を乗り過ごし、入江の対岸にある宮港で下船する。ここから、入江に沿って、まずは北に向かって散策をする。入江のなかには小さな海水浴場が見られるが、さすがにこの季節に水遊びをする人がいるはずもない。
海苔の養殖場の前に、「詩を書き場」なるものがある。菅原道真が大宰府に向かう途中に、この岩場にて詩を詠んだという伝承があるところなんだそうだ。
島の北端にある家島神社。詩を書き場と同様、海岸ギリギリのところに、鳥居が建てられている。言い伝えによると、神武天皇や神功皇后も立ち寄られた場所なんだそうだが、瀬戸内の要所だけに、様々な人たちがこの島に上陸したであろうことは容易に想像できる。
家島神社に登る長い石段ではなく、その脇にある「天満霊樹」という原生林の中を通って、高台にある家島神社の社殿に向かう。
家島神社の拝殿に続く参道。 両脇の石灯篭の全てには、鹿の彫り物が施されている。
男鹿島。神戸沖人工島などの埋立土として、島の上部が削り取られて地肌がむき出しになっている。 真浦港で見かけた多数のガット船も、ここからの土を運び出すものではなかろうか。
男鹿島以外にも、地図にも載っていないような小さな島々が瀬戸内には浮かんでいる。晴れた日でなくとも、魅入られてしまう景色だ。
監館眺望。海上警備のために江戸幕府が番所を設置したところだ。入江の向こう側の真浦ばかりか、その先の瀬戸内海を遠く見渡すことができる。
眺望石なるものが設置されている。どうやら、この穴を覗くと、姫路城の天守閣が見えるということのようだが、正面の樹々に邪魔されて何も見えない。もっとも、今日の天候では、木が無くとも姫路の工場地帯が薄っすらと見えるばかりだ。
島の中の車の台数は、さほど多いようには見えないが、自動車が通れる道を避けて、 遠見遊歩道なるハイキングルートのような山道を歩いて南に向かっていく。
しばらくすると遊歩道が途切れ、入江の町に向かって下りていく。急な階段が海に向かって続いている。
多くの家々が狭く急な階段に面して建てられている。海浜の町にはよく見られる光景だが、ここの階段は相当なものだ。
宮浦神社。滋賀県高島の白髭神社から勧請されたものらしい。神社の前には、播磨の各地の秋祭りで見られる絢爛豪華な屋台が納められたガラス張りの倉庫が見られた。
入江の奥には、何百とも思える漁船が停泊している。不思議なことに同じ船名が多く見られる。蛭子丸なんて、20隻ほどは見かけた。
入江をぐるりと一周する。役場や学校、銀行など島の主要施設は家島の2つの地域、真浦と宮の真ん中に集中しているようだ。テクテク歩いて、真浦の中心と思われる真浦神社までやってきた。
真浦港からのメイン道路。道に沿って、写真屋さんとかクリーニング屋さんなどが並ぶが、日曜日のせいなのか、店の多くは閉まり、人通りも少ない。
公園の遊具。ペリカンは理解できるが、子供たちにとっていかにも人気の無さそうな茄子の遊具とは初めてお目にかかった。子供たちの好き嫌いを無くそうということなのだろうか・・・。
せっかく家島まで来たので、新鮮なお魚をいただく。鯛、鯵、鯖をお刺身にしてもらったが、美味い。特に鯖の「甘さ」には驚いた。
昼食を終えて店から出ると、空模様が怪しく、雨が降ってきた。もう少し家島を見て回りたかったし、坊勢島にも行きたかったが、引き時が肝心だ。来た時とは別の「高速いえしま」という船に乗って、家島をあとにする。
短い滞在時間で、大した距離も歩けなかったが、魚の美味さのせいか満足度は結構高い。いつか季節を変えて再訪したいものだ。