天狗岩南尾根【六甲山系】

 2023年1月17日


2年振りに天狗岩南尾根から六甲山上を目指す。スタートは六甲の山腹に拓かれたニュータウン、渦森台。ここをスタートにするのは、どうもチートっぽくて後ろめたさを感じてしまうのだけれど、住吉から渦森台までの自動車道をテクテク登ってくるのは実に億劫なのだ。



渦森台の住宅街のはずれから登山道へと繋がる道があるはずなんだけれど、なんだか注意標識ばかりが目立つゲートだ。こんなトコだったかなぁ…、と思いながら、ゲートの脇をすり抜けて山の中へと進んでいく。



案内標識がある。このまま進むと「西山谷(熟練者向)」とある。西山谷って、メチャやばいトコのはず。ポンコツハイカーが立ち向かえる道ではない。よく見ると微かに「天狗岩南尾根」の文字も読み取れるんだけれど、誰かの手によってほとんど消されている。



YAMAPによれば渦森台から天狗岩南尾根に向かう道は2本。以前下りで使ったのは、この道ではなくもう一本の方だったのだろう。しばらく進むと、西山谷と天狗岩南尾根の分岐標識が現れた。よしよし大丈夫そうだ。注意深く渡渉して天狗岩方面へと向かう。



ところが全然大丈夫な道じゃない。急斜面を攀じ登るような道が続く。もう一本の道は階段の多さに苦労したものの、こんな難路ではなかったはずだ。



不安な道が続くけれど、行けなくもない。GPSでYAMAPの登山道上を歩いていることが確認できるので、引き返したくなるような崩落しかけたトラバース道もロープにしがみつきながら進んでいく。



やれやれ、谷から攀じ登って尾根まで辿り着き、もう1本の登山道に合流することができた。神戸の町が見渡せるところで、ちょっとひと休みする。



あとは大した道ではないはず、と思っていたんだけれど、マイナーな道だけに藪に覆われたところも多い。



段差が大きい石段が多い。石段を作ってくれているだけ有難いことなんだけれど、古傷のある股関節にかかる負荷は大きい。



しかし登るにつれて勾配は緩やかになってきた。序盤の急斜面でのダメージも癒えて、ほとんど足跡が見られない林の中の道を快調に進んでいく。



ふとYAMAPの歩行軌跡を見ると、随分と端折られた直線状の軌跡になっている。たまにこんなことが起きるんだけれど、これはGPSの受信状況が悪いというより、スマホの負荷が高いせいだと最近気が付いた。スマホを再起動すると、細かな軌跡を残してくれるようになる。



天狗岩に向けての最後の登り。いつものことだけれど、目の前に青空が広がる頂上や尾根に向かっての登り道になると、どこからかエネルギーが沸き上がってくるような気がする。



天狗岩到着。アチコチに天狗岩なるものがあって、その名の由来は天狗が座っていそうな崖に突き出したような巨岩に名付けられていることが多い。でもここは、どこかの方向から岩を見ると天狗の姿に見えるという。でも未だにどこが天狗に見えるのかが判らない。



天狗岩を有名にしているのは、六甲山系屈指の眺望。特に夜景は素晴らしいそうだ。ケーブル山上駅からなら、少々暗くともほぼ舗装道ばかりなのでここまで歩いてくることは難しくないようだ。



六甲ケーブルの山上駅からガーデンテラスまでを繋いでいたロープウェイが休止されてから20年ほどが経つ。休止といっても、劣化は激しく天狗岩にあったという中間駅の面影も残されていない。運転再開する日が来るようには思えない。



無線塔。パラボラの数が多く、阪神間から六甲山を見上げたときに最も目立っている無線塔のひとつだと思う。でも、セキュリティのためか、多くの無線塔は、何の用途なのか、誰の所有なのか、という情報は現地でも開示されていない。興味あるんだけれどなぁ…。



かつて一世を風靡した六甲オリエンタルホテルは、完全に更地になってしまい、白いフェンスで囲まれている。眺望もいいし、アクセスも悪くないのに、六甲山中にはこの種の廃墟が少なくない。星野リゾートあたりが進出しても不思議はないんだけどねぇ…。



日本最古のゴルフ場、神戸ゴルフ倶楽部のなかを通る六甲縦走路。登山道とゴルフ場が隣接している例は数多いけれど、ここではゴルフ場のど真ん中を登山道が走っているため、安全のため歩道は鉄網で守られている。



日陰には少し雪も残っていたので、このあたりで下山開始。太陽に向かっていくように六甲ケーブルの山上駅へと続く林道を下っていく。



山上駅のすぐ西側にある登山道で油コブシへ。かつて油商人が険しい道のため油をよくこぼしたと言われる道だけれど、整備が進んだせいか、今では比較的歩きやすい道になっているように思う。



寒天山道から渦森台に戻ることも考えたけれど、さほど疲れもないので、ケーブルに沿ってケーブル下駅まで歩くことにする。



途中2度、「きつい道」と「ゆるい道」の分岐がある。なんとも挑発的な選択肢の提示だけれど、下りの場合は「ゆるい道」に限る。険しい下りは苦手だ。



油コブシとは道であると同時に、山の名前でもある。三角点はあるけれど、さほど山頂感のない油コブシという山が登山道の途中にあるけれど、つい見逃して通過しがちだ。



神戸の町を見渡しながら、ゆっくりと六甲ケーブル下駅へと下りて行く。



体調も良かったので、六甲ケーブル下からバスに乗らず、阪急六甲駅まで歩く。歩行距離は10.4㎞、獲得標高652m、所要時間は4時間48分。