ボストン散策

2018年9月8日(水)


マサチューセッツ州のボストンにやってきた。およそ30年ぶりのボストンだが、以前どこに行ったのかさえ、さっぱり覚えていない。仕事の合間の空き時間を精一杯活用して町を歩き回ることにしよう。市役所に掲げられた市章のように、アメリカでも最も歴史を感じることができる町だけに楽しみだ。



朝早く起きて、まずはダウンタウンの西側を歩き回る。アメリカ3大美術館にも数えられるボストン美術館だ。もっとも、この半年の間に、3つの美術館の前まではやってきたというのに、限られた時間のため、いずれにも入館していない・・・。



ボストン美術館は日本美術のコレクションでも有名なところだ。関係が深かった岡倉天心から名付けられたと思われる「天心園」という日本庭園まで併設されている。



美術館から野球場までのフェンウェイ地区の広いエリアが緑豊かな公園になっている。



公園の傍には、整然と並んだ、清潔感と風格とを兼ね備えた集合住宅が並んでいる。なんとなくハイソなイメージがあるボストンだが、他のアメリカの都市と同様、エリアによっては物乞いをする人がアチコチに見られたりもする。



ボストンレッドソックスの本拠地、フェンウェイパークスタジアム。現在MLBで使用されているなかでは、最も古い球場になるらしい。



築100年を超す歴史と風格が感じられる一方で、スペースも狭く、何かと不便も多そうだ。スタンドや階段など多くの球場施設の増設は、道路側に張り出すことで何とか凌いでいるようだ。



偶然かもしれないが、フェンウェイパークから宿泊していたホテルまでの間、レトロな雰囲気のボーリング場をいくつか見かけた。1970年代頃と思われる広告看板がおそらく当時のまま残されている。まあ、今となっては逆にクールなのかもしれない。



早朝ウォーキングの後、仕事を終え、夜のフライトまでの時間を利用して目一杯ボストンを歩き回るとしよう。まずボストンで2番目に高いビル、プレデンシャルセンターのスカイウォークと名づけられた展望台に上ろうとしたが、入場料20ドル。ドンヨリと曇った天気に躊躇して、チケット売り場で立ち去ってしまう。



ボストン図書館。長い歴史を感じさせる重厚な建物だが、裏手の閲覧室は近代カフェ風になっている。過去を大切にしながら、新しい文化も積極的に取り組むボストンらしい施設だ。



図書館の前にあるトリニティ教会も古い建物だ。ロマネスク復古調というものなんだそうだ。



さらに東に進むと、パブリックガーデンが現れる。アメリカ史上初の植物園なんだそうだ。外来を含む様々な植物が植えられているらしいけど、不自然さが全く感じられない。この地の植生と思わせるのが、高度な造園技術というものなんだろう。



パブリックガーデンの東隣がボストンコモン。こちらは最古の公園なんだそうだ。植物園と何が違うのか違いが判りにいが、どちらかというとメモリアルの色彩が濃いところだ。古い墓地などもあったりする。



マサチューセッツ州会議事堂。州会議事堂にありがちなドームが特徴的な建物だが、ドーム屋根が金色だが、これは23金の金箔が貼られたものらしい。



州会議事堂の裏(といっても、正面は観光地化しているため、裏手が実質的な入口)にある消防士慰霊像。いくつもの花が手向けられている。9.11が近いせいかもしれない。



ダウンタウンの中心部にポツンと立つ旧州議事堂。現在の議事堂と比べると随分と小さいものだ。1713年に完成してアメリカが独立するまでは、イギリスの植民地役場だった。今は博物館になっている。



ダウンタウンを一旦離れて、町の北部を流れるチャールズ川を渡ってネイビーヤードを見に行こうとしたが、ついに雨が降り出した。しかもチャールズ川を歩いて渡れる橋が判らない・・・。川を遊覧する水陸両用車両を見ただけでダウンタウンに向かってUターンする。



この水陸両用車によるダックツアーと呼ばれる市内観光は随分と人気のようで、どの車両もほぼ満席状態。陸に上がった姿は何だか頼りなさげだが、なんと元々は戦場で使われていたという高機能・高信頼性を有する車両らしい。



市内を巡る観光バスもユニークな形をしている。随分スリムで背高のっぽだ。客席は前から順に階段状になっていて、乗客の視界を極力優先させた設計になっている。



雨はどんどん酷くなってきて、羽織っているウィンドブレーカーを通してシャツまで水が沁み込んできた。スマホで雨雲レーダーを見るが、しばらくは止むように思えない。



雨の中をトボトボ歩いて、ダウンタウンに戻る。古くから開拓が進められ、アメリカ独立の重要な舞台となったところだけに、ボストンには随分多くの銅像が見られる。大部分は聞いたこともない名前なのだが、稀に知った名前を見つけると嬉しくなる。これはサミュエル・アダムズ。建国の父の一人だ。



クインシーマーケット。店舗やレストランが立ち並ぶ歴史的な市場で、ボストン屈指の人気スポットのはずだが、雨のせいか、意外と賑わっていない。



ボストンの港湾地区にやってきた。長らく国際貿易港として栄えているが、ダウンタウンに近いこのあたりではボストン港を回遊するクルーズ船など客船の姿が多くみられる。



ウォーターフロントには、水族館やホテルなどが並んでいる。大阪の天保山公園一帯も、ボストンのウォーターフロントを意識して開発されたのではないかと感じる。
こちらは子供博物館。チケットブースになっている建物は牛乳瓶をモチーフにしているのだろうか。



ボストン茶会事件の博物館。横付けされているのは、茶の貿易船を再現したもののようだ。英国の茶税に反発して、ボストン港をティーポットにすると、このあたりの海に膨大な量の茶が投げ捨てられたという。海はどんな色になったのだろうか。



本日の歩行記録。スマホのアプリを一旦停止しなかったため、途中10km以上は仕事中。じっとしていても、GPS位置情報の変動を拾って、狭い範囲をウロウロと歩き回っていたように記録されてしまう。



それにしても、雨のなか合計20km以上は歩き回ったことになる。さすがに疲れた・・・。汗と雨でグッショリのシャツのまま、空港に向かう。