2018年9月9日(土)
ロードアイランド州の州都プロビデンスにやってきた。マサチューセッツ州への移動前の休日を滅多に訪れることの無さそうな町で過ごすことにする。ホテルの周囲は、古い映画に出てくるような建物が並び、随分レトロな雰囲気の屋外広告も目立つ。
日本の国土面積よりも広い州が4つもあるアメリカのなかで、ロードアイランド州は最小。なんと滋賀県くらいの大きさだ。大西洋に面して発展してきた地域らしく錨が描かれた州章には、州のモットー「HOPE」の文字が刻まれている。
プロビデンスの町は、ウーナスクエアタケット川を中心に広がっている。川の名前は、おそらくインディアンが名付けたものなんだろう。この日の夜には、年に数度のWater Fireなるイベントが行われるらしい。川には、松明のような仕掛けが見られる。
小高い丘の上にロードアイランド州会議事堂がある。小さな州だが、州会議事堂はさすがに立派なものだ。他の多くのアメリカの州会議事堂と同様、ドーム屋根を持つ古典主義建築風のものだ。
その一方で、州会議事堂の近くにあるアムトラックの駅舎は、信じられないほどにシンプルな造りだ。何か倉庫のようにも見えて、到底州都の中央駅とは思えない。
ボストンやニューヨークなどに向かう列車も多く、東海岸の大都市の駅舎は利用者も多いはずだ。もっとも内部はそれなりにお洒落な造りになっている。
駅周辺を観察していると、丁度ボストン方面に向かう列車が発車した。2階建て車両を含む10両程度の列車だ。
プロビデンスの東側にある、アイビーリーグの一角を占めるブラウン大学に向かう。絵本に登場するような可愛い建物が並ぶ坂を登っていく。
9月といえばアメリカでは新入生が入ったばかり。学内では、ビラを配ったり、パフォーマンスを披露しながら、新入生をサークルに勧誘している。太鼓の同好会まで見られた。
ウーナスクエアタケット川の東岸にあるメモリアルパーク。第二次世界大戦や朝鮮戦争などで亡くなった兵士たちの慰霊碑が並んでいる。
ウーナスクエアタケット川には、観光客を載せたゴンドラが多く見られる。傍目には、いかにも不安定な船に見えるのだが、乗船している観光客たちは例外なく楽しそうだ。
一方で、カヤックに興じる人達も見られる。これはおそらく地元の人たちなんだろう。
川辺に下りるポイントなどには、どう見ても日本の鯉のぼりとしか見えない標識が立っている。何故プロビデンスに赤や緑の鯉のぼりがあるのだろう・・・。
工事現場の周囲に張られている幕には、何故か葛飾北斎の富嶽三十六景が描かれている。よく判らないが、誰かが日本の文化をこの町に広めているのかもしれない。
川に沿ってさらに進んでいくと、薪を満載した船が浮かんでいる。おそらく夜のWater Fireで用いるものなのだろう。
東に3kmほど歩いて、ロードアイランド・マサチューセッツの州境を越えるつもりだったけど、昨日までの疲れもあって、19世紀風の建物が並び、現代風のアートが散見されるダウンタウンに戻る。
ロードアイランド州のナンバープレート。あまり見かけないものなので、記念に1枚撮影する。海に面して、ヨーロッパからの移民、そしてアフリカからの奴隷を受け入れながら、工業化を進めてきた州らしく、キャッチフレーズはオーシャンステイトとなっている。
ダウンタウンの中心にあるプロビデンスの市庁舎。
市庁舎の斜め向かいの一等地には、大きなアイススケート場がある。もちろん、この季節はただの殺風景な広場でしかない。
ブラウン大学のシンボルカラーはその名のとおりブラウンだが、プロビデンスの町も、大概の建物は茶色になっている。ルールがあるのか無いのかは判らないが、町の色彩が統一されると、町全体が整然かつ清潔に感じられてしまう。
夕方も近くなり、徐々に町の中に人が増えてきた。Water Fireが始まるまで、一旦ホテルに戻り、夜に再び戻ってくることにしよう。
日中のウォーキングの歩行軌跡。10kmも歩いていないが、結構疲れたぞ。
さて、日もどっぷり暮れた頃、再びリバーサイドにやってきた。川の中に備え付けられた松明のすべてに火が入り、とても幻想的でロマンチックな風景だ。
川岸の堤防の上には、精霊流しを彷彿とさせるような小さな灯籠が並んでいる。多くの人がひとつ5ドルで灯籠を購入して、恋人たちの愛の誓いや、亡くなった方への感謝の言葉などのメッセージとともに置いている。
夜店の類も沢山並んで、賑わっている。行き交う人はカップルが圧倒的に多い。
まあ、こんな風景が川に沿って延々と続いている訳だから、自動車の脇見運転による事故も発生するようだ。この車などは、結構なスピードで橋の主柱にぶつかっている。
静かで小さな町だけど、プロビデンスは1日見て回るには、丁度いいサイズ。有意義な休日を過ごせた。