2018年9月22日(土)
ニューヨークで仕事をする際の拠点にしているホワイトプレインズ。市章には3つの年号が刻まれている。モヒカン族から土地を購入し植民が始まった年、アメリカが独立した年、そして市となった年だ。
マンハッタンから電車で30分余り、独立戦争では激しい戦いの場となった町だというが、今は静かな、でも退屈な町だ。いかに休日を過ごすか、いつも悩ましい。土曜日には道一杯に野菜などの露店が並ぶマルシェなども、年間30泊ほどもしていると飽きてしまった。
ということで、以前、ニューヨーク市との境からブロンクス川に沿ってホワイトプレインズまで北から南へ歩いたことがあるが、今日はその続きとして、北に向かって歩いていってみよう。
ブロンクス川に沿っては、遊歩道のように整備されたトレイルルートが整備されている。自転車のマークがあるが、自転車よりも走っている人が多い道だ。
9月といえば、ニューヨーク郊外では、秋のど真ん中なのだけど、走っている人達は皆半袖半ズボン。日射しはあるものの気温はさほど高くない。走ったり歩いたりするには絶好の天候だ。
ブロンクス川に沿って整備された道は歩いていてとても気持ちいい。でも、もう1ヶ月余りもすれば、寒くて歩く気にならないような季節がやってくるはずだ。
ブロンクス川を離れて、ホワイトプレインズのひとつ北の駅、ノースホワイトプレインズにあるメトロノース鉄道の車両基地までやってきた。見慣れた車両が随分たくさん並んでいる。
8kmほど歩いて、ノースホワイトプレインズの先にあるケンシコダムにやってきた。ブロンクス川を堰き止めたダムに公園が併設されていて、この付近の人たちの多くが休日を楽しんでいるようだ。お母さんたちが、ベビーカーの赤ちゃんをあやしながら運動をするという教室なんかも開催されていた。
公園には9.11の慰霊塔が建てられている。何気なく見ていると、日本人の名前がある。マンハッタンで勤務する日本人の多くがホワイトプレインズ近辺に住んでいるが、慰霊塔に刻まれた合計111名の名前のなかに、9名もの日本人名があった。
ケンシコダム。城郭の石垣を思わせる壁が反り立っている。この向こう側に水が湛えられているようには感じられない。
階段を上ってダムの上部にやってきた。ダムの堰堤の上は歩道になっていて、多くの人がダム湖の景色を楽しんでいる。
満々と水を湛えたダム湖。地図をひと睨みしたところ、3平方kmくらいの面積はあるようだ。水深も随分深いように見える。
堰堤の上から、ホワイトプレインズのビル群(写真中央)が少しだけ顔を出している。2時間ほども歩いてここまでやってきたが、車でなら15分もあれば余裕でやってこれそうな距離だ。
ケンシコダムから次なる目的地、ハドソン川に面したタリータウンを目指す。高架になった道でバルハラ駅の上を渡る。ホワイトプレインズの次の次の駅だ。2時間半も歩いてまだ2駅分しか進んでいない。駅間距離が長すぎる・・・。
遊歩道のようなものは無さそうなので、グーグルマップを頼りに、ごく普通の道を進んでいく。
道をテクテク歩いていると、全米で共通のものなのか、地域独自のものなのかは判らないが、様々な交通標識が見られる。
ケンシコダムとタリータウンの中間点、エルムスフォードの村にやってきた。さほど大きな村でもないが、ウェルカムボードが掲げられている。
大手モーテルチェーンのMOTEL6。調べてみると全米で1420もあるらしい。50年ほど前に創業した際、一泊を一律6ドルにしたことが、名前の由来だと聞く。30年ほど前には20~30ドルはしていたと記憶しているのだけど、今はいかほどの宿泊料金になっているのだろうか。
タリータウンに続く、州道119号線。随分だだっ広い道だが、歩道は無く、歩きにくい・・・。
ついにハドソン川が見えてきた。川岸に行くため、住宅街の中の道をウロウロするが、どこをどう進んでも行き止まりになる。川岸を走る鉄道を超えるところが無いのだ。
タッパンジー橋。築60年を超え、橋全体の立替工事が行われているため、新旧2本の橋があるうえに、工事のクレーン類も立っているようで、ゴチャゴチャしている。
タリータウンの駅にやってきた。この駅のなかの高架通路を渡って、ようやく線路を超えて川岸まで行くことができる。
ハドソン川。川岸まで来ても、なおタッパンジー橋の構造は判りにくい。この橋の正式名称は、かつてのニューヨーク州知事の名前が付くのだが、それに反発する人が多いらしく、皆タッパンジー橋と呼んでいる。
タリータウンからホワイトプレインズまではバスで帰る。2ドル75セントの定額料金だが、コインしか使えない。マンハッタン地下鉄のプリペイドカードで乗車する人が多いのだが、クオーターで11枚払う人が実際にいることに驚いてしまう。
本日の歩行軌跡。22kmのウォーキング。まずまずの距離だ。
ホワイトプレインズには、今後も度々と宿泊することになる。これまで東西南北の各方面に歩いたが、さて次はどこへ行こうか・・・。もっとも、もうすぐ歩きたくても歩けない冬がやってくる。