2020年2月15日(土)
映画「スマホを落としただけなのに」の封切りを記念して、阪神電鉄の3駅を対象としたスタンプラリーが開催されている。映画には興味もないし、歩き尽くした感のある阪神間だけど、寒いなか、他に行きたいところも見当たらない。珍しく消極的参加だ。阪神尼崎駅で最初のスタンプをゲットしてスタート。この後、西宮と御影に向かう。
阪神尼崎駅の北口には駅前としては結構大きな公園がある。今まで何度も来ていながら気付かなかったけど、植樹の陰に「工業の神」という石像があることに気付く。ハンマーとペンチを持ち、決死の形相で何かを製作している。30年ほど前まで尼崎って煙を吐き出す工場が並ぶ典型的な工業都市であったことを今更ながら思い出す。
尼崎駅前から出屋敷駅のあたりまで、長い長い商店街が続く。
国道2号線に向けて尼崎の西部を流れる蓬川の遊歩道を北に進む。とても気持ちよく歩ける道だ。
国道2号線を西進していると、奇妙な博物館を発見。シャレコーベミュージアムだ。長い期間を掛けて個人で収集した頭蓋骨とその関連グッズを展示しているらしい。お化け屋敷のようなものかと思ったが、館長は医大の名誉教授。頭蓋の専門家かもしれない。
武庫大橋。西宮市と尼崎市の境となる武庫川にかかる美しい橋梁だ。大正時代の建築だが、この時期に建てられた邸宅やビルと同様、優雅さと頑強さを兼ね備えている。阪神間モダニズムの代表建築のひとつだと思う。
アサヒビール西宮工場跡地。広大な敷地だが、カーディーラーなどのロードサイド店に加えて、マンションのようなものも建設されてきた。さらに病院が統合・移転されると聞いているけど、まだ土地は余っているはずだ。
阪神西宮駅で2つ目のスタンプをゲット。人形浄瑠璃のポスターが見られる。あまり知られていないことだけど西宮は人形繰り発祥の地なんだそうだ。西宮戎神社では、ときどき人形芝居が催されるという。
阪神香露園駅のあたりで、阪神電車と阪神高速は数十メートルの距離に近づく。狭いところでは30mくらいだ。2つの高架に挟まれて駐車場ばかりか住宅も結構建てられている。どうしてこんな半端な土地を残したのだろう。
打出商店街。打出の小槌伝説発祥の地とも伝わる。ここの商店街は約100mと相当短い。最近、日本一短いアーケード商店街をウリにしていた大阪の肥後橋商店街(79m)のアーケードが撤去されてしまった。打出は新王者の有力候補だと思うのだが…。
阪神芦屋駅の南、国道43号線に沿った小さな公園に「龍頭の泉」というものがある。阪神大震災の教訓から、道路沿いに空地を確保するとともに、初期消火のための蛇口を設置したらしい。もっとも、洋館の庭で使用されていた石造物を移設して、洒落た池まで設置してしまうのが、芦屋らしい。
芦屋川を東に越えて暫く進むと、神戸市の深江になる。このあたりが阪神大震災で阪神高速の高架が横倒しになったところだ。当時のニュース写真に強い衝撃を受けたことを覚えている。その後復旧された橋脚は、他区間のものよりも随分強固に見える。
阪神電車の深江駅。高架化の工事は完了し、古いホームが撤去されるのを待つばかりとなっている。地上線だった時の線路とホームを合わせれば、結構な幅を持つ長い長い空地が誕生するが、どのように利用されるのだろうか。要注目だ。
住吉川の西岸を走る六甲ライナー。魚崎より南では、レトロな灘の酒蔵群の風景とのハレーションを起こすので残念な存在なのだけど、魚崎より北側では、近代的なビルやマンションの景観にマッチしているように思える。
新型コロナでマスク不足が問題になっているが、「手作りマスク実習のご案内」のポスターが見える。
御影駅に到着。駅の高架下に霊泉「沢の井」がある。神功皇后が外征から凱旋したときに、この泉で化粧をしたと伝わる。事の真偽はともかく、町の真ん中にありながら清澄な湧き水を絶やすことのない沢の井が特別な泉であることは間違いない。
尼崎、西宮、御影で3つのスタンプをコンプリート。映画館がある駅がスタンプポイントになっているのかと思ったけど、御影には映画館はないはずだ。ご褒美は、映画のタイトルを書いたステッカー…。字だけの地味な色合いだ。
歩行距離は20kmくらい。アプリで見れば、細かな右左折や寄り道もしっかり記録されていることが判るのだけど、粗い画像に落としてしまうと、まったく面白みのない軌跡でしかない。