知明湖・山下城址(川西)

2020年2月24日


まだ寒さが残るなか、どうも出かけるのが億劫になってしまうが、ネットで入手した能勢電鉄の過去のハイキングマップから、これまで行ったことのない川西市の山下城址などを歩いてみよう。



スタートは能勢電鉄の日生中央駅。日生線の終着駅だ。かつて日本生命が阪急とともに開発したニュータウンの中核として建設された駅だ。



日生中央駅は猪名川町だけど、しばらく歩くと川西市に入る。



広い幹線道路を外れて、一庫の旧道に入る。日生中央駅を中心としたニュータウンとは対照的に、漆喰の白壁、石垣、木塀…、古い日本の風景が残されている。



一庫の集落を抜け、一庫ダムへの道を上っていく。坂の向こうにダム下流側の巨大な壁が見えてきた。



一庫ダムの完成により出来た広大な水域が知明湖だ。水力発電用ではなく、治水・利水用だけど貯水量はなんと3300万トン。今は釣りとかキャンプとかが楽しめるエリアになっているけど、この湖の底には多くの家々が眠っていることを忘れてはならないだろう。



ダムカードをもらおうと広報館を訪ねたが、なんと冬季は閉鎖しているようだ。やはりアウトドアを楽しむために冬場にこの知明湖を訪ねる人は少ないのだろう。



北摂里山街道の井補野トンネルを抜けてダム下流側に戻っていく。夏のトンネルは涼しいけれど、冬のトンネルは風もなく暖かい。



一庫ダムから流れ出る川は一庫大路次川(ひとくらおおろじがわ)という大層な名前が付いている。ダムの貯水量の割には、川幅は狭く、自然もそのまま残されているように見える。ダムからの放流水はどうなっているのだろうか。



一庫ダムから東に進み、山下城址にやってきた。道の傍まで城址の遺構が迫ってきている。室町時代後期、畿内が三好氏を中心とした大混戦状態にあったときに、この城でも激しい戦闘が繰り広げられたというが、土塁や堀切などの遺構が良く残されているという。



城郭は標高188mの小山の上に築かれていたらしく、主郭の周囲には曲輪がいくつも配置されていたという。小山の頂上に向けて整備された登山道を進む。



このあたりが主郭だったようだ。獅子山ノ城阯と書かれた石碑がある。調べてみると、この城は、どういう訳か異名が多く、山下城、獅子山ノ城以外に、龍尾城、一庫城、塩川城、多田城という名でも史書に登場するらしい。



不思議な計器が、頂上付近に数多く設置されている。イノシシなどの害獣に対するセンサーみたいなものだろうか。それにしては、ちょっと位置が高いような気がする。ひょっとして人間を監視するものかもしれず、そそくさと退散する。



山下城阯から南に向けての景色。北・東・西は山なので、南側から来る敵だけを見張っていればいい立地だ。三好長慶もこの城を攻め落とせなかったという。



城山のふもとでは、桜の花(たぶん)が綻びはじめている。出発当初は肌寒く感じていたけど、花や青空を見ているとなんだか身も心も暖かくなってきたような気がする。



川西市郷土館。もとは銅の精錬を生業としていた大正時代建築のお屋敷をそのままに利用した博物館・美術館だ。



山下城址から川西市郷土館に立ち寄るために、能勢電マップと異なる道を歩いたのだけど、なかなか本来の道に戻ることができない。まあ、景色もいいし、のんびりと進んでいくことにしよう。



本来の道に戻るためには、とにかく北へ行けばいいと考え、山の中に入り込む。静かな木立のなかにお堂などがあったりして、これはこれで面白い道なんだけど、一体どこに続く道なんだろう。



進めば進むほど山道は険しくなり、もはや道ではなくなってきた。さすがに引き返すしかない…。



北がダメなら、東に進むしかない。用水路に沿ってちょっと頼り無さげな道が続いているが、方向的にはこの道を進めば能勢電の光風台駅方面に続いているはずだ。能勢電マップには光風台駅が記載されているので、駅からなら本来の道に戻れる。



嫌な予感がしてきたぞ。用水路の右側に川が現れた。川の向こう側に線路が通っているはずなんだけど、川を渡ることができるだろうか。



ついに行き止まりになってしまった。川幅はさほど広くないが、無理に渡ったところで、崖をよじ登らなければ進むことができない…。グーグルで確認すれば光風台駅は200mほど先でしかないんだけど、来た道を戻るより他ない。



結局用水路沿いの道を2㎞ほど戻って、住宅が見えるところまで戻ってきた。当初予定とは全く異なるが、光風台駅に向かうことは諦めて山下駅に戻って今日はお終いにしよう。



住宅街で目に付くのは、ビンの分別回収のボックスがアチラコチラにあること。色によって3つのボックスが用意されている。ビンの色で分別しているところは、あまり知らない。それに常設のビン回収ボックスが彼方此方で目に付くことも他に例を知らない。



本日の歩行距離は11㎞。予定どおりには歩けなかったけど、これはこれで楽しい。山道では一度違う道を進んでしまうと軌道修正することは容易ではないことを改めて思い知る。来た道を戻って誤ったところからやり直すのが結局のところ最善策になることが多い。