宝塚ロックガーデン~中山最高峰

 2021年4月8日


阪急山本駅から宝塚ロックガーデンを目指す。中山最高峰を経て清荒神へと下山する計画だ。山本駅周辺にはハイカーのための案内標識も多く、安心して歩けそうだ。まずは最明寺滝方面へと向かっていく。



山本駅から10分ほども歩けば、早くも最明寺滝や満願寺へと通じる山道となる。静かな渓流に沿った簡易舗装の道を快調に進んでいく。



最明寺滝への分岐を過ぎて数分のところから宝塚ロックガーデンへと続く道が分かれるのだけれど、ここまで充実していた案内標識がこの分岐点には無い。山火事防止を呼びかける看板に誰かが書き込んだ小さな文字があるばかりだ。



行政サイドとしては、あまり気軽に立ち入ってもらいたくない道なのかもしれない。橋も粗末なもので、上に乗ると大きく軋む。



さあ、いよいよ岩稜地帯に突入する。宝塚ロックガーデンとも呼ばれる人気コースだけれど、市の観光協会のパンフレットには一切登場しないし、沿線のハイキングコースを網羅していると思える阪急ハイキングでもここを通過しないルート設定を紹介している。



小規模な岩稜をいくつか登った先にいよいよ大岩稜が現れる。斜度は30度以上ありそうに見える。大小の岩を攀じ登る芦屋ロックガーデンとは異なり、一枚岩を攀じ登る小野アルプスの紅山などに近いけれど、大小の凹凸があるので、四つん這いになることも少ない。



進む経路を誤らなければ子供でも登れるだろうけど、一歩間違えば大怪我になりかねない。風も強く吹く。ヤバいことに花崗岩の風化が進んでいて、砂利や剥落した石も多い。グリップの効く靴でないと滑りそうだし、他ハイカーによる落石にも要注意だと思う。



大岩稜を登り切って下を見下ろすが、斜度がキツすぎて岩稜の全貌が捉えられない。宝塚市や阪急がこのコースを案内しないもの判るような気がする。あまり苦労することなく登ってはこれたけれど、下りでこの道を使いたくはない。



本日最初のピークは、標高361mの満願寺西山。付近はミツバツツジのトンネルのようになっている。花が咲いた後に枝先に三枚の葉が付く。



次に目指すのは中山。どうやら中山というのは前方の山全体のことを指しているようで、山頂を中山最高峰と呼ぶことが多いようだ。確かに横一線でどこが最高地点なのか見分けがつかない連峰だ。



満願寺西山から中山最高峰までが随分と長い。人里離れた山中のようだけれど、実はすぐ近くの麓にまで住宅が開発されている。折しも宝塚市長選挙運動期間中のため、街宣カーによる候補者名の連呼が、こんな山の中にまでよく聞こえてきてウンザリとしてしまう。



阪急ハイキングのマップでは、このあたりが絶景ポイントとして紹介されている。確かに眺望は広がっているけれど、ゴルフ場を美しいと見るか、目障りと見るか、意見は分かれるところだろう。



路側に延々と金網フェンスが張られたところまでやってきたことで、中山最高峰に近づいていることが判る。それにしてもハイキング道の左右双方に設置されたフェンスは、何のためのものなんだろうか…。金網を越えて行っても何も無いようにしか見えない。



中山頂上(478m)に到着。昨年登ってきた時には無かった真新しい頂上碑が設置されている。それはいいけど、頂上碑に飾られた貯金箱や人形の類は何なんだろうか。間もなく風雨に飛ばされて山のゴミになるとしか思えない。



中山山頂から、連山の尾根を南下する。下山路だというのに、遠目で見たとおり、まるでアップダウンのない道が続く。



中山連山の至るところでミツバツツジが満開だ。



QRコードを利用して詳細な地図情報が見れるという林野庁の取り組みが紹介されている。が、試してみると「ご指定のページは見つかりませんでした」という林野庁からの冷たいメッセージが返ってくるだけだ。こんなことでは税金遣って環境破壊しているだけになるぞ。



こんなものあったかなぁ…。中山寺奥の院に近づくと「願掛けの石」を積んだものがある。長い年月と多くの人の手を経て石を積み重ねていったものには見えない。奥の院のお願い石は有名だけれど、これはなんだか急拵え感が強くて有難みを感じない。



奥の院を迂回して吾孫子の峰(445m)の頂上にやってきた。「伝説の山」と意味深な言葉が山頂プレートに記されている。古刹の後背にある山だけにきっと様々な伝承もあるだろうけど、この「伝説」を要領よく理解させてくれるサイトが見つからない…。



「枯木通行注意」の貼り紙が異様に多い。親身な忠告は有難いけれど多すぎやしないか。枯れ枝が頭上に落ちてきて怪我をすれば管理不行き届きだと訴えるような人が増えたのだろうかと勘繰ってしまう。そのうちに貼り紙だらけ、あるいは登山路封鎖になりかねない。



吾孫子の峰から下りてきたところ、歩きやすそうな舗装道に出くわす。こりゃぁ楽ちんだ、と喜んで歩いていると、自衛隊の演習場に付随した道路だと気づく。こんなトコ歩いてもいいんだろうか。



などと考えていると、迷彩色を施した何台もの特殊車両が砂煙をあげてやってきた。ごめんなさい、迷い込んだんです、と心の中で叫びながら道端に身を寄せ車両の通過を見送る。調べると、歩行者には通常開放されているYAMAPにも記載された道だったのでホッとする。



清荒神駅方面へと下山するつもりだったけれど、どこかで道を間違えてしまい、宝塚駅に向かって下山する。御殿山とかすみれが丘という高台にある住宅街を抜けて、長い階段を下っていく。段差が異なる階段が2本併設されている、あまり見かけない複線仕様だ。



住宅街近くの崖下にヒメツルニチニチソウが多数見られる。薄紫色の5弁の花びらが風車のように華麗なので、花には疎くともその名を覚えてしまったのだけれど毒性があるらしい。鈴蘭や水仙もそうだけど、好きな花には毒性のあるものが多いようだ。



本日の歩行軌跡。距離は10.6㎞、獲得標高720m。序盤の宝塚ロックガーデンから先は、あまり大した難所や見どころもなく、ややダレ気味の山歩きになった。