2021年4月15日
先日、久しぶりに六甲全山縦走路のハイライト、馬の背を歩いたところ、東から西へと歩く人が多いことに驚いた。縦走路を逆走するようで邪道だと思ってきたけれど、手っ取り早く須磨アルプスを楽しめそうな板宿からの道で西向きの須磨アルプスを試してみよう。
山陽電車の板宿駅をスタートし、賑やかな商店街を通り抜ければ間もなく住宅街を貫く坂道が現れる。なかなかの急坂だ。
急な石階段の先にあるのが板宿八幡神社。先日、1円玉のお賽銭は全部銀行に取られてしまう(最近枚数で手数料が決まるようになったらしい)というツイートの炎上で突如有名になった。1円玉の賽銭など要らないと横柄に言っている訳ではないんだけどねぇ。
神社の横手から、いよいよ登山道に入っていく。一部しんどい登り坂もあるけれど、総じて森の中を進む静かで歩きやすい道が続く。
登山道の絶景ポイントにはテーブル付きのベンチなども置かれている。おそらく地元の肩だろう、普段着で登っておられる人も見られる。喧騒に包まれた板宿商店街から40分ほども歩けば、心身リフレッシュには絶好のポイントまでやってこれる。
板宿駅をスタートして1時間で東山の山頂に到着する。ここで六甲全山縦走路と合流する。須磨から歩いて来れば、馬の背の余韻に浸りながらそのまま通り過ぎてしまいがちなところだ。
東山からゴツゴツした岩の道を下り、いよいよ馬の背にやってきた。岩を攀じ登ることから始まる東向きコースと違って、両側が切り立った崖となった花崗岩の痩せ尾根を歩いていくところから始まる。
遅い時間のせいか、馬の背を歩く人の数は意外にも少ない。痩せ尾根の上や岩登りのところで逆行する人とすれ違うのが厄介そうだと思ったけれど、幸い誰ともすれ違うことなく、ほぼ独占状態で馬の背を満喫できた。
西側から馬の背に向かうと、まずこの岩稜を攀じ登っていかなければならない。どちら向きに歩いても、それぞれに超楽しいところだ。兵庫県が誇る孤高の山岳家、加藤文太郎が神戸槍と呼んでいたというのだから、初心者から熟練者までが楽しめそうなところだ。
馬の背を過ぎ、横尾山に向かって登っていく。東向きに下っていく際でも厄介に感じる段差の大きな階段を登っていくが、太腿へのダメージが蓄積していく。
こんなトコあったかなぁ…。神経を使う下りの鎖場だけに記憶に残っていそうなものだけど…なんて思いながら、岩を攀じ登っていく。
急坂の連続で結構疲れた状態で横尾山に到着。まだ本日2座めでしかないことに愕然としてしまう。
横尾山を一旦下り、続いては栂尾山に向かう。またまた丸太階段の連続だ。まったく楽に登らせてもらえる山というのは無いものだ。
横尾山からは名物400階段で高倉台へと下りて行く。ここばかりは西向きに歩いていて良かったと思わせてくれるところだ。山中の丸太階段や石階段のように段差は大きくないので、途中で何度も息を整えなければ登れない階段をスイスイ下っていける。
高倉台を通過。以前は高倉山の一部だったところだというが、大胆に山を切り崩して住宅街が出来上がったところだ。高倉台のなかにあるスーパーは、六甲縦走の際の補給ポイントとして大いに重宝されている。
住宅街を通り抜け、高倉山まで急な階段が続く。しばらく登り続けたけれど、だんだん鬱陶しくなって、途中から直登を避け、遠回りして頂上広場に向かってしまった。
名物のカレーを味わう機会もないままに、高倉山の頂上広場にあった「おらが茶屋」は昨年末に閉店してしまった。縦走路上の案内板は取り外されるのではなく、黄色いカバーシールが貼られた状態だ。ということは、いずれ再開する可能性もあるということだろうか。
高倉山以降はもはや急な登り坂は無いはずだ。鉄拐山、旗振山、鉢伏山を経て須磨浦公園まで下りていくだけだ。この辺りにはウメバカシが群生している。とても行儀が悪く立っている木のようだけれど、高級炭として知られる備長炭の材料として重宝されるものだ。
鉄拐山の近くに気になる石標がある。「右:高倉山、左:下畑村」はいいんだけれど、「正面:鉄拐山」とある。正面って石標の向こう側だと考える人が多いと思う。登っていっても何もないのだけれどトレースは多く見られる。実際の鉄拐山は石標の手前側なのだ。
鉄拐山の山頂に向けて、おそらく本日最後になるであろう長い登り坂を進んでいく。
鉄拐山頂からの須磨方面の展望が素晴らしく、予定を変えて鉄拐山から須磨駅方面へと下りて行くことにする。旗振山経由で須磨浦公園駅に下りても、須磨駅方面に下りても、いずれも2㎞くらいの道になる。
初めて歩く道だと思っていたけれど、何だか見覚えのあるような気がしてきた。下山後調べてみると4年前の暑い日にこの道を塩屋まで歩いて登っていた。
早くもスズメバチが樹液を吸いに来ているとの真新しい注意看板が掛けられている。スズメバチは未だ先のことと思っていたけれど、今年は早そうだ。これから厄介な生き物との遭遇が増える季節になる。
スタートして3時間40分で山陽電車須磨駅まで下りてきた。カレー屋とかコンビニと並んで駅舎がある。そこそこ乗降客はあるはずだけど、隣接する店舗の倍ほどしか間口が無く、つい通り過ぎてしまいそうな可愛い駅舎だ。
本日の歩行軌跡。距離7.6km、累積標高は560m。