伊勢山(姫路市)

 2021年6月18日


今日のターゲットは姫路市の伊勢山。標高353mの低山とはいえ、急坂、岩稜、洞窟など変化に富んだ山歩きが楽しめるという。登山口には丁寧なコース案内もあり、登山道も良く整備されているようだ。西尾根から伊勢山・奥山と大きく周回する最長コースに挑戦だ。



移動に予想以上の時間がかかり、太陽公園の北にある登山口をスタートしたのは正午を20分ほど過ぎた頃。遅くなったけど焦らずいこう。可愛い人形が載せられた標識に導かれてまずは里山西コースに向かう。地域の方々によってしっかりと保全された山のようだ。



里山西コースは渓流沿いの穏やかなハイキングコース。20分ほどは穏やかな道が続く。体を慣らすのに丁度いい、と思っていたけれど、とにかく暑い…。これでは本格的な登りが始まる前にバテてしまいそうだ。



フライパンやら鉄板やら、登山道の脇の枝に吊り下げられている。熊などを追い払うために鳴らすのだろうか? あるいは何かの緊急事態が発生したときに登山者に危険を知らせるものだろうか?



少し寄り道して展望台まで登ってきた。姫路の市街地や瀬戸内海まで広く見渡せる。登山口から35分ほどで登ってこれるこの展望台まで毎日登山をされておられる方が多いようだ。



さらに北へ進み伊勢山に向かう。展望台を過ぎると、道も狭くなり、登山標識もショボくなってきた。たくさん見かけられた半鐘風のフライパン類も全く見かけなくなってしまった。



いよいよ本格的な登りが始まると思っていたところに現れたのは、まさかの激下り。うまく撮影できていないのが残念だけれど、尻込みしてしまいそうな長い急坂だ。幸いロープもあり、足の置き場にも困らなかったけれど、30mほど下るのに5分も掛かってしまった。



急坂で一旦高度を下げ、伊勢山の西尾根から頂上を目指す。林間では道が少し判りにくいところもあるけれど、赤テープが適所に付けられているので、迷うようなことはなさそうだ。



頂上に近づくにつれ、岩場が増えてきた。かなり急な岩稜も登場するが、適度に足を置くのに適当な窪みがあるので、ロープ無しでも問題なく登っていける。



頂上の手前で少し寄り道をして、「神座の窟」と名付けられた岩窟に入る。写真中央の狭い裂け目が入口なんだけれど、びっくりするほどの冷気が噴き出してくる。



半洞窟というのだろうか。大きな岩で囲まれた空間だが、3ヶ所ほど開口部があるため、ジメジメした感じはなく、窟外の景色も楽しめる。そして何よりも洞窟内はグンと温度が低くて、最高に居心地がいい。



神座の窟というけれど、洞窟内に安置されているのは不動明王などの小さな仏像だ。しかし宗教とは関係なく、眩しい光が差し込み清浄な風が吹き抜ける岩窟にいると、特別なパワーを貰えるような場所と感じられる。実際、ここでの休憩で随分と体力回復ができた。



もともと立ち寄るつもりだった空木城跡は、下り道が邪魔くさそうに見えたので断念し、伊勢山頂上を目指す。が、その後、行けば良かった…、と心に引っ掛かりを持ったまま歩き続けることになる。この歳になると、行けるときに行かないと一生行けないと考えがちだ。



伊勢山頂上。山頂標識はあるものの、眺望は無い。休憩するにも不向きなところなので、写真を撮影しただけで下山道に向かう。



東尾根コースから下山。いくつかのピークを登ったり下りたりしながら進んでいく。途中展望ポイントもある。



急な下り坂もあるけれど、危険な個所もなく、安心して進んでいける。坂の下にはイノシシやシカが泥で体を洗うというヌタ場があるとマップには書かれていたけれど、確認できなかった。



マップでは峠から登山口に戻るルートが紹介されているけれど、遠回りして奥山を経由して登山口に戻ることにする。「9丁目コース」という不思議な名前が付いている。この辺りに9丁目まである町は無いのに…。さらに「1丁目9班」という謎めいた標識も見られる。



奥山も280mの低山だけれど、頂上への道では岩稜が待ち構えている。ハイカーを飽きさせることなく、次から次へと難所(というほどでもないが)を繰り出してくる。



グリップも効いて歩きやすい初心者向きの馬の背状の岩稜なんだけれど、一歩踏み外せば、崖下に転がり落ちることは必定だ。



岩稜が終わると、巨石群が待ち構えている。尾根上に何百もある巨石の間を通ったり、上を乗り越えたりしながら進んでいく。



奥山山頂。かつては山城があったところのようだけれど、頂上には特に見るべきものもなく、眺望もない。このコースでは山頂ではなく、山頂に到る道や、岩稜、岩窟などがハイライトだ。



今にも割れて転げ落ちそうな危なっかしい岩もある。「だるま岩」と名付けられたものだ。



東尾根からの下山道分岐点にも「1丁目9班下る」の標識がある。一体どういう意味なのだろうか。まさか遠足の班ではないよねぇ…。町内会の班だろうか…。



下山道はザレ場やガレ場が続く。勾配も結構キツい。浮石だらけの道で躓いたり転倒したりしないよう、用心深く下山。下山したところは緑台「1丁目」だった。でも9班の意味は不明のままだ。



ほぼ標準タイムどおりに4時間近くかけて歩いたものの、距離はたったの5.5㎞、累積標高は564mとちょっと寂しい数字。でも、変化に富んで実に楽しい山歩きだった。山頂での眺望が無いせいか、あまり人気のない山だけれど、もっと評価されてもいいと思う。