六甲山(芦屋~万物相~横池~山頂~筆屋道~有馬)

 2022年1月16日


朝から軽い山歩きのつもりで出掛ける。阪急芦屋川駅からロックガーデン(中央稜)経由で万物相に行き、横池か風吹岩あたりまで登ってみよう。正午頃には下山するつもりなので水も食料も最小限の軽装で出発する。(その後、歩きながら目的地は変更を繰り返す)



年を追うごとにロックガーデンが苦手になってきた。古傷のある右股関節の可動域が狭くなっているようだ。今日も思うほどに右足が上がらず、岩に踵を引っ掛けることが何度か起こる。来るたびに斜度がきつくなっているような気がしてならず、すぐ息があがってしまう。



何とかロックガーデンをクリアし、風吹岩に向かう途中で万物相へと向かう道へと入る。「この先難路危険」との神戸市の看板があるのだけれど、自分の技量でも大丈夫だということは確認している道だ。もっとも英語ではさらに厳しく「Don't go!」とあるのだけれど…。



ピラーロックとも呼ばれる万物相。六甲山を代表する奇景だ。高座滝から地獄谷を登ってくるのが通常なんだけれど、熟練者向けの難路として知られるところだ。でも実は中央稜ルートから比較的安全に辿り着けることはあまり知られていないように思う。



ここは日本か?とさえ感じてしまう風化した花崗岩が立ち並ぶ奇妙な光景だけれど、向こうに見えるのは間違いなく芦屋の街並みだ。奇遇なことに、休日だというのに誰もおらず独り占め状態だ。長い時間、万物相のアチコチと歩き回る。



風吹岩。イノシシに出会うこともなく、猫の姿さえ見えない。どなたかが世話されておられる飲み水などはあるんだけれど、どうしたのかなぁ…。万物相も満喫したことだし、ここで高座谷から下山しようか…と思案する。



が、もう少し頑張って横池までは行ってみようと、以前から気になっていた行先案内の文字が消えた横池に向かうショートカットルート(地図上ではそう見えた)に初めて挑む。



地図の上では確かにショートカットなんだけれど、小さなピークを登ったり下りたり…。平坦な中央稜より時間は掛かるように思える。



横池(雄池)に到着。遠目にも随分と青色が濃いなあ、と思いながら池畔までやってきたら、なんと完全に氷結しているじゃないか。上に乗っても大丈夫じゃないかとさえ思えるほど、氷は分厚く見える。



雄池の西にある雌池にやってきた。雄池と標高は変わらないのに何故か氷は薄い。いつの間にか伐採されて見晴らしのよくなった雌池の畔で、ここから七兵衛山方面に下山するかどうか、しばらく思案する。



2週連続で七兵衛山というのも、どうかなぁ、と思い、雌池の北の道を抜けて再び中央稜へと向かう。ロックガーデンでは体調の悪さを実感していたはずなのに、すこしずつ目的地が遠くなっていく。雨が峠から東おたふく山経由で奥池に下りることにしよう。



目標の上方修正を重ねてはいるものの、そこそこ疲れていることは間違いない。中央稜に戻ってからも抜かれっ放し。晴天の休日の割にハイカーの数が少ないので、後方からの強いプレッシャーをあまり感じることもなく、余裕を持って道を譲れるのが有難い。



標高600mの雨ヶ峠あたりから残雪が見られるようになった。標高450mほどの横池が氷結していたのだから、900m超の六甲山頂は真っ白だろうな、と思うと、もう少し進んで雪景色を見たくなってきた。



東おたふく山経由の下山もパスして、さらに山頂に向かって歩いていく。いつもは気にならない渡渉も、あまりに水が冷たそうに見えるので、かなり慎重になってしまう。



結局、土樋割峠への分岐もやり過ごし、ついに六甲山頂を目指して歩いていることに我ながら呆れてしまう。標高は上がる一方で気温も上がってきたのか、大した積雪は見られないのだ。疲れたけれど、ベンチいっぱいの八幡谷と違って座り込めるところはほとんどない。



六甲山頂のすぐ下にある一軒茶屋に到着して、はじめて白一色の世界となった。芦屋を出発したときは、まさか雪のあるところまで登ってくるなんて思ってもみなかった。いい歳をして体力もないのに、行き当たりばったりの行動をとってしまった。



六甲山頂への道は溶けかけた雪でズルズル。無理して山頂まで行く必要もないんだけれど、ここまで来たら、という思いはどうしても抑えきれない。



ところが、意外なことに山頂までやってくると雪など全く見当たらない。日当たりがいいところなので早々に溶けてしまったのだろうか。



来た道で芦屋に戻るつもりだったのだけれど、距離的には有馬の方がかなり近い。問題は雪だ。有馬から登ってきたハイカーに確認して、注意すれば大丈夫との言葉を信じて魚屋道を下り始めるが、酷く凍結しているところもある。アイゼンを持って来れば良かった…。



魚屋道は、相変わらず崩落のため通行止めになっているところがあって、ちょっと厄介な迂回路を歩かされるけれど、総じて歩きやすい道だ。標高が下がるとともに雪も気にならなくなってきた。



半分くらい下山したところで筆屋道の分岐が現れた。「荒れている」との注意書きがあるけれど、もともとは一般ハイカーでも大丈夫の道で、一度歩いてみたいと思っていたところだ。悪い癖で、かなり疲れているというのに、またまた未知のコースに突入してしまう。



もとは整備された道だったのだろうけれど、かなり荒れているところが多い。賽の河原のような石がゴロゴロしているところを歩いたり、木が折り重なるように道を塞いでいるようなところをクリアして進んで行く。



下りばかりかと思っていたけれど、そこそこ登りもある。下山口の瑞宝寺公園まであと600m(10分)という看板が出てきたけれど、到底時速3.6㎞で歩けるような道ではない。時速2㎞も難しい歩きにくい道が続く。



六甲山を北に越えると気温が3度くらいは下がったのではとさえ感じる。有馬川の畔を歩いていると寒さが沁みてくる。こんなとこまで歩いてくるとは思っていなかったので上に羽織る防寒着もない…。



寒いし、お腹は空くし、足は痛い。やっとのことで瑞宝寺公園まで下ってきた。瑞宝寺が廃寺となり今では桜で有名な公園となっている。バスの時刻まで時間があるので、豊臣秀吉が使用したという石の碁盤などが残る静かな公園内をのんびりと散策する。



有馬温泉駅まで戻り、かなり混雑したバスに乗って夙川に戻る。歩行距離12.2㎞、獲得標高1200m、所要時間は休憩なども含めて7時間40分。



予定を大きく超える山歩きになってしまった。かなりの疲労を感じつつも、思ってもみなかった有馬まで、それもアチコチ寄り道しながら歩いてしまった。久しぶりに足も腰もガチガチに疲れてしまった。