鶉野飛行場跡&飯盛山(加西市)

 2022年2月27日


太平洋戦争当時の飛行場、鶉野飛行場跡に出掛ける。6年前に偶然ここを訪れて、古い滑走路が放置されているのを見て驚いたものだ。その後加西市が土地を防衛省から貰い受け、地域活性化に繋げようとしているらしく、折しもスタンプラリーも開催されている。ロシアのウクラナ侵攻の最中、戦争というものをあらためて直視する良い機会にもなりそうだ。



北条鉄道の法華口駅からスタート。1915年開業当時の木造駅舎ばかりか別棟のトイレまでが有形文化財に登録されている。カメラを抱えた鉄道マニアの姿が目に付く。



驚いたことに法華口駅から鶉野飛行場跡までの道路に延々と道案内のペインティングが施されている。道幅の半分ほども使っての大胆極まりない標識だけれど、加西市の力の入れ方がひしひしと伝わってくる。



さらに案内看板も新たに設置されているが。飛行場ばかりか、爆弾庫、防空壕、機銃座など、物騒極まりない施設が並んでいる。



爆弾庫が現れた。壁厚が70㎝なのに対して、天井厚が100㎝のアーチ状の構造で、上空からの爆撃を意識した設計になっているように思える。1トン爆弾にも耐えるものなんだそうだ。




スタンプラリーはスマホを利用したもの。戦時中の地図のうえにある飛行機マークがスタンプポイントだ。爆弾庫や防空壕などの戦争遺跡を中心に15のスタンプポイントが設定されている。



該当の場所でスマホ画面の飛行機マークを押すとスタンプゲットの画面がポップアップする。スタンプラリーの世界では、リアルなスタンプをデジタルスタンプが凌駕しているけれど、使いまわしではない絵柄を使用しているイベントは多くないだけに新鮮に感じる。



いつの間にやら「姫路海軍航空隊」の表札を掲げた正門や哨舎まで再建されている。立派なトイレも出来上がっている。個人的には「当時のまま放置」されているところが良かったんだけれど…。



敷地の周囲には神戸大学の農場や牧場が広がっている。家屋や倉庫もある。よくありがちな田舎の長閑な風景だ。



住宅に挟まれたように残されている地下指令所。空襲を避けるため、納屋か物置のような粗末な建物にカムフラージュされているけれど、この地下には爆風を避けるためのクランクなどを施したレンガ造りの頑強な部屋があるらしい。



1200mあるという滑走路跡にやってきた。広すぎて何が何だかよく判らない。ただのまっ平な広大な空き地に見える。以前来た時と何かが変わっている…。



滑走路跡横の道路が超グレードアップされている。歩道も随分と広いものが設置されている。この道が目に入って、古い滑走路の鄙びた雰囲気が台無しになっているように思える。ここから特攻隊として出撃した何十人もの若者たちの悲壮な思いは欠片も感じられない。



パンフレットに載っていた滑走路の写真。6年前に見たのもこんな感じだったと思う。道がグレードアップしたのに加えて、滑走路跡の草刈や凸凹の修復をしたのではなかろうか。おかげで滑走路が判らなくなってしまっている。余計なことをしてくれたものだ…。



ウズラノ少尉なるマスコットキャラクターもできている。でもこんなものより、以前立っていた「陸上自衛隊鶉野訓練場 次の行為を禁止する 1.土地の無断使用、2.ゴミ等の不法投棄、3.火気の使用」などと書かれた古ぼけていてなお威圧的な注意看板の方が良かった…。



滑走路の北端には当時の戦闘機「紫電改」が展示されている。防衛省に残された設計図をもとに復元されたそうだ。でもピカピカすぎるなぁ…。鶉野には老朽機の方が似合うような気がする。紫電を製作していた川西航空機の工場もこの鶉野飛行場に併設されていたようだ。



操縦席の模型も設置され、子供たちが列をなして前方の敵機に向かって機銃を放っている。思っていたのと違う…。明るすぎる…。地域活性化のために頑張っておられる地元の方の思いとは異なるかもしれないが、戦争の怖さや惨めさを実感できる場所であってほしかった。



滑走路脇にあった平和祈念碑は移設されて立派なものになっている。まだ整備途上のようだけれど、特攻隊員の遺書や、ボランティアのお婆さんが語っていた滑走路建設のために辛い作業に動員された経験談など戦争の負の側面を実感できる展示を充実してほしいものだ。



少し離れたところには自衛隊の練習機も展示されている。近くに自衛隊の青野原演習場がある関係かもしれない。戦時中は鶉野飛行場でわずか30時間の練習飛行が済むと前線部隊に配属されたそうだ。



機銃座の遺構には対空機銃が据えられている。実物なのか模型なのかはよく判らないけれど、他と異なりここだけは丸い機銃座に無理やり四角いパネルを設置して立入できないようにしている。



どうしたことか最後のスタンプポイントは少し離れた県立フラワーセンター。賞品応募に必要なスタンプ10個は既に獲得済だけれど、全スタンプをコンプリートしたいというスタンプラリーストの血が騒ぎ、延々と歩いてやってきた。



ここまで来たもうひとつの理由は、公園内にある飯盛山(写真左奥)に登ること。YAMAPを始めてピークハンターになってしまった。これを登れば兵庫県内だけで241座めになる。なんとか300座を達成したいものだ。



標高122mの飯盛山。さほどの苦労もなく登ってきた。入場料400円(JAF割引適用)払ってまで登る山だっただろうか。フラワーセンターとはいえ、梅もまだチラホラ咲きだったし…。かなりマイナーな山を潰していかないと300座の達成は難しいのだ。



法華口駅から4㎞以上も北にあるフラワーセンターまでやってきたものだから、帰りが大変。西側に見えるのは加西アルプスの山々だ。久しぶりに登ってみようかな、などと思いながら何もない道をテクテクと歩く。



歩行軌跡。南端が法華口駅、東側の右上に伸びる直線が滑走路跡、最北部がフラワーセンターだ。歩行距離は13.7km、所要時間は4時間。



15ヶ所のスタンプポイントすべてを制覇。10個以上はいくつゲットしても同じことなのは判っているけれど賞品目当てで歩いているのではない。達成感が大事なのだ。車やバイクで走り回っている人も多く見かけたので、きっと応募者は多いはず。期待せずに結果を待とう。