鳴川峡〜十三峠~服部川(平群町・八尾市)

 2023年12月1日


平群町の元山上口駅から鳴川峠を目指す。平群町のイメージキャラクターとして、時代も立場も全く異なる島左近と長屋王の2人が仲良く並んでいる。政治の中枢にあったものの藤原氏の陰謀に斃れた長屋王の墓所が平城京から遠く離れた平群にあるとは知らなかった。



先日は生駒から鳴川峠まで歩いて、大阪側の瓢箪山に下山したのだけれど、今日は逆に奈良県側から鳴川峠へと登る。その間にある鳴川峡というのが、石仏、紅葉、渓流の三点セットが楽しめそうな道なのだ。ちょっと老朽化してはいるけれど、しっかりとした道標もある。



しばらくは田園風景のなかの緩い坂道を登っていく。狭い平地を利用しての耕作が行われているけれど、未だ稲刈が済んでいない田んぼもところどころに見られる。晩稲だとしても遅すぎやしないかとちょっと心配になってしまう。



自然豊かな渓谷の道に不似合いな、白い高架橋が現れる。信貴フラワーロードというものらしい。こんなトコに、あんな立派な道路がいるのか?とも思ったけど、調べてみると広域農道で歩ける道らしい。あの橋の上から峡谷を見下ろしたいものだ。



渓流沿いの道を進むけれど、あまり良い写真が撮れない…。そもそも倒木が多いし、ゴミ(不法投棄?)も多い。撮影するのに丁度良さそうな橋は老朽化して立入禁止になっている。それに紅葉と渓流と石仏が勢揃いするような都合の良いトコも見当たらない…。



現地に行けば案内板くらいあるだろうと思ってやってきたんだけど、ほとんど案内板の類は見当たらない。どこにどんな石仏があるのか、よく判らず盲めっぽう歩きまわるけれど、いくつも肝心なものを見逃したように思う。



役行者が大峰山を開山する前に修行していたため「元山上」と呼ばれる千光寺。門前には仏道修行や山伏修験者養成などを目的とした修行道場も開設されているとある。鳴川渓谷のすぐ北に「行場道」というヤバそうな道がある。



紅葉も美しく色づいている。でも渓流と紅葉のセットでさえ、なかなか同じ画角に入れ込むことが難しい。



いつの間にか水の音が聞こえなくなってきた。前方の木の隙間から空の色が見える。ということは峠ももうすぐということのようだ。



5日ぶりの鳴川峠。前回はここから大阪側に鳴川谷を下山したのだけれど、今日は山稜を南へ進む。それにしても、大阪側へと流れる川が鳴川、奈良側も鳴川峡というからには鳴川なのだろうか。同じ川であるはずはないのだけれど…



おそらく植樹されたものなんだろうけれど、信貴生駒ドライブウェイに沿ってのモミジが圧倒的に美しい。登山道に自生したモミジとはちょっと違う。人工的に創られたものより、人の手が加えられていないものを美しく感じるべきなのかもしれないけれど…



目標は高安山、あわよくば信貴山まで歩きたいものだけれd、微妙なアップダウンの繰り返しに足腰の疲労を感じ始める。それより問題は日没時刻。この季節、できれば16時、最悪でも16時半までに下山を完了させないとヤバイ。



古いものだけれど、ところどころにベンチが設置されている。道沿いでも展望個所でもない、ちょっとした空地にベンチが置かれている。



さらに不思議なのが、コンクリート製のキノコ型ハウス? 大人2人も入れば満員状態。中にはベンチもないので、休憩場所とも思えない。考えた末の結論は、風除け、雨宿りのためのシェルターではないか、ということ。あるいは、単なる遊び心での造形だろうか…。



登ったり下ったりが続く。隣接して走る信貴生駒ドライブウェイ(歩行禁止)は随分と平坦で歩きやすくみえる。六甲縦走路でも、登山路を歩くのが鬱陶しくなって自動車道を歩きたくなるところがある。



登山道とドライブウェイの間に突如、立派な展望台が現れる。こんなものあったっけ〜?鐘の鳴る丘展望台というらしく、一時流行った恋人の聖地として建てられたようだ。大阪平野を見渡す展望台には永遠の愛を象徴する?南京錠がたくさん架けられている。



鐘まで設置されている。風が強くて結構怖いぞ。このような歴史性も物語性も無い聖地やパワースポットの乱造には、違和感を覚えてならない。神戸のビーナスブリッジでもNYのブルックリン橋でも南京錠は禁止しているけど、こんな閑散とした山中ならまあいいか…。



生駒縦走路の扱いはちょっと酷い。並行する信貴生駒ドライブウェイの顔色を窺うように、とにかく邪魔にならないよう、隅っこを歩かされる。高い通行料を払っているドライブウェイが幅を利かすのは仕方ないかもしれないけれど、登山道の方が古くからあるはずなのに。



まだ15時前だけれど、日没までの余裕を見て十三峠から八尾側へと下山する。13の古墳が並んでいたことから十三峠というらしいけど、どこが古墳なのやら、さっぱりわからない。



十三峠ハイキングコースとの案内標識のある道を下っていく。紅葉と時折り見える大阪平野の眺望を楽しみながら、のんびりと下っていく。



水呑地蔵院に立ち寄ったところで、道が判らなくなった。舗装道しか見当たらない。やむなく歩いていくが、たまに通行する車はかなりスピードを出していて、道路の端っこの超歩きにくいところを恐々進んでいく。



どうもおかしい、と思ってYAMAPを確認すると、やっぱり全然違う方向に進んでいた。何度同じようなことをしただろうか。今更戻ることもできず、遠回りは承知で進むしかない。



バイク通行禁止看板なども出てきて、ここって歩いていいトコなのか、不安になる。後に判ったことだけれど、バイクと大型車のみ通行禁止で、自転車・歩行者はOKらしい。でもどうしてバイクだけダメなんだろう…。



八尾市街地の東端、神立というところに下山。湿度のせいだろうか、15㎞は離れているはずの大阪市内の高層ビルがすごく近く見える。2時間もあれば歩いていけそうな気さえする。



神立は古くからの町のようだけれど、路線バスも見当たらない。最寄りの近鉄服部川駅がひどく遠く感じられ、駅到着は日没寸前の16時半だった。歩行距離13.2㎞、獲得標高720m、所要時間は5時間20分。