中山連山(宝塚市)

 2024年1月14日


3年ぶりに中山連山に向かう。阪急山本駅から中山寺まで、馬蹄形に連なる山々を反時計回りに縦走したい。一昨日飲みに行った会社の後輩が中山連山に囲まれた住宅街に引っ越したことを聞き、そういや長らく中山連山に登っていないことに気付いた次第だ。



山本駅でその後輩と思いがけず出会う。出発が11時半と遅くなったし、ポンコツハイカーにはそこそこタフなコースだけれど、いつもの最明寺川に沿って歩くのではなく、急斜面に拓かれた平井山荘(町名!)の奥にある燈明山に立ち寄ることにする。



住宅街の急坂を誤った方向へと登ってしまったりして、ちょっと手間取ったけれど、平井山荘の奥にある公園で燈明山への山道への案内標識を発見。手作りの素朴なものだけれど、登山道はよく整備されているようだ。近隣の方々に大切にされている山であることが判る。



山のほぼ頂上付近まで住宅の開発が進んでいるので、登山口から僅か歩いただけで稜線に出ることができる。わずかなアップダウンしかない稜線をのんびりと数分歩くだけで西燈明山(194m)、中燈明山(196m)、燈明山(205m)の三座のピークをゲットする。



燈明山の山頂には、簡易なベンチが何脚も設置されている。阪神間に多く見られる毎日登山への取り組みがここでも行われているようだ。



山頂のすぐ西側には最明寺滝があるはずだけれど、上から覗き込めるはずもなく、水の音も聞こえない。さらに西に目をやると、これから向かう宝塚ロックガーデンとも呼ばれる岩稜が見える。



燈明山から最明寺滝を大きく迂回するように、谷道へと下山していく。サンヨー電機の創業者井植歳男が所有していたことから井植山荘と呼ばれる邸宅の門がある。山林を含めた敷地面積は、な、なんと10万坪!。実は長らく平井山荘も同じようなトコだと思っていた…。



宝塚ロックガーデンへの道には標識の類がない。気楽に行かないでほしいということだと理解している。宝塚市のHPにも登場しないし、阪急電鉄のハイキングでもこの道を避けているようだ。分岐点にある火の用心の看板に、誰かが「←中山連峰」と書いてあるのみだ。



宝塚アルプスの手前に、厄介な丸太橋がある。安直な進入を拒むかのように、乗ると大きく撓る危なっかしい橋だったのに、いつの間にか、丸太橋の横にしっかりした板橋が掛けられている。どなたかのボランティアによる手作りの橋のようだけれど、実に有難い。



いよいよ宝塚ロックガーデン。この種の岩稜は得意ではないのだけれど、過去3度ほど歩いた記憶では、ここは道どりを誤らなければ、割とグリップも効いて、なんとか危なげなく歩けるはずだ。



が、登り始めると記憶していたよりも斜度がキツく感じられ、ちょっとおっかない。横から見た斜度はこんな感じ。30度くらいはあるように見える。滑り落ちようものなら大事故必至だ。



この岩稜を下るなんて御免こうむりたいと個人的には思うのだけれど、既に13時を過ぎ、この岩稜を下山してくる人が多数いる。10人以上のグループが横に広がりながら下りてくる。登山の基本は登り優先とはいえ、落石も怖いし、下山組が過ぎ去るのを待つ方が無難だ。



個人的な経験でいえば、この種の岩稜を登るには、上を見上げることを極力避けて、ひたすら足元だけを見ながら登っていくことだと考えている。見上げると体重が後ろに傾き、不安定さを増すのだ。が、上を見上げなければ、どこを進むべきかが判らない…。



岩稜を登り切ると、地味なアップダウンが続く尾根道となる。正面にあるピークは満願寺西山(361m)。早くも疲れが感じられて、ちょっとした登り坂が堪える。



春にはミツバツツジが美しく咲き誇り、ピンク色のトンネルのようになる道だけれど、今は殺風景な道が続く。この辺りから歩くことに倦んでくる。



この尾根道の北側にはいくつものゴルフ場が並んでいる。ゴルフ場の開発により、数多くの山が削られ、消えたことだろう。様々な意見があるだろうけれど、ハイキングとゴルフの双方を楽しむ立場から言わせてもらうなら、今くらいのバランスが丁度良いようにも思う。



尾根道の南側には、近年開発された住宅街が広がる。この尾根道は、住宅街とゴルフ場との間の障壁のようになっている。



長尾山(390m)を過ぎ、中山最高峰が近づいてくると、金網フェンスが現れる。このフェンスが意味不明なのだ。ハイカーの安全確保、敷地侵入防止、獣除け…、どれも腑に落ちない。ただこんなフェンスが2㎞以上も続くのは閉塞感もあって気持ちの良いものではない。



中山頂上(478m)到着。正確には、この辺りの山の総称が中山なので、中山最高峰というべきらしい。六甲山と同じだ。個人的にはややこしいので、ここが中山の山頂ということでいいんじゃないかと思うんだけれど…。



既に疲れたこともあり、中山最高峰からは見どころもなく意気のあがらないダラダラ歩き。ペースもどんどん落ちているように思う。予定をかなりオーバーして中山寺奥の院に到着。



長い山歩きの末に立派な建造物まで辿り着くと、もうすぐ麓だと思いたいのだけれど、奥の院は未だ標高350m。しかも石仏が多数立ち並ぶ奥の院から中山寺までの道は、疲れた足腰には辛く険しく長い道が続く。



夫婦岩展望台。標高は250mほど。中山寺参拝のついでに、この辺りまで登ってくる人は多いようだ。大した展望ではないけれど、奥の院まで歩くとなれば、ちょっと覚悟が必要だ。



正面遠くに大阪の高層ビル群が見える。下るに従って道は緩やかで歩きやすくなってくるけれど、足腰の疲れは顕著だ。しかも予想以上に時間が掛かって、日没までのカウントダウンが始まる。



重い足を引きずるように下山してきた中山寺では既にライトアップが始まっていた。既に日没だというのに、山へと入っていく何人かとすれ違う。ヘッドライトがあっても、石がゴロゴロする道は大変そうなんだけど、毎日のようにトレーニングに使っている人が多そうだ。



JR中山寺駅でゴール。歩行距離11.9㎞、獲得標高780m。所要時間は6時間20分。思っていたよりも1時間ほども遅い。まさか日没と競争しながらの下山になるとは思わなかったけれど、これ以上早く歩いても楽しいとは思えないし、今や歩ける自信もない。