薬大尾根から七兵衛山【六甲山系】

 2024年1月9日


先日は岩だらけの道(柿谷道男坂や苦楽園尾根)に苦戦したせいもあって、今日は岩の少ない薬大尾根を登ることにする。比較的アクセスが悪いせいか、マイナー登山道の感が強いけど、神戸薬科大学からの道は決して荒れておらず、急坂とはいえ眺望の良い快適道なのだ。



神戸薬科大学の裏手から山道に入る。イノシシの檻が設置されている。随分大きなものなのだけれど、まさかクマ用ではあるまい。いやクマ用もイノシシ用も同じスペックなんだろうか。もう3年ほどもイノシシに出会っていないけど、たまにはお目にかかりたいものだ。



高い気が無いせいなのか、とても明るい尾根道だ。両脇には笹が生い茂っているけれど、道を浸食するようなことはない。しっかりとメンテされているようだ。あまりハイカーが通らないマイナー登山道だと思っていたけれど、意外に利用する人は多いのかもしれない。



眺望の良いところを選んで結構良質なベンチもいくつか設置されている。行政が業者に発注するようなものではなく、有志の方が工夫して作られたものであることは一目でわかる。



谷ひとつ西側には保久良神社からの尾根が続いている。大きな段差の石段が延々と続く尾根道で、あまり好きな道ではない。



東側には甲南女子大から登て行く魚屋道。嫌いな道ではないのだけれど、昨夏に登って猛暑のせいでバテバテになってしまって、ちょっと嫌いになってしまった。柿谷道も苦楽園尾根もそうだけど、歳をとって登りやすいと思っていた道がどんどん減ってきた。



良く晴れている。この季節としては、日射しも強く、ちょっと暑くさえ感じられる。この季節なので快適だけど、夏になると日陰が無いので、日射にやられてしまいそうな道だ。



甲南女子大からの魚屋道に合流。T字路に立つ標識には、東に行けば東灘、西に行けば風吹岩とあるだけで、南に下る薬大尾根はマイナールートとされているのか、何の案内も無い。でも良く見れば誰かがマジックペンで小さく「→薬大尾根ルート」と書いてくれている。



風吹岩に向かう道で、林のなかにキジを発見。ちょっと黄色っぽくも見えたのでヤマドリかもしれない。いずれにしても六甲山系で大型の山鳥を見つけることは珍しい。惜しくも写真を撮り損ねたけれど、今日あたりイノシシにも遭えそうな気がして風吹岩へと登っていく。



と思って風吹岩までやってきたけれど、イノシシどころか、ネコにさえ会えない。もう3年以上、イノシシやシカに全く出会うことが無くなった。以前はこの辺りではかなりの確率でイノシシには出会えたんだけど。いつの間にか動物たちに嫌われているような気がする。



風吹岩から六甲最高峰へと向かう道をちょっと北上。多くのハイカーに支持されているこの道は六甲銀座という人もいるけれど、個人的には国道1号線と呼んでいる。荒れた道、狭い道、岩だらけの道と色々あるけれど、道のランクを県道とか町道とかで呼び分けている。



横池(雄池)。このところあまり寒くはないとはいえ、標高450mほどにもなると朝晩は氷点下割れするのだろう。割れているところも多いけれど、池全体に氷が見られる。



横池(雌池)。雄池よりも一回り小さいけれど、池のなかに立ち枯れた木もあって、こちらの方がより幻想的だ。やはり氷結が見られる。



横池から先日探索した七兵衛山への近道を再度歩いてみることにする。分岐点にある標識は左に向かう矢印はあるものの、行先は何も書かれていない。よく見ると「行き止まり」の文字が薄っすらと読み取れるけど、意図的に消されているようだ。



おそらくは正面に見える鉄塔へと向かう道だったのではないだろうか。鉄塔までの道は危険個所もなく、急坂もないけれど、鉄塔の先に道はない。



が、良く見ると、鉄塔のすぐ手前に下へと下りる道がある。道にはゴツゴツとした武骨な手摺りが設置されている。本人に確かめた訳ではないけれど、この造作は間違いなく八幡谷の超人、Fさんの手によるものだ。最近お目にかかっていないけれどお元気だろうか。



急な下り坂を過ぎても、木製の手摺りは延々と続いている。300~400mくらいは続いている。ひょっとして、この道そのものもFさんが作られたのだろうか。



名もない道を下ってきたところが、木漏れ日広場と呼ばれる何十人も収容できそうなベンチが並んだ広場がある。これもFさんの代表作のひとつだ。



七兵衛山(460m)。Fさんの作品群に圧倒されるばかりだ。ここを訪れるハイカーのどれほどが、このベンチ群を作ったのが、既に80歳を超えるお好み焼き屋のご主人がひとりで10年以上の月日を掛けてここまで仕上げたということを知っているだろうか。



週末には賑わう七兵衛山も今日は無人。大広間とか、個室とか、カップルシートとか、様々なスタイルで作られた大量のベンチをアチコチと移動して、座り午後地と眺望を楽しむ。



打越峠。ここのベンチ群もFさんの作。横池からは打越峠経由で七兵衛山に登るのが常道だと思うけれど、名も無いアンテナ道を使うと少し近道になっているはずだ。



打越峠から八幡谷の杉林のなかを岡本方面へと下山していく。要所には抜けなくFさん手作りの手摺りやベンチが設置されている。



違う方向を向いている一対の道祖神。今日は帽子も前垂れも無い。付近には石祠や石柱が多く小綺麗に清掃されている。よく見ると掃除道具置き場もある。この道を清め、神様をお祀りしていただいている方々がおられるのだろう。おかげで今日も楽しく山歩きができた。



阪急岡本駅とJR摂津本山駅の間にある石標。「国鉄本山」とある。JRになって37年だけど、そこまで古い石標だろうか。駅名も本山ではなく摂津本山だ。山麓リボンの道の石標なので神戸市が立てたものだ。懐古感はいいけれど、いい加減手直しすべきじゃないだろうか。



歩行距離7.4㎞。10㎞くらい歩いたつもりでいたけれど意外と歩いていないものだ。獲得標高は560m、所用時間4時間。