ポンポン山・善峰寺(京都市)

 2024年3月3日


高槻の神峰山寺から山に入り、善峰寺に下山する計画で登ったポンポン山だったが、真偽の疑わしい通行止看板に遮られてUターンを余儀なくされたのが一昨年の11月。登り口を変えて、今日は善峰寺からまず釈迦岳に登り、ポンポン山を目指す周回コースを目指したい。



JR向日町駅から善峰寺までのバス停に向かうと、ビックリするほどのハイカーが列をなしている。2月末まで冬季運休だったのに…。しかも皆が皆、完璧な有名ブランドの登山ギアを完全装備だ。えぇっ、スニーカーでも登れる気楽な山歩きだと思っていたのだが…。



JR向日町で既に満員だというのに、更に阪急東向日駅でも大量乗車。各地で登山口に向かう路線バスの廃止が相次いでいるというのに凄い盛況だ。30分以上も鮨詰め状態のバスに揺られたため、終点の善峰寺に到着したときは早くもグッタリ状態だ。



推定70名ほどものバス乗客のほとんどがゾロゾロと釈迦岳に向かって歩き始めるのを見て、さらにゲンナリ。下山後に立ち寄るつもりだった善峰寺にまず参拝することにするが、バス停から山門まで凄い急坂を登っていかねばならない。足腰が弱ければ参拝は難しいお寺だ。



東門から入門。早速金剛力士像のある山門に出迎えられる。西国三十三所のひとつでもあり、1000年の歴史を持つ古刹だけれど、意外に参拝者は少ない。



桜、紫陽花、紅葉、椿など、四季折々の花に彩られるお寺で知られている善峰寺だけれど、今はさすがに花の端境期。と諦めていたら、早くも桜が五分咲きとなっている。ホントに桜なのか、と何度も確かめる。たぶん、間違いなく、桜だ。



桂昌院の像がある。徳川綱吉の母で、生類憐みの令の発令にも大きく関わったと言われているだけに、膝に犬を乗せている。一時荒廃していた善峰寺の再建に尽力したのが桂昌院なんだそうだ。



山肌の斜面に貼り付くように広がる善峰寺の境内から、北側の登山道に抜け、大半の人が時計回りで周回するのとは逆方向になるけれど、反時計回りに周回しようと決めたものの、分厚い門に阻まれて登山道に出ることができない。



境内を登ったり下りたりするけれど、どちらに向かっても登山道に出ることができない。しかし今更激坂を再度下ってバス停に戻ることなどしたくない。満員バスに加えて、ラビリンスのような善峰寺からの脱出に手間取り、登山の前からヘトヘトだ。



アチコチ歩き回った末、入山の際にいただいた小冊子の裏に境内図があることに気付き、無事北門から善峰寺を脱出。9時に善峰寺に着いたのに、登山開始は10時になってしまった。境内と登山道との境界には延々と厳重なフェンスが張られていることに今更ながら気付く。



北側からポンポン山に向かう道は東海自然歩道にもなっていて、歩きやすい道が続く。もっともさすがに冷え込むのか、日陰には10時半になってもまだ固い氷が溶けずに残っているところが見られる。



ポンポン山方面から流れる小さなせせらぎに沿って道は続いている。前方から吹く風は、程よく冷たく、とても気持ちがいい。



まあ、いつまでも呑気な道が続く訳でもなく、長い木段が現れた。でも勾配はさほどでもなく、路面も良く整備されている。



昨年末に熊が目撃されたという生々しい情報が駐在所速報として貼り出されている。中山道歩きでは熊情報にひどく敏感になっているのに、大阪府内など市街地に近い山では、滅多なことで熊には出会わないだろうと思ってしまっている自分に気付く。



以前登った際にも感じたことだけど、ポンポン山の山頂付近はひどく倒木が多い。道を塞ぐような倒木も多いけれど、道の横の谷を見れば、何百本もの木が押し倒されるように倒れているところが散見される。



山頂間近に「倒木処理作業のため通行できません」の注意標識がある。15ヶ月前に見たそのままだ。通行止個所も記載されていないし、解除時期も未定とのこと。酷い標識だ。もっと酷いと言いたいのは、歩いてきた範囲では倒木処理作業など全く行われていないことだ。



ポンポン山山頂(678m)。北回りルートは混み合っていなかったけれど、南回りルートやさらに高槻神峰山寺登山口からのハイカーもここで合流し凄く混雑している。北摂を代表する山とはいえ、ポンポン山ってここまで人気の山とは思わなかった。



混み合った山頂での休憩もそこそこに下山開始。1時間に1本しかないバスは、おそらく14時台、15時台は往路のような鮨詰め状態となることが予想されるので、なんとか13時台のバスに乗りたいところだ。鉄塔のある尾根道を急ぎ足で進む。



ところが、前方からのハイカーの数がやけに多く、狭い痩せ尾根でのすれ違いに随分と手間取ったりする。おそらく11時頃に善峰寺に到着したバスの乗客グループが次々と登ってきているに違いない。



釈迦岳(630m)。島本町の最高峰になるらしい。石仏が山頂にあったことが山の由来になっているというけれど、今では石仏は無くなってしまったようだ。眺望もなく、頂上のベンチにも先客がいるので、ここで立ち止まる理由もない。



11時のバスの集団(たぶん)をやり過ごすと、前後にハイカーの気配も感じられない静かな道となった。この道を登りに使う人が圧倒的に多いようだ。ここまで人の気配を感じなくなると、熊のことが気になる。あまりアテにはならないけれど、熊鈴を再確認して進む。



写真では判り難いのだけれど、道はかなり泥濘んでいる。滑りやすいことに加えて、粘土質の土壌のせいか、泥が靴底に張りついて容易には取れない。そのせいで靴がひどく重くなっている。



しかも結構勾配も厳しく、道も荒れたところが少なくない。泥で滑ることもあって下るよりもむしろ登りに使いたい道だと今更ながら理解する。初心者向けの軽い山歩きの道だと思っていたけれど、ほとんどのハイカーが万全の登山ギアで身を固めていたのも納得だ。



急勾配が多いとはいえ、やや盛り上がりに欠ける単調な下り道だったけれど、予定通り13時台のバスに間に合う時刻に善峰寺が見えるところまで下ってきた。気が付けば、少し右膝が痛いような気がする。呑気な山歩きのつもりだったけれど、そこそこ疲れた。



歩行距離8.3㎞、獲得標高665m、コース定数は17。YAMAPでは距離6.2㎞、標高491m、コース定数12と紹介されているけれど、善峰寺境内で1時間ほどウロウロしていたがこれだけの差になったのだろう。所要時間は4時間。幸いにも帰路のバスは余裕で着席できた。