霧島・韓国岳(鹿児島県)

2024年3月15日


昨日は桜島を軽く散策するだけに留めたものの、一昨日の開聞岳登山の疲れは癒えない。しかし鹿児島までやってくる機会がそうそうある訳でもないので、普段はあまり飲まない疲労回復ゼリーなどをがぶ飲みして、予定どおり霧島連山最高峰の韓国岳に向かう。



もっとも当初の予定を変更して、最も距離が短そうなえびの高原からのピストンコースだ。火山ガスの硫黄が析出しているようで、川は黄色く変色していて、火山地帯特有の硫黄臭が感じられる。



火山ガスが発生しているので、登山道を外れないようにとの警告がアチコチにある。霧島連山は活火山だらけ。今も噴煙を上げ、活発な火山活動が継続しているところだ。開聞岳、桜島と連日火山地帯を歩いてきたけれど、それらとは全然異なる風景が続く。



しばらく進むと、いよいよ登山道がスタート。標高1700mの韓国岳とはいえ、今日のコースの比高は500mほど。大したことは無いと思いたいけれど、かなりの急坂が続き、すぐ息が乱れる。



午前10時で気温は10度ほど。しかし朝晩の冷えこみは厳しいのか、路側には霜柱が残っている。雨も降っていないはずなのに、霜が溶けたのだろう。道がぬかるんでいるところも多い。



激しく噴煙を噴き上げている噴火口が見える。硫黄山と呼ばれるところだ。噴煙だけでなく、まるで飛行場にいるかと錯覚するほどの轟音(噴き出し音)が響き渡り続けている。



しばらく登っていくと、開聞岳と同じく、石がゴロゴロと転がった道になる。これが苦手なんだよなぁ…。勾配は大したことは無いんだけれど、この石ころ群のお陰で体力が倍ほども削られるような気がする。



ゲゲっ、まだ3合目かぁ…。結構登ってきたような気がするんだけれど…。開聞岳では登るとともに道が険しくなり、合目間の所要時間がどんどん長くなったことを思い出す。なんだかイヤ〜な予感がするぞ。



予想していたとおり、どんどん石が大きくなってきたし、勾配もキツくなってきた。空は青く、風も微風。絶好の登山日和だ。草木もほとんどないだけに、風がキツければ、随分と苦労させられぞうだ。



避難小屋がある5号目に到着。歩き始めて1時間20分。コースタイムどおりだ。帰路の飛行機までは随分と時間もあるのだから、もっとゆっくりでいい。疲れた足腰を労りながらゆっくり登っていくことにする。



避難小屋で長めの休憩を取ったものの、石ゴロゴロの坂道の連続で、足腰はすぐに悲鳴を上げ始める。5号目を過ぎれば勾配は徐々に緩やかになると聞いていたんだけれど、その気配はまだ無い。




7号目あたりから、岩は黒っぽいものに変わる。噴火時期が異なるのかなぁ…。誰かに解説してもらいたいものだ。



丸い大浪湖が見える。いかにも典型的とも思えるカルデラ湖だ。韓国岳の周囲だけでも5~6個のカルデラ湖がある。怖ろしい火山の噴火の末にできあがったというのに、摩周湖や十和田湖、それにこの大浪湖も、カルデラ湖というのは何故か青く美しくそして澄んでいる。



開聞岳と違って8合目あたりからは勾配は多少緩やかになってきたように思う。足腰に痛みが残るなか登頂できるかどうか不安だったけれど、特に問題なく登れそうだ。



いよいよ頂上部が見えてきた。この黒っぽい岩を攀じ登っていけば山頂だ。休憩や食事をする多くのハイカーの姿が見える。



韓国岳(1700m)に無事登頂。抜けるような青い空だ。ゴツゴツした岩ばかりだけれど、少しでも座り心地の良さそうな岩に座り込み、昼食を摂る。



東には近年大爆発を起こした新燃岳、その向こうの尖っているのが天孫降臨の山として知られる高千穂峰だ。山頂に刺さっている逆鉾を一度は見てみたいものだけど、結構滑りやすい危なっかしい山だとも聞く。



大浪湖の向こうには、薄っすらと桜島のシルエットが映る。さらに晴れた日には桜島の左側に開聞岳も見えるそうだ。



山頂部はかなり広く、皆が思い思いの場所に座り込んで眺望を楽しんでいる。山頂付近をアチコチとウロウロし、四方の展望を満喫する。すごく気持ちの良いところだ。登ってきて良かった〜。



韓国岳山頂での長い休憩の後、来た道を下山していく。正面の大浪池の青さに気を取られた訳ではないのだけれど、これが大間違い。随分と滑りやすいし、勾配もキツイ、と思いながらも、登りと下りは風景が違うからなぁ…、なんて考えながらズルズルと下っていく。



が、9合目の標識を過ぎたところで長い木段が現れた。こんな道歩いてないぞ。さすがに道を誤って下ってきたことに気付く。このまま湖まで下って、大回りしてスタート地点に戻ることもできそうだけど、来た道を戻る方が確実そうだ。



が、20分ほど前にズルズルと下ってきた道を登るけれど、これがかなりの急坂。確かに下りと登りでは見えるものも感じるものも異なる…。時間的にも体力的にもひどいロスだ。



結局再び韓国岳の山頂に戻り、あらためてえびの高原へと下る道に向かう。山頂近くには、ちゃんと案内標識があったというのに、これを無視して大浪池方面へと下ってしまった。無事登頂したことで、気持ちに隙ができてしまったようだ。



大浪池に向かう道と比べれば、随分と歩きやすい。スタート地点のえびの高原は写真左奥に小さく映り、随分と遠く見えるけれど、ゆっくり確実に下っていけば大丈夫。やはり来た道をそのまま戻るのは安心感がある。飛行機の時間にも十分間に合うはずだ。



距離5.7㎞、獲得標高627m。数字的に見れば平凡な登山だけれど、眺望も抜群で満足度は高い。所要時間は4時間40分。