マンハッタン雑景

2018年11月2日(金)


ニューヨーク近郊に1週間ほど滞在するものの、仕事でマンハッタンに電車で出掛ける日ばかりが続く。利用するグランドセントラル駅は、マンハッタンの北部との短中距離路線が集中しているターミナルで、何十ものホームが地上・地下に分かれて設置されている。少なくとも規模の面では、姉妹駅である東京駅を圧倒的に凌駕している。

 


グランドセントラル駅。が、最も混雑しそうな朝9時前ではあるが、意外に人の流れはスムース。社内改札を採用しているため、駅に改札口が無いことが混雑緩和に繋がっているようだ。しかも駅舎も巨大で、食料品店や、フードコート、バーなど様々な施設が並んでいる。



コンコースも随分と広々としている。テロの標的となりそうな場所として挙げられることの多いところだけに、いつも足早に通り過ぎるのだが、築後100年以上経つ風格ある構造と豪華絢爛な内装が施された駅舎は美術館のようでさえある。



42ndストリートに面したグランドセントラル駅の正面出口。ここを左(東)に進めば国連本部、右(西)に進めばタイムズスクエアへと通じる。



 回転扉か自動ドアになっていそうなものなのだが、意外にもレトロな木枠のドアが今も使用されている。



グランドセントラル駅から42ndストリートを西に向かう。勤務形態の違いのせいか、9時前というには特段混雑しているものでもない。



30年ほど前に比べれば、怪しげな連中やゴミや落書きも劇的に減った。しかし、およそ世界経済の中心都市らしからぬ雑然とした町であることには変わりない。歩道をクローズしての工事も多く、また他の米国都市同様、広々と工事エリアを確保している割に作業の進捗は随分ゆっくりとしたものに感じられる。



歩道の上に足場を組んでのビルの改修工事もあちらこちらで見られる。いかに立派なビルが立ち並んでいても、バリケードや足場だらけでは、都市としての風格は高いものと感じにくい。



いつも気になるのが、足場の支柱。アンカーを打つことなどしていないように見える。いかに地震が無いところだとはいえ、車両の衝突などで足場が崩壊してしまうようなことがないのだろうか。



隙間なくビルが立ち並ぶなかで、古いビルの建替え工事も進められている。フェンスの隙間から覗くと、公園以外ではお目に架かれない「土」を深くまで掘削しての工事が行われている。隣接する空地がない塞がれた土地で、古いビルを壊し、敷地を目一杯使い切って新しいビルを建てようとしていること驚いてしまう。



エンパイアステートビルが道の向こうに見える。摩天楼という言葉は最近とんと聞かなくなったが、建設以来90年間もの間、世界で最も有名な超高層建築であり続けているという凄いビルだ。しかも同時多発テロによりNYで一番高いビルに返り咲き、建替えなんて話も聞いたことが無い。



グランドセントラル駅と並ぶターミナル駅であるペンシルバニアステーション。日本人の間では「ペンステ」と呼んでいるけど、米国での略称はペンステーションだ。ちなみにグランドセントラル駅は、日本人は「グラセン」と呼んでいる。こちらもギリシャ神殿風の立派な建物だけど、比較的新しく改築されたもののようだ。



かつてはライバル関係にあったと言われるグラセンとペンステだけど、今は役割が二分化されている。ペンステはアムトラック(長距離路線)とニュージャージー・ロングアイランド方面の短中距離路線だ。しかもレトロなグラセンと異なり、駅の内部は随分と近代的なものになっている。



マンハッタンというところは、米国の都市としてはまだしも歩行者が車に遠慮せずに歩き回れるところなんだけど、それも南北を貫く大通りに限ってのこと。東西方向の道は概して細く一方通行になっているが、イエローキャブやら配達車両の隙間を縫うように歩かなければならない。



あまり他都市では見かけない、ミニサイズのパトカー。混雑するマンハッタンならではのものだ。



ついでに消防車。さすがにミニサイズでは役に立たないようだ。



マンハッタンでやけに多いには、移動フードショップ。フードトラックと呼ぶようだ。ピザやホットドッグから、イタリアン、アジアン、メキシカン等々、お昼時になると様々なフードトラックが並ぶ。このあたりで働くビジネスマンの半分くらいは、こうしたフードトラックでランチを済ませているのではないかとさえ思われる。



一体何に使うのか、大きなクマのぬいぐるみ?のようなものを運ぶトラックも見られる。荷台からは完全にはみ出しているし、高さも5mはゆうに超えていて、今にも落っこちそうだ。



マンハッタンには、ラーメンの一風堂とか、いきなりステーキとか、日本の店がいくつも出店していて、結構繁盛している。大戸屋も行列ができているが、日本人の姿はあまり見られない。日本では数百円の定食が、こちらでは20ドルはする。かなりの高級レストランなのだ。



サンクスギビングも終わり、町は一気にクリスマスムードに染まっていくようだ。11月に入ったばかりだというのに、5番街のフェラガモでは、店全体にリボンが掛けられているような装飾が完成していた。



つい先日までは、でっかいカボチャが店の軒先に並べられていたのに・・・。