世継山~高雄山~城山【六甲山系】

2021年3月30日


これまで近くを通過しつつも登頂したことがない世継山と高雄山の2山の制覇を目指して新神戸駅から出発する。日本で一番大きいのではないかと思っているハイキング案内標識がある新幹線ホームを潜る通路からまずは布引の滝を目指す。



新神戸から布引・市ケ原に向かう。最近は下山にばかり使っていて登りは久しぶりだ。こんなにキツイ階段だったかなぁ、とあらためて思う。3月とは思えない暖かさのため、早くも汗が噴き出す。



布引の滝の先にある展望台では、桜が満開。黄砂の影響だろうか、晴れているはずだけれど、視界は悪く空はどんよりしている。



布引貯水池。市ケ原に向かうハイカーと別れて、ひとり一般車両は通行できない舗装路を経て布引ハーブ園に向かう。新神戸駅周辺には「ハーブ園には車で行けません、徒歩かロープウェイで」と書かれた看板が目につくが、実際のところ徒歩で行く人はごく僅かのはずだ。



布引ハーブ園の入口。イノシシ対策のためにゲートが閉まっているが、右の小扉を手動で開くことがでいる。ゲートのすぐ内側には新神戸からのロープウェイの中間駅が設置されている。



このゲートから入場する人など滅多にいないのだろう。ゲートには誰もおらず、入場料の徴収もされない。よく整備された公園を歩いていくのは何だか悪いことをしているような気分になるが、ゲートからしばらくの間は無料ゾーンになっているはずだ。



ハーブ園の東側のフェンスを開けて、ハイキング道へと入っていく。ハーブ園の敷地の一部になっているようだけれど「この先はハイキングの足ごしらえが必要」と、気軽に入り込まないように注意喚起がなされている。



所詮はハーブ園の附属道路だと完全に舐めてかかっていた。丸太階段が延々と続く険しい道は本格的な登山道ではないか。樹林の向こう側から子供たちの歓声が聞こえるなかで、息つく暇も与えられない急坂のため、腰を下ろしての休憩を余儀なくされる。



完全に息が上がった状態でロープウェイの終着駅があるハーブ園の最奥部に近くに聳える世継山(417m)を目指すが、どうしたことか山頂部はフェンスで囲われている。少なくともハーブ園内からでは世継山の山頂には到達できないようだ。



ハーブ園(無料ゾーン)を少しだけ散策する。初めての訪問になるけれど、人の多さにちょっと驚いてしまう。花は美しいし、様々なグルメも楽しめるようになっている。新神戸から1時間半近くも歩いてきたけれど、ロープウェイなら10分もかからない至便の立地だ。



ハーブ園を北に抜け、市ケ原へと下りていく。右は天狗道へ登っていく道だけれど、左側の市ケ原に向かう道は、なだらかな下り道だ。ハーブ園での想定外のダメージから立ち直るべく、のんびりと歩いていく。



市ケ原。次に目指す高雄山は、生田川の上流西側にあるはずだけれど、その山容は確認できない。トゥエンティクロスと再度公園という人気スポットに挟まれているにも関わらず、立ち寄るハイカーはあまり多くないようだ。



市ケ原東岸の登山口から高雄山に向かうが、噂に違わぬ急坂が続く。落ち葉が多い季節などなら、ひどく滑りやすそうな急斜面だ。登りならともかく、下りにはあまり使いたくない道だ。



急な登りの後には、再び下り、また登り返すということを繰り返す。ひどく疲れるけれど、それ以上に厄介なのは、小さな虫が顔のあたりをブンブン飛び回ることだ。まだ3月というのに、この数日の暖かさのせいか虫が大量に発生しているようだ。



市ケ原から登り始めて40分ほどで高雄山(476m)の頂上に到着。しんどい登りが続いたせいか、もっと長い時間歩いてきたような気がする。残念ながら頂上は樹木に囲まれて眺望はほとんど無い。



高雄山からは蛇が谷方面へと下山。決して呑気な道ではないけれど、市ケ原からの登りと比べれば何倍も歩きやすい道に感じる。



大龍寺を建立したと言われる和気清麻呂が道鏡の刺客に襲われたという蛇が谷。1200年も昔の話だ。その頃はこんな整備された呑気に歩ける道ではなかったはずだ。



大龍寺の門前の桜は、早くも散り初め。一部、葉桜になっているところもある。なんだか一気に春が通り過ぎていくようだ。



大龍寺から二本松を経て新神戸駅方面へと下山していく。ドライブウェイに沿ったアップダウンの少ない快適な道だ。



二本松から久しぶりに滝山城跡に立ち寄っていこう。神戸市のお城ってピンとこない人が多いようだけど、権力闘争が繰り広げられたところだけに、源平、南北朝から戦国時代にかけての山城は数多い。なかでも滝山城は最大級の規模を誇るという。



城山頂上にたつ滝山城跡の碑。赤松円心、三好長慶、松永弾正など、日本史ファンなら誰もが知るビッグネームがこの城を拠点としてきた。神戸市はもっとPRしてもいいと思うんだけどなぁ…。



山頂ばかりではない。何気なく歩いている谷のような道は堀の跡だし、ちょっとひと休みしたくなるような平坦地は廓の跡だ。市街地からこれだけ近くで中世の山城を実感できるところは少ないように思うんだけどねぇ…。



岩がむき出しになった急な坂を新神戸駅に向かって下りていく。急坂の正面にはハーブ園に向かうロープウェイ、その向こうには神戸の高層ビル群が見える。神戸以外でこんな珍妙ともいえる組み合わせの景色はなかなか無いはずだ。



本日の歩行軌跡。そんなにゆっくり歩いたつもりはないのだけれど、予定を1時間もオーバーして5時間40分も掛かってしまった。



世継山も高雄山も予想以上に厳しい登り道だったけど、一番の急坂は城山から新神戸への下り道だったようだ。距離は9.2㎞、累積標高は865m。