高代寺山(川西・能勢)

 2021年7月26日


能勢電鉄のハイキングマップを参考に、真夏日でも比較的楽に登れそうに思える高代寺山に向かう。兵庫県川西市と大阪府能勢町の境にある標高488mの山だ。



能勢電鉄の妙見口駅で下車した途端に早くもカンカン照りの太陽にウンザリしてしまう。こんな日なのに妙見山へと向かう多くのハイカーと別れて、ひとり西に向かう坂を登っていく。



山に入ると、意外に涼しい。直射日光を遮ってくれる木立に囲まれた、放射熱が少ない土の道を、気持ちのいい風が吹き抜ける。最近は暑いことを全て地球温暖化のせいにしがちだけれど、都会の暑さの主原因はヒートアイランド現象であることは間違いないと思う。



高代寺山への直登ルートは避けて、時間はかかるけれど、勾配の緩そうな大回りルートを進んでいく。ほとんど平坦に近い楽な道が続くけれど油断は禁物だ。里山にありがちなことだけれど、枝道が多そうだ。手書きの地図を記した小さな木の標識が有難い。



妙見山への登山道と同様、緊急通報ポイントの標識が随所に設置されている。簡単に登れそうに見える山だけれど、こんな山だからこそ、怪我や道迷いなど、救急出動要請が少なくないのだろう。マムシとかハチも多そうだ。



しばらく進むんで簡易舗装の道に出たところ、右手の崖の上でガサガサと大きな音がした。見上げると大きな鹿が崖を駆け上っていくところだった。鹿や猪、そして時々熊も出るエリアだということを思い出し、熊鈴をリュックに取り付ける。



高代寺山の南東から登り始め、ちょうど180度回り込んで山頂の北西にあるゴルフ場にまでやってきた。さあ、いよいよ高代寺山の山頂に向かおう。



ゴルフ場から坂を登っていったところで現れたのは、簡単に見落としてしまいそうな、なんとも頼りなさげな標識だ。あまり登る人もいないのだろうか。



ちょっと不安に思えたけれど、登り始めると有難いことに山頂への道はよく整備されていて、危険個所もない。



あまり期待もしていなかったけれど、488mの高代寺山の山頂には2本のアンテナが立つばかり。眺望もなく、座り込んでひと休みするような場所でもない。



高代寺山から少し下ったところに、真言宗の古刹、高代寺がある。最近はお寺そのものではなく、イノシシの罠に掴まり殺処分されかけていた熊を保護飼育していることで有名なところだ。境内の案内図には「くまの家」と案内されている。



熊に対面する前に、長い石段を登って本堂にお詣りする。女人禁制の高野山に代わる寺ということで、高代寺と呼ばれるようになったと聞いている。



社務所の裏にある檻は1頭用にしては意外に大きい。よく見ると2区画ある。ふと2頭目の熊が捕獲されたときに予め備えたものと思ったけれど、おそらく通常使っている区画を掃除や改装をする際に、熊を避難させる別区画が必要になるのだろう。




「とよ」と命名された雄のツキノワグマ(11歳)、体長は2mほどありそうだ。動物園と違って「見せる」ための施設でないので、薄緑の鉄格子も太く、熊の全身をうまく撮影することは難しい。試しに熊鈴を鳴らしてみたけれど、全く意に介する様子も無い…。



動かず寝そべっている熊を想像してたのだけれど、ビックリするほど動き回っている。檻の中を一定ルートでおよそ10秒で一周している。かなり素早い。絶対に勝てないと改めて確信する。独特の強い獣臭は覚えたけれど、臭いを感じたところでどうすればいいのだろう…。



熊檻の前でしばらく休憩し、人と熊との共生について深く考えさせられた後、再び本堂前から高代寺山の東にある吉川城跡に向けて歩き始める。随分と倒木も多く、荒れた道のようだ。



ちょうど大阪府と兵庫県の県境となる尾根筋を歩いて、吉川城跡にやったきた。ベンチが5脚も設置されているけれど、さほど眺望のよいところでもない。戦国時代の山城だそうで、土塁や堀切っぽいものも見られるけれど確信はできない。



吉川城跡から東方面へと下山。とにかく倒木が多いんだけれど、よく見ると最近倒れたと思われるものが多い。先日の豪雨によるものだろうか。



妙見山に向かって真っすぐに伸びるケーブルカーの軌道がよく見える。歩けば1時間、ケーブルならたったの5分だ。と、判ってはいるけれど、未だにケーブルカーには乗ったことがない。



高代寺山の東麓にある吉川八幡神社まで下りてきた。摂津源氏との所縁が深い古社で、山を背に静謐な雰囲気が漂う。



ところが社務所の横には驚くべき光景が…。古い阪急電車(能勢電鉄?)のカットモデルが設置され、その前に神馬(日本在来馬である貴重な木曽馬)がいる。神事本来撮影禁止のところを、社務所の方に特にお許しいただいて写真を撮らせていただいた。



吉川八幡神社からケーブル黒川駅へと向かう。お目当ては、川西市などで開催されている赤い丸型ポスト巡りのためのQRコードだ。既にいくつかの文字を開けているので、答はほぼ目星がついているのだけれど、愚直に全ての丸型ポストを回るつもりだ。



それにしても暑い…。山中ではあまり感じなかったのに、街路樹も無いコンクリート舗装の道では酷い暑さが襲ってきて体力をドンドンと奪っていく。



実は、丸型ポストイベントの一環で開催中の風景印をゲットするためにさらに畦野駅まで5㎞ほど歩く予定だったのだけれど、妙見口駅でギブアップ。電車で畦野駅に向かう。駅前の川西北郵便局で多田神社と猪名川をあしらった風景印を頂戴する。



本日の歩行距離はおよそ9㎞、獲得標高は563m。急登を避けて登ったせいか、山道よりもむしろコンクリート舗装の平地の方が遥かに辛かった。