神戸西部3都ウォーク

 2021年7月31日


酷暑と三密を避けてのウォーキングは難しい。繁華街を避けつつも、緊急避難できる駅などが至近で、飲料の調達が容易な街歩きがいい。そこで5月に開催予定だったがコロナ禍で中止となり、マップだけが神戸市のHPに残っている「神戸西部3都ウォーク」に出掛ける。



神戸西部3都とは、新開地、兵庫津、新長田だそうだ。「都」にも「西部」にも疑義があるけれど、それはさておき神戸電鉄湊川駅を出発だ。元始発駅としての風格は残っているものの、新開地への延伸と地下化のため、かつてのコンコースは空間を持て余しているようだ。



湊川からスタートし、ゴールの新長田まで南西に進むのかと思いきや、マップは東山商店街を北東に進む道を示している。活気のある楽しい商店街なんだけれど、それにしても神戸ではこの商店街を突き抜けるウォーキングコースが異常に多いように感じる。



一旦北上して新湊川沿いに西進。湊川隧道で南へと折れ、再び湊川駅へと戻るという不可思議なルートだけれど、愚直にマップどおりに歩く。年に一度、湊川隧道のなかを歩けるイベントがあるのだけれど、今年こそ参加したいものだ。



再び湊川公園に戻ってきた。兵庫区役所前にあった楠木正成像が、区役所改装に伴って新開地の商店街の出口付近に移設されている。皇居外苑や河内長野の観心寺にも騎乗姿の正成像があるけれど、最も躍動感に溢れている湊川のものが圧倒的に格好いいと思う。



大衆演劇場やボートレースの舟券売場、多くの居酒屋が立ち並ぶ下町感溢れる目抜き通りを進む。昼間から路上に寝転んでいるオッちゃんもいる。でも南端あるウェルカムゲートは素晴らしい。かつて新開地を訪問した喜劇王チャップリンをモデルにしたと言われるものだ。



ひとつ目の「都」新開地と、ふたつ目の「都」兵庫津との間にある七宮神社に参拝。神戸らしく清酒の看板と錨が奉納されている。生田神社の裔神八社では三宮ばかりが有名…、いや、三宮も町や駅としては有名だけれど三宮神社の存在を知る人は少なそうだ。



日宋貿易の拠点だった「古代大和田泊の石椋」(防波堤)が運河の横に展示されている。浚渫工事で発見されたものだという。個人的には、平安時代は古代ではなく、中世に分類する方がしっくりくるんだけど…。



兵庫五国「初代兵庫県庁ナビ」なるARアプリが最近リリースされている。よく判らんけど、スタンプラリーのようなものかな? この大和田泊石椋もポイントになっているのでトライしてみよう。ポイントは7ヶ所。いずれも兵庫津エリアに集中している。



大和田泊の石椋の説明板にあるマーカーにスマホをかざすと、北前船のムービーが始まった。えぇっ、説明板の流れからいえば、日宋貿易だろう。まあ、この辺りが高田屋嘉兵衛などで有名な北前船の要港であったことは間違いないけれど…。



兵庫運河に架かる橋の上に立つ清盛くん像。法体の年配者に「くん」呼ばわりは無いだろう。しかも位人臣を極めた太政大臣だぞ。平野商店街には若かりし日の武者姿の清盛像があるけれど、でも、清盛って小太りの僧形の方がしっくりくるんだよなぁ…。



さて、ARアプリはなかなか大変だ。「但馬」が見つからずウロウロさせられる。兵庫が唯一5つの国で構成された県で、多民族国家ヒョーゴスラビアと言われるのを逆手に取って、最近「兵庫五国」と多様性をアピールする活動をよく見かける。



やっとのことで清盛くんの説明版の下にひっそり隠れているマーカーを発見。スマホをかざすと「但馬」のスタンプをゲットしたとの表示が現れた。但馬から遠く離れた兵庫津で「但馬ゲット」と言われてもピンと来ない。こんな狭いエリアで五国を扱うのは無理がある。



旧兵庫県庁跡のマーカーにスマホをかざすと、現在の風景に重なって往時の兵庫県庁の建物と行き交う人々の姿が映し出される。あまり出来の良いAR(拡張現実)とは思えない。そもそも県庁や人々は現実味のない「絵」としか見えないし、サイズも小さすぎやしないか。



兵庫五国のスタンプをコンプリートすると、旧兵庫県庁とはばタン(兵庫県のマスコット)の写真フレームがプレゼントされる。せっかく開発したアプリにケチばかり付けるのは恐縮だけど、なんだかビミョーなデザインだ。



ARスタンプラリーで、神戸西部3都ウォークのマップを外れてウロウロしたけれど、ついでに兵庫大仏がある能福寺にも立ち寄る。左手前の石塔があるところが平清盛の廟所だと伝わっている。



ところが能福寺からしばらく南に歩くと、別の清盛塚と伝わるところがある。京都も含めて何ヶ所も清盛の墓所があるようだ。源氏による破壊を恐れて、平家が墓所を秘匿したためだと聞いたこともあるが、ホントだろうか。



薬仙寺には清盛が後白河法皇を幽閉していたと伝わる萱の御所の跡がある。三間四方の粗末な建物だったと説明板に書かれている。でも18畳あれば一人用の居室としては、まあまあじゃないの?と思うのは庶民すぎる感覚だろうか…。



和田岬線。JR兵庫駅から和田岬まで一区間だけの三菱重工への通勤専用路線で、朝夕にしか運行されていない。それでも黒字らしい。明治21年開通というから相当古い路線だ。海岸部に何も無い頃に敷設されたのだろう。ず~っと真っすぐな線路が続いている。



昨年末に兵庫区内で試験的に運行開始されたコミュニティバス「みんなのバス」。バス停ごとに設定された動物キャラクターがバス停名より目立っている。驚いたことに市や区ではなく、私企業(神戸マツダ)が社会貢献の一環として取り組んでいる活動だという。



広大な川崎重工の工場の間を突き抜けていく。多数の線路が敷設された場内には様々な鉄道車両の姿が見える。撮影禁止が残念だけれど、見ているだけでもワクワクする。工場オフィスビル前には懐かしい0系新幹線と特急つばめが展示されていて撮影OK(のはず)だ。



新長田駅の南に縦横に広がる商店街ゾーンにやってきた。アーケードで日射しが遮られるのが嬉しい。阪神大震災で大きな被害を受けたところで、ハード面での復興は進んだけれど、思うような賑わいには至っていないように思う。今はコロナとの激しい闘いの最中だ。



駒ヶ林駅前にある呉の総司令官、周瑜の像。新長田の商店街には多くの三国志関連施設で溢れかえっている。10年ほど前には様々な三国志イベントにも参加したけれど、最近は賑わっているのかなぁ…。フラグや看板など、10年前からあまり変わっていないように感じる。



阪神大震災からの復興シンボル、新長田駅前の鉄人28号像。神戸出身の漫画家、横山光輝の代表作だ。三国志も横山光輝が壮大なスケールで描き上げた大作だ。新長田が一層の賑わいを取り戻すため、さらに魔法使いサリーや仮面の忍者赤影なども投入されるかもしれない。



神戸西部3都とは、三宮、元町、ハーバーランドだけではなくて、神戸の西側にも賑やかな(実際のところは、賑やかになってほしい)町がありますよ、といいたいのだろう(さらに西には須磨や垂水もあるんだけどね)。歩行距離11.8㎞、とにかく暑かった…。