長水山・篠ノ丸(宍粟市)

 2021年9月13日


昨日の尼子城に続いて、西播磨山城トレッキングスタンプラリーの対象となっている宍粟市の長水山に向かう。各市町から一城ずつ選出されているなかで、兵庫県下第二の面積を持つ宍粟市だけは長水城と篠ノ丸城の2城が対象となっている。頑張って2つとも制覇するぞ。



しーちゃんバスというコミュニティバスで、長水山の南麓にある宇野という集落にやってきた。明治6年開校という古い歴史を持つ小学校は、かつて長水城の大手口があった場所と伝わるが今年度で廃校になるという。横断幕を見て少しセンチな気分になる。



ピストンでの登山を嫌って、敢えて難路と思われる南側から登り、西側の尾根から下る作戦だが、いきなり「ヒルに注意」の標識。廃校になる小学校の生徒が作ったものだ。足回りにヒル除けスプレイをたっぷり吹き付けてヒル山に突入する。



思っていたよりも道が荒れている。岩ゴロゴロで歩きにくい。山の南斜面だというのに、何故か暗くてジメジメした感じが強い。



沢のような沢でないような道を登っていく。木の階段も崩壊していて、邪魔な障害物でしかなくなっている。厄介なことにマムシに遭遇。他にも色々とヤバい連中が潜んでいそうな山だ。



その後もマムシに出会い、アブに追われ、そして急坂で息切れがひどい。早くこんな道を抜けだしたいけれど、いつまでも危険そうな道が続く。こんなところで藪漕ぎなんてしたくないよ~。ヒルもマムシもアブも、山城の守備に一役買っていたのではないかと想像する。



ようやく腰を下ろせそうなところを見つけて足元を点検すると、ヤマビルがしっかり食いついている。周囲を見渡せば地面のアチコチでヒルが触手を伸ばしている。ヒル除けスプレイで退治に取り掛かるが、スプレイの泡のなかでいつまでも動いている。実にシブトイ…。



キノコもでかい。ペットボトルを横に置いてみたが、径20㎝超のものが、あちらにもこちらにも見える。



登っても登っても稜線に辿り着かない。堪らず腰を下ろすことを繰り返しながら、やっとの思いで打込ハギの石垣が残る長水城跡がある山頂(584m)に辿り着いた。赤松氏の流れを汲む宇野氏が拠っていたが秀吉により落城した。そういえば麓の集落の名前も宇野だった。



無事長水城跡のスタンプをゲット。標準タイム1時間15分のところを2時間以上も掛かってしまい、ヘトヘト状態だけれど、まだ今日の予定の2割ほどしか歩いていないことに愕然としてしまう。山頂で小一時間ほどの休憩と腹ごしらえをして、さあ出発だ。



長水山からは西への尾根道を下っていく。なだらかな下りなので快調に歩いていける。メインの登山道だけに道はよく整備されている。両側ともに深い谷なのに、突如右から鹿が駆けあがってきて、そして左へと駆け下りていく。凄いフットワークだ。



途中にある展望台。いや元展望台というべきだろう。説明板には男鹿島など瀬戸内が見渡せるとあり、望遠鏡らしきものも設置されていたようだけれど、今や樹木に覆われて眺望は全く無くなっている。



どうせ詰まらない山だろう、とは判っていても、わざわざ遠回りをして北山の山頂(412m)まで登ってきた。予想どおり三角点があるばかり。



北山からは激下りの無限階段が延々と続く。長水山への登り道で蓄積した疲れも相まって、足腰が辛い…。



下山口にある伊沢の里で長水山の缶バッジを貰う。温泉とレストランがあり宿泊もできるようだ。そういえば国見山の登山記念でここの入浴券を貰っていたはずだけれど失ってしまった。もっとも入浴すると、もはや歩けなくなるのは必定だ。



疲れた体に鞭打って本日2つめのターゲットになる篠ノ丸へと向かう。標高は324mだというが、既に憔悴した体で登っていけるものだろうか…。



篠ノ丸城の東麓から、標高200mあたりまでは舗装された道を進むが、これがキツイ。犬を散歩させているおばさんにも追い付かれる始末。どうにかこうにか登城口までやってきたが、ここから更に急な登り道が待ち構えている。



う~ん、写真では大した斜度には見えないなぁ…。でも、この辺りが一番キツかったところだ。



やった~。到着だ。篠ノ丸城跡の石碑が土塁跡の上に建てられている。秀吉の制圧後には黒田官兵衛が城主になったという。NHK大河にも出てきたところよ、と犬の散歩のおばさんが教えてくれた。



スタンプも無事ゲット。スマホを使ったデジタルスタンプラリーの特長をよく生かした繊細なスタンプに満足度は高い。



篠ノ丸城の郭はかなり広く、相当な兵数を収容できそうだ。土塁や空堀の跡も残されていて、素人目にも往時の縄張りが想像できる。



堀や土塁はよく保全されているのだけれど、城の周囲を取り囲む木柵はちょっとお粗末。板に絵を書いてあるだけだ。大したコストも掛からないだろうから、木柵や逆茂木を再現してもらえれば嬉しいんだけれど。



紅葉の名所、最上山を通って山崎の町まで下山していく。既に色づき始めたモミジも見られる。



古い町並みが残る山崎。が、なんと缶バッジを貰えるはずの観光案内所を兼ねた山崎旅館は定休日。ショックだ。しかも、山頂だと思っていた篠ノ丸城跡がそうではなく、少し離れたところに山頂あったことに気付き二重のショックだ。ピークをひとつ取り損ねた…。



本日の歩行軌跡。距離10.3㎞、獲得標高は871m。大したこともないコースのはずが、休憩ばかりして7時間ほどもかけて、辛うじて歩き通せた。もはやこのくらいの山歩きが限界と考えるべきなんだろうか。老いを感じる…。