高岳(猪名川町)

 2022年5月22日


10年以上愛用してきたSUNTOOの腕時計が傷だらけになってきて、液晶の劣化のせいか文字も不鮮明になってきた。様々なアウトドアウォッチを比較した末にGARMINのEPIXを購入してしまった。ポンコツハイカーには過ぎたる最新・最高級のGPS・スマートウォッチだ。



高輝度タッチディスプレイに多種多様なウォッチフェイスが用意されている。表示データや文字色なども細かく設定できる。高度計やコンパス、心拍数計測などセンサー類はもちろん、様々なアクティビティをサポートする機能はてんこ盛りだ。



新しい腕時計のデビューに選んだのは、大阪府・兵庫県の境界に聳える高岳。あまり人気のある山ではなさそうだけれど、頂上まで往復3時間くらいとはいえ、結構登りはキツイという。気になっている登山中の心拍数コントロールを試すには程よい山に感じられる。



猪名川町の北端近くにある猪名川変電所の横に高岳への登山口がある。おそらく日本海側の大型発電所からの電力を大阪に送り込むための施設だろう。そのあたりの変電所とはスケールが違う。



簡易舗装が施された渓流沿いの登山道を登っていくと、いくつかの場所でキャンプを楽しむ人々の姿が見える。朝食の準備だろうか、煙がもうもうと立ちこめている。



徐々に登山道は車での進入が難しい自然道へと変わっていくが、バイクで山に入ってくる若者の姿も少なくないようで、それぞれがキャンプを張っている。ハイカーには人気の無い山だけれど、キャンパーには人気の山のようだ。



今日はバテない登山のための心拍数管理を試してみたい。最大心拍数の7~8割で歩くのが良いらしいけど、頑張って歩くとすぐ無酸素運動(エキスパートゾーン)に入ってしまう。心拍数130ほどになるペースを心がけて歩いていくが、これがなかなか難しい。



思い通りに時計の操作ができず戸惑うことばかりだ。加齢とともに下がる最大心拍数は理論上は156なので、120くらいの有酸素運動が最も効率が良いのだろうけれど、140を越してしまいがちだ。時計操作のため立ち止まるのは結果的に心拍数管理のうえでは都合が良い。



石がゴロゴロとして歩きにくい道が続く。適所にあるテープがなければ進むべき道を見失いそうなところも多い。



猪名川の上流になると思われる渓流沿いの道は、右に左に渡渉を繰り返す。水はとても澄んでいてキャンパーがこの山を好む理由も判るような気がする。



ガーミンには地図も標準装備されている。2万円近くする別売の詳細な登山地図アプリは、YAMAPもあるため購入を見送ったけれど、標準地図でも等高線や渓流、さらにこの人気のない登山道でさえ表示され、歩行軌跡も記録されている。



道には倒木も多く結構荒れている。過去の事故による古傷のため、右足が上がりにくいので、この程度の倒木でさえ越えるのは結構大変なのだ。



渓流の近くに、ハート型の葉を持つ草が群生している。自生のワサビかぁ?と思ったけれど、ちょっと違うような気がする。



登り始めて1時間半ほど。心拍数130程度になるように適宜ペースを落としたり休憩をしながら進んできた。ここで健脚ハイカーに一気に追い抜かれる。つい張り合う気持ちも湧いてくるけれど、もうそんな歳でもない。今日は無酸素運動にならないよう心がけよう。



赤白の鉄塔がある高岳の頂上が見えてきた。おそらく航空法の関係で頂上の鉄塔だけは赤白に塗り分けられているのだろう。あとひと息、心拍数を確認しながらザレた道を登っていく。



高岳山頂(720m)に到着。ハイカーが登頂記念に取り付けたと思われる山頂標識がやけに多い。2つ目以降はゴミか落書きのようなものなんだけどねぇ…。やけに蝿や蜂が元気に飛び回っていて、あまり休憩にも適さない。



山頂には眺望が無いけれど、すぐ近くの赤白鉄塔までやってくると眺望が開ける。子の送電線の真下には登山口の変電所があるはずだ。



今日は来た道をそのまま下っていくピストン登山だ。道に迷いもなく、急坂に転ばないことだけに注意して下っていくのだけれど、楽そうな下りでも、意外に心拍数は下がらない。歳とともに心肺機能が低下していることは否定できない。



登ってきた道を戻るだけのはずなのに、しっかりと道を間違える。先ほどまで所々に見えたテープがどこにも見当たらないところにやってきた。山では道から10mもズレると迷子状態になってしまいがちだ。方向音痴気味のハイカーならずともGPSアプリは必須だ。



これまで登り下りで同じ道を歩くため退屈そうなピストン登山はなるべく避けてきたけれど、最近は登りと下りでは景色の見え方がまるで違うことを感じていてピストン登山を見直している。渓流などでも上流を見上げるのと、下流を見下ろすのでは、感じるものが違う。



下山口に近づくと花が増えてくる。この黄色い花は、どうやらジャケツイバラのようだ。枝が絡まり合っているのが蛇のようだということで蛇結茨と名付けられたそうだ。それとは関係ないだろうけれど、アオダイショウも何匹が見かけた。



堰堤の上流部の池には、上高地の大正池のように何本もの立ち枯れの木が残されていた。



本日の歩行距離5.5km。獲得標高は540m。所要時間は3時間20分。比較的短い山歩きなので大して疲れてはいないようにも思うけれど、疲れていないなんてこともない。心拍数管理の成果は不明だ。



ガーミンにも様々なデータが残される。平均心拍数は狙いどおりの130になっている。しかし130に合わせるため多くの休憩を挟まなければならなかったことも事実。移動時間は所用時間の3分の2程度でしかない。意味不明のデータも多く、かなり勉強が必要そうだ。