2022年5月2日
午後からの空き時間を利用して高御位山を主峰とする播磨アルプスに向かう。低山とは思えない眺望と岩稜を楽しめる人気のコースだけれど、時間もないので、今日は東側の5山だけを歩くことにする。
もともとは高御位山の東にある成井登山口から登り、南側の辻登山口に下山するつもりだったけれど、これまで歩いたことがない逆コースを行きたくなったので一般道を30分ほど南に歩き、辻登山口から入山する。時刻は既に午後3時前だ。
以前この道を下ってきたことはあるけれど、登るのは初めて。記憶していたとおりの急坂が続くけれど、成井登山口からの長い階段上りに比べれば気持ち良く歩ける。
播磨アルプスは基本的に岩山ばかりなので、どこから登っても岩場や岩稜が多い。辻登山口から20分ほども歩くと、やはり岩だらけの道になってくる。
秀吉が加古川の志方城攻めの際に指揮をとったと言われる太閤岩。かつでお尻のポケットにスマホを入れた状態でこの岩に座ってしまいスマホを破壊してしまった、という苦い思い出のある場所だ。
本日の第一峰、旗振山(160m)。擦れて読みにくいけれど「米相場 中継所跡」と書かれた札がある。大阪を中心とした旗振り通信では、大阪・岡山間を15分というスピードを誇っていたという。実に興味深い。
続く北山奥山が目の前に現れた。頂上までの道が良く見える。遠目には階段のように見えるんだけれど、こんなトコに階段など無かったはずだ。
進んで行くと、草木のなかを貫くように岩だらけの道が続いている。人が歩いているから土が削れて岩肌が現れたのか、あるいは草木が育たない岩の多いところを選んで人が歩いたのか…、山道はどのように作られていったのだろうか。
北山奥山(183m)。文字が消えた道案内標識は残るものの山頂標識は見当たらない。進む方向に高御位山がそそり立っている。予定では17時には高御位山の頂上に到着することになっているのだけれど、あと1時間20分で行けるんだろうか…。
中塚山(164m)を過ぎると、高御位山を中心とした播磨アルプスの山稜が美しく見渡せるようになる。300mほどの低山とは思えないほどの素晴らしい眺望で、空は晴れているのに、細かな雨がパラパラと降ってきた。嫌な予感がするぞ。
この先、さらに大きな岩稜がいくつか待ち構えているはず。雨のなかの岩歩きは危なっかしいなぁ、とは思うものの、天気予報では一日中晴だったはずだし、今のところ大した雨でもないので、そのまま高御位山へと向かって進んで行く。
小高御位山に近づくと、いよいよ大きな岩稜が登場する。四つん這いにならずにはいられない紅山の岩稜に比べればマシとはいえ、相当な斜度だ。
グリップは効くとはいえ、雨が降ればきっと滑りやすくなるはずだ。以前おっかない気持ちでここを下った際には、登る方がマシと思ったものだけれど、登るのもかなりキツい。
少し寄り道して小高御位山(185m)の山頂へ。GPSの誤差のせいだろうか、YAMAPでは既に登頂済になっていたけれど、実際にはこれが初登頂だ。なかなか良い眺望で平荘湖アルプスや加西アルプスの山々がよく見渡せる。
いよいよ残すは高御位山のみ。いかにもラスボス感を感じさせる山容だ。
小高御位山から一旦下りて、再び岩だらけの道を進んで行く。一枚岩の岩盤よりも、大小の岩がゴロゴロと転がっているような道の方が歩きにくい。
なんて思っていたら、一枚岩の岩盤が再び登場する。やはりこちらも歩きにくいし、おっかない。どっちもどっちだ。でも、これが楽しい。
予定通りの時刻に高御位山(304m)の山頂に到着。
歩いてきた山々が見通せる。山に登ると未だに距離感が麻痺してしまう。写真の左奥から山に入り、ここまで2時間ほどで歩いてこれたことが信じられないような気分だ。登山地図にある標準タイムどおりなんだけれど…
などと思っていたら、かなりしっかりとした雨が降り始めた。慌てて高御位神社の拝殿に駆け込むが、雨雲レーダーを見ると少々待っても雨は上がりそうに思えない。もう17時過ぎなので、のんびりしていると日が暮れてしまう。
分厚い緑に覆われているとはいえ、道には早くも水溜まりができようとしている。一度ずぶ濡れ状態になってしまうと、もはや雨は平気になってくる。ただ滑って転ばぬように、逆にゆっくりと山を下っていく。
高御位神社の立派な山門がある成井登山口まで無事下山。雨に降られたのは整備された下山道だけで、厄介な岩稜歩きを雨が降る前に済ませていたことはラッキーというよりほかない。
山のなかでは遠く感じるものの実際に歩いた距離は僅か5.7㎞、獲得標高465m。所要時間は3時間10分ほど。
YAMAPを試し始めたのが3年前、本格的に使い始めたのが2年前。今日登った北山奥山が記念すべき兵庫300座目となった(実際にはYAMAP参加前に登った山なんだけれど)。コロナ禍もあって兵庫県内からほとんど出ない日が続いたせいで、兵庫県外の山はごく僅かだ。