2013年8月18日(日)
那須は、皇室の御用邸があることからも判るように、関東における代表的な避暑地で、豊かな自然が広がっている。加えて、遊園地、牧場、美術館、サファリパークなど、たくさんのレジャー施設が設置されている。1泊して帰るべきところではないのだろう。
福島県との県境に程近い。白河の関とか、大内宿とか、少し足を伸ばせば、福島県の魅力的な観光スポットにも立ち寄れるのだが、今日の宿泊予定は、茨城県の大洗。那須でのんびりすることも、福島に行くことも諦めて、自然豊かな高原地帯を通り抜けて、東南に向かう。
大田原の牧牛地帯を通り、茨城県の久慈郡大子町に入る。大子は「だいご」と読む。簡単そうで、なかなか読めない地名だ。茨城といえば、納豆。奥久慈の道の駅で、塩トマト甘納豆なるものを発見。塩と甘の2文字が既に矛盾しているようだが、相反するはずの2つの味が相互に引き立てあって、なかなか美味しかった。
一昨年のNHKの朝の連続ドラマ「おひさま」 のロケ地になった旧上山小学校を偶然発見。実は「おひさま」って見たことがない。長野県を舞台にしたドラマだったというが、この校舎に代わるところが無かったのだろう。他にも、数多くのドラマ、映画、CMなどのロケ地になっているらしい。
常陸大子駅を通りかかる。何やらイベントが開催されているようで、大勢の人たちが集まっている。大子町のゆるキャラ「たき丸」も登場している。町のシンボルである「袋田の滝」だけでなく、桜に梅に鮎にリンゴと、大子町の名物を、これでもかという程に欲張って、頭の上に載せている。
この週末、水戸駅から常陸大子駅まで、特別仕様のトロッコ風列車が運転されているらしい。たき丸だけでなく、女子高生など、多くの地元の人たちが大子町にやってきた人を歓迎するため、駅前で、お茶を振る舞ったり、団扇を配ったり、名物の軍鶏飯を販売したりしていた。
華厳の滝、那智の滝と並んで、日本の三大名瀑に数えられる袋田の滝を訪問。300円を支払い、300mほどのトンネルを潜っていく。何故か、このあたりは、東京五輪招致活動を積極的に繰り広げていて、町中にポスターなどが溢れている。トンネルの入り口にも五輪が飾られている。
4段の大岩壁から成る大規模な滝だ。高さは120m、幅は73mあるらしい。
滝の水は、細い白糸のように、岩肌でいくつもの細かな流れになっている。大きな滝だけど、とても繊細な水の流れだ。
話のネタに、常陸大宮市にある、水戸黄門に出てくる「風車の弥七」の墓を見に行く。関東から外に出たことも無い水戸黄門が、全国各地を漫遊するというTVドラマはフィクション満載。風車の弥七など実在したとは思えないのだが、松之草村の小八兵衛という忍者が実在していて、弥七のモデルになっているということなのだ。田舎の町興しとしては、面白いと思っていた。
高台にあるお墓(弥七の墓の隣に、お新の墓もある)に詣るには、線香代100円が必要。献花が300円。弥七の屋敷跡から発掘された壺の拝観に300円。維持管理にお金も掛かるだろうが、何とも興醒めてしまった。お金を払ってまで、近くで見たいとは思わない。
周囲には風車がアチコチに飾られ、弥七やお新のTシャツやら帽子やら、グッズまで販売されていた。常陸大宮市が案内標識を出すなど、力の入った観光スポットなんだけど、何もない道を延々と走り続けてまで訪問する価値があったとは思えなかった。
常陸太田市にある、西山荘を訪問。水戸黄門こと、徳川光圀が隠居所で、ドラマでもよく登場するところだ。
当時の敷地の3分の1ほどが保存されてるそうだが、それでも広大な敷地に、風情のある建物、門、庭、池などが設置されている。
土産物コーナーには、印籠やら竹杖やら、水戸黄門ファン垂涎のグッズが溢れかえっている。お酒も水戸黄門に因んだ名前が付いたものが多く見られる。しかし、圧倒的な存在感を放っていたのは、「悪代官」という大吟醸。インパクトがありすぎる。買ってしまった・・・。
夕刻、大洗海岸の宿に到着。
部屋のバルコニーの目の前が海岸。椅子にもたれて、海を眺め、寄せては返す波の音を聞いていると、とても心が安らぐ。長い時間、ぼーっとしていた。
(4)に続く