2021年1月11日
YAMAPに投稿されている活動日記を調べたところ、六甲山上まではノーアイゼンで登れるようだ。明日は阪神間でも雪が降るようなので、登れるところまで登ってみよう。六甲ケーブル下からアイスロード登山道で六甲山上を目指す。
六甲ケーブル駅から登山口までは、まず歩道のない道を1㎞近くも歩かなければならない。表六甲ドライブウェイへと続く道だ。メジャーな登山道のなかで、アイスロードの人気がイマイチなのは、登山口へのアクセスが問題なのではないかと思う。
六甲有料道路の入口にある電光掲示板は「凍結・スリップ」の注意が表示されている。この3日ほどは穏やかな日が続いたけれど、登山道はどんな具合だろうか…。念のため簡易アイゼンは持ってはきたけれど無理はするまい。
六甲ケーブル下駅から1㎞ほど歩いて、ようやく登山口にやってきた。かつてはここに六甲登山ロープウェイの発着場があったらしい。阪神がケーブルを敷設したことに対抗して、阪急がロープウェイを開業したものの、戦時中の鉄材供出で廃業となったそうだ。
登りはじめて間もなく、石段が凍結していることに気づく。登山口でこんな状況なのかぁ…。今も残るというロープウェイの遺跡を探しながらノンビリと登っている場合ではなさそうだ。
アイスロードという名前は、かつて六甲山の氷を大八車で神戸に運んでいたことに由来するという。当時とは道幅や勾配はそのままでも、崖から崩れ落ちてきた石がゴロゴロと転がっていて、今や大八車を引くことなどとてもできそうにない。
標高500mを少し超えたあたりだというのに、小さな滝が氷結している。路上にも分厚く凍結しているところが現れる。無理せずこのあたりで引き返すか…、と思いつつも、もう少し進んでみようと、さらに登っていく。
寒いといえば寒いのだけれど、氷点下ってことはないはずなのだけど、路面には残雪が多い。もっとも雪よりも厄介なのは氷だ。
ところが、日のあたるところにやってくれば、先ほどまでの残雪が嘘のように、まるで晩秋のハイキングの様相だ。標高が高くなれば、雪が深くなり、氷が厚くなる、というほど単純なものではないようだ。
結局アイゼンを付けることもなく、1時間20分ほどで六甲山上(六甲山頂とは異なる)まで登ってきた。標高は760mほど。幸い積雪は大したものではない。
六甲山ホテル。国の近代化産業遺産に登録されている美しい建物だ。六甲山登山ロープウェイの終点はこのホテルの前にあったという。最近阪急が経営権を譲渡し、六甲山サイレンスリゾートという名前に変わったけど馴染めないなぁ…。バス停名は未だ六甲山ホテル前だ。
六甲山頂には向かわず、油こぶしルートで下山する。今日は冬の六甲に登ってきたことだけで大満足だ。六甲ケーブルの山上駅への道は車道以外は雪で埋まっている。足跡の無いところの雪を踏むのはとても楽しい。ギュッギュッと締まった音がする。
六甲ケーブル山上駅。車寄せの三角の庇がユニークなレトロな建物だ。おそらく昭和7年の開業以来の建物なのだろう。これまた国の近代化産業遺産に認定されている。
ケーブル駅の屋上は天覧台と呼ばれる展望台になっていて神戸の街が一望できる。。昭和天皇の来訪を記念して名付けられたという。キジ?のモニュメント?は何を意味しているのだろうか。
天覧台のレストラン脇に、少々溶けかけた雪だるまが残っている。雪が降ってから3日間溶けずに頑張っているようだ。
ケーブル山上駅の脇にロープウェイの鉄塔が立っているが明らかに今は使われていないものだ。これは六甲登山ロープウェイではなく、六甲有馬ロープウェイの一部。ケーブル山上駅から天狗岩経由で六甲山頂カンツリークラブまでの路線で長らく休止中のものだ。
油コブシに向けて下山していく。それほどの急坂は無い道なので多少雪が残っていても問題なかろうが、用心して歩いていく。最近転ぶことが多くなった。とにかく転ばずに無事下山することが最大目標だ。
ここが油コブシ(標高625m)の頂上なのだろうか。三角点がある。変な山名だけれど、昔、神戸から有馬や丹波に菜種油を運ぶのにこの道を利用していたものの、険しい道のためよく油をこぼしたことに由来する名前だそうだ。
油コブシから先は斜度が厳しくなる。10人ほどのトレイルランナーが次々と後ろから追い抜いていく。よくまあ転ばずに駆け下りていけるものだ。
マスクが木に吊られている。想像するに、マスクをして登り始めたハイカーが息苦しさを感じ始め、マスクをポケットに入れ損ねたものを落としたのだろう。落ちているマスクがあると間もなく下山口。最近の登山あるあるだ。
海に面した神戸の街並みを横目で楽しみながら六甲ケーブル下駅へと向けて下山していく。
残雪や凍結に臆病すぎたかもしれないけれど、登り始めて4時間弱で六甲ケーブル下駅に無事帰ってきた。何とかなるものだ。次は晴れた日に摩耶山あたりに登ってみよう。
歩行軌跡。うっかりとYAMAPの活動開始ボタンを押し忘れてスタートしてしまった。G(ゴール)からS(スタート)までの間は、お絵かきソフトで追記したもの。同様のルートを歩いた記録によれば歩行距離は8㎞、累積標高は600mほどのはずだ。