摩耶山(山寺尾根~天狗道・学校林道・旧摩耶道)【六甲山系】

 2021年1月15日


摩耶山に登る道はいくつもあるけれど、厳しい急坂が続くということでこれまで回避してきた山寺尾根から初めて登ってみる。カスケードバレイ(杣谷道)から分岐して摩耶山に直登するルートになる。地図を見ても等高線の間隔はとても狭いが、大丈夫だろうか…。



神戸護国神社前からスタート。まずはカスケードバレイへの登山口を目指す。いつものことながら市街地だというのに、この坂がキツイ…。杣谷川堰堤がある登山口に到着するまでの20分ほどで早くも息が弾んでくる。



杣谷川に沿って山へと入っていく。しばらくは昨年にも歩いた杣谷道(カスケードバレイ)を進んでいく。



登山道から10分ほどで、杣谷道から分岐して山寺尾根に入ると、いきなり厄介な道となる。予想通り急な勾配だけれど、加えてゴロゴロとした岩を登っていくのが辛い。右足を高く上げるたびび古傷の股関節が痛む。



松の木というのは凄い生命力だ。岩ばかりと見えるところでも、わずかな岩の隙間に根を伸ばしている。いや根が少しずつ岩を押し、そして割っているのかもしれない。



勾配がさほど急とは思えない(登りが続きすぎて麻痺しているのかもしれないが…)のだけれど、木の根や岩で覆われた道に予想以上に体力が奪われる。堪らず適当な岩に座り込んで長い休憩を取る。



一本道で迷うことはないのだけれど、登っても登っても進んでいるような気がしない。歩くペースはどんどんと落ちていく。



摩耶山の掬星台まで長い階段が続く。右の太腿を持ち上げるたびに感じる股関節の痛みは慣れっこになっているだけれど、長い時間、腿上げを繰り返していたためか、右臀部まで痛みが伝播してきた。それにずっと上ばかり見ているので、首も痛くなってきたぞ。



標準時間の1時間20分を15分ほども上回っての登頂となったが、無事掬星台まで登り切ることができた。山寺尾根への降り口には、急勾配が続く難路なので登山装備が必要との注意書きが見られる。



掬星台(標高690m)は摩耶ロープウェイの終着駅で、多くの人はここが摩耶山頂だと思っているようだけれど、山頂(標高702m)は少し離れたところにある。ここまで軽装でロープウェイでやってきて、下りは楽だろうと厳しい山道を降りていく人が少なくないようだ。



今登ってきた山寺尾根方向を掬星台から見下ろす。神戸ばかりか大阪湾全体が見渡せる。ここを八州嶺とも呼ぶらしいけど、摂津、播磨、和泉、河内、淡路は当然としても、紀伊、さらに阿波、讃岐まで見渡せるということだろうか。



山寺尾根では残雪を見ることが無かったけれど、掬星台の広場のうち、端っこの日の当たりにくいところにはいくらかの残雪が見られた。



掬星台で暖かい缶コーヒーを飲んで、体力回復を多少したところで、天狗道から下山していく。須磨から宝塚までの六甲全山縦走路のなかでも菊水山と並ぶ難所だ。逆方向(東から西へ)ならば多少は楽とはいえ、やはり厄介な道だ。



山寺尾根同様に、岩や木の根っこが多い、登ったり下ったりの道が続く。もっとも山寺尾根を歩いた後なので、勾配はさほど大したものには感じない。



いつまで経っても初心者レベルのヘッポコハイカーなので、六甲全山縦走を1日で歩くなんてとてもできない。何年か前に3日かけて全行程を踏破したのが精一杯だった。老化が進んだけれど今も3日で歩けるだろうか…。近いうちに再挑戦してみたい。



天狗道から分岐して学校林道を南下する。新神戸への下山ルートはいくつかあるけれど、是非とも東山という山に立ち寄ってみたいのだ。



学校林道とは不思議な名前だけれど、かつて学校で植林の重要性を教育する一環で学校林を設けたことに由来するらしい。もっとも道の周囲は植林を感じさせない荒れようで、道自体は判りやすく難路でもないけれど、倒木も多くあまり整備の手が入っていないようだ。



学校林道が旧摩耶道と交差するあたりに、石垣が見られる。中世の山城のものではなく、80年ほど前に造られたものだ。ここが目指す東山になる。東山山頂には太平洋戦争時の高射砲陣地があったという。



塹壕だろうか、弾薬庫だろうか、コンクリートの構築物がいくつか見られる。以前訪問した友ヶ島の陣地に比べると簡素なものに感じる。戦況悪化のもとでの急拵えかもしれない。神戸大空襲の際には多少は役に立ったのだろうか…。



東山山頂から直接下山するコースを少しだけ進んでみる。神戸の街に真っ逆さまに下りていくような道だ。景色は素晴らしいけれど、こんな直滑降のような道を下っていくような技術も勇気もなく、旧摩耶道へと引き返す。



旧摩耶道は名前のとおり、摩耶山に登る昔の主要道だったけど、片方が深い谷に面しているなど、おっかないところがあるせいか、最近ではあまり利用する人はいないという。斜面から谷方向へ横向きに生えた幹からの何本もの枝が上方へと伸びている櫛型の木が面白い。



旧摩耶道の終点は新神戸駅の北東にある雷声寺の境内にある。不動明王に無事下山できたことを感謝して、疲れた足を引きずるように市街地を抜けて新神戸駅へと向かう。



新神戸駅。神戸の街の山の縁に無理やり造られたような駅だけれど、考えてみればこれほど便利な登山口って、他にあるだろうか。駅がそのまま登山道に直結している一方、新幹線ばかりか、地下鉄やバスも頻繁に走っている。



本日の歩行軌跡。歩行距離は8㎞ほど。体の右半分が痛い…。



標高軌跡。登りと下りでは勾配が倍以上違うようだ。