摩耶山(青谷道~上野道)【六甲山系】

2021年2月19日


最近の登山を振り返ってみると、長い階段をオーバーペースで登ってしまい早々にバテてしまうことが多い。先日の錨山や市章山もそうだった。今日は青谷道から摩耶山に登ってみよう。この道も延々と続く階段で有名なところだ。



王子動物園の北に広がる住宅街を抜けて登山道に入っていく。毎朝連れだっての登山を日課にしている人が多いところのようだ。一方でお喋りを楽しみながらの早朝登山を苦々しく思っている住民も多いのだろう。しばらくは「無言地帯」が続く。



摩耶山まで青谷道で登って上野道で下るというコースは、おそらく六甲山系では五指に入る定番登山路だけに、危険個所もなく道に迷う心配もないが、後半に待ち構える階段はなかなかのものだ。緩やかな道が続く序盤からマイペースを心がけて歩く。



青谷道に沿って神戸唯一という茶畑がある。ちょっと場違いとも思えるけれど、明治時代には神戸でも阪急王子公園駅から春日野道駅の辺りには茶畑が広がっていたそうで、海外にも輸出されていたそうだ。



日中は多少過ごしやすくなったものの朝晩はかなり冷え込む日が続いているのだけれど、山中でも白い梅が開花している。



行者堂の手前に落差10mほどの滝がある。人里近くのこのクラスの滝口には立ち入れないようにしているのだけれど、ここでは滝の真上まで入りこむことができる。滝壺を上から覗き込むこともできそうだけれど、怖ろしくってこれ以上滝に近づけない…。



行者堂を過ぎると、少しずつ道は険しくなってくる。日が当たらない岩場には凍てついているところもある。



さあ、いよいよ長い階段ゾーンが始まった。とにかく急がずマイペースを守って登っていくことを心がける。



ゆっくりとではあるけれど、ほぼ立ち止まることなく上野道との合流地点までやってきた。ここからはさらに厳しい階段が待ち構えている。有難いことにベンチがあるので、階段第二ゾーンに備えて給水を兼ねて休憩をとる。



大化の改新の翌年に開基されたという天上寺の仁王門が現れた。昭和51年に放火のため全焼した天上寺だが、仁王門だけは残ったようだ。大きな下乗の石碑があるけれど、坂道を馬や輿で登ってくることは可能なのだろうか。



さあ、いよいよ天上寺跡へと続く長い長い石段が現れた。いったい何百段あるんだぁ…。



天上寺跡到着の直前で少し寄り道して摩耶の大杉にご挨拶。地面に寝転がるようにして下から撮影してみた。天上寺炎上に伴って枯死してしたというが、今も威風堂々としたもので葉も青々としている。完全に枯れてしまったようには見えない。



天上寺跡。石造物の遺構が残っている。今では摩耶山歴史公園となっているけれど、個人的には「神戸のマヤ遺跡」という俗称(というほど普及はしていないが)がとても気に入っている。摩耶山頂周辺にはさらにホテルや遊園地などの廃墟も数多く隠れているという。



5年ほど前の台風で倒れた杉の大木の下をくぐって摩耶山頂へと向かう。いつの間にか名所扱いになっているけれど、これ以上潰れることがないのだろうか。



さらに山道を登って摩耶山頂までやってきた。天狗を閉じ込めたという天狗岩が祀られている。六甲山系には知る限り3つもの天狗岩があって、どれも重要なランドマークになっている。ややこしいことだ。



掬星台。ロープウェイは例年どおり冬季は定期点検を兼ねて休業中だ。



掬星台の自販機で暖かい飲み物を購入して、屋根付きの巨大な休憩所でひと休み。100人ほども収容できそうな大きさだけれど、案内図では「あずまや」と紹介されている。こんな巨大な東屋が他にあるだろうか。



マイペースを守って登ってきたせいか、さほどの疲れはない。穂高湖あたりまで歩いてみようかとも思ったけれど、今日は自重して下山することにしよう。



天上寺跡からの長い石段を下っていく。登るのも辛いけれど、下るのも結構大変だ。



登ってきた青谷道ではなく、上野道で下山する。青谷道と比べると眺望が開けたところが多く、なんだか明るい道に思える。



始点も距離もほぼ同じなんだけれど、上野道の方が平坦な道で歩きやすいと感じる。登りと下りでは同じ道でも印象は変わるものだけれど、今度はマヤ遺跡探訪を兼ねて上野道から登ってみよう。



五鬼城展望公園。神戸ばかりか大阪湾を隔てた町まで手に取るように見える。どうも南北朝時代の山城跡のようなんだけれど判らない。こんな気になる名前なんだから説明板くらいは欲しいものだ。



五鬼城跡で眺望を楽しんだのはいいけれど、その後は町に下りていくにつれて不法投棄のゴミばかりが目に付く楽しくない道が続く。ただ、よく見かける「この先行き止まり」の看板に「車は」と書き足されていたことが嬉しい。この2文字がハイカーには超重要なのだ。



本日の歩行軌跡。西側が往路に歩いた青谷道、東側が復路の上野道。歩行距離6.5㎞、累積標高710m、所要時間3時間半の軽めの山歩きで、余力を十分残して帰路につく。



最近になってYAMAPの歩行軌跡で休憩個所にコーヒーカップのマークが付くようになった。3分ほどの休憩でもマークが残る。今回は上野道・青谷道分岐点、掬星台、五鬼城公園の3ヶ所だけれど、今後コーヒーカップだらけの恥ずかしい歩行軌跡が増えそうだ。