2021年2月24日
3日前、道を誤って軟弱な地盤の急斜面で全身を蔓に絡まれ棘に刺され、進むことも退くこともできないという大ピンチに陥った平野谷。性懲りも無く、同じルートで鍋蓋山を目指すため、再び五宮神社にやってきた。
念のため、手元の六甲山系の地図は勿論、YAMAPに加えてヤマレコまでスマホにセットし、先日首や足に纏わりついてきた蔓に備えてナイフまで持ってきたぞ。まあ安全に正しい道を歩けばいいだけのことなんだけど。いつもにも増して緊張感をもって山に入っていく。
歩き始めて20分ほどで先日道を間違ったところまでやってきた。なんと迷い込んだ道の入口を塞ぐように木の枝が3本ほど置かれている。自分の足跡を見て、どなたかが設置してくれたのだろうか。色々な人に心配を掛けてしまったようで申し訳ない限りだ。
先日歩いていたのはこの崖のような急斜面の上だ。藪を掻き分けて少しでも安全に下りれるところまで頑張って進んで良かった。このあたりの崖を降りたなら無傷では済まなかった可能性が高かっただろう。
「落石注意」、「路肩注意」の看板がある。先日も藪を掻き分け山中の斜面を強行突破した際には、ボロボロと崩れる軟弱な地盤に怖い思いをさせられ続けた。
平野谷コースを30分ほど歩けば平野谷西尾根コースと二本松林道に合流する。どちらからでも鍋蓋山に向かうことができるが、比較的起伏の激しい西尾根コースを往路に選ぶ。谷道を離れ、ここからは笹が生い茂る尾根道を進むことになる。
道は半ば笹に覆われているけれど、危険個所もないし、息切れするような急坂もない。調子に乗って歩いて行けるが、大体トラブルはこんな時に発生するものだ。3日前のトラブルを思い出しながら、何度もGPSで道が間違っていないことを確認しながら進んでいく。
鍋蓋山が見えてきた。菊水山とか摩耶山とか、恰好いい名前が多い六甲山系のなかでは、かなりダサい名前を授かっている。西側からはちっとも鍋蓋には見えないのだけれど、南方から見れば鍋蓋の形状に似ているといえなくもない。
いくつもの登山路が交叉する七三峠とは、このあたりのようだが、何の標識も見当たらない。西六甲の要衝としてはちょっと寂しい…。
鍋蓋山頂に向けて登っていく。菊水山方面から登る六甲全山縦走路と比べると、鍋の蓋の上のように随分と緩やかな登り道に感じる。
山頂直前で広々とした六甲全山縦走路に合流する。1車線の村道から4車線の国道へと出てきたような気分だ。
標高486mの鍋蓋山からは、隣の菊水山から須磨の旗振山、鉢伏山に至るまでの六甲全山縦走の山々が一望できる。明石海峡の向こうには淡路島まで見通すことができる。
山頂碑には「トイレまで1800m」の標札が掲げられている。要するに菊水山の山頂までトイレは無い、ということだ。あと1時間くらい我慢しろということのようだ。
七三峠に戻るが、下山に予定していた二本松林道への道が災害復旧工事のため通行止になっている。やむなく猩々池から諏訪山へと迂回していくことにする。
が、猩々池へと向かう道で途中行き交ったハイカーから、二本松林道は通れるよ、との話を聞き、途中から二本松林道へと向かう。遠回りとはいえ、車も通れる平坦な道は快適そのものだ。
もっとも切り立った崖が多く、平野谷と同様に地盤は緩そうだ。路肩の崩落や崖からの落石が多発する道に感じる。
谷は深い。もし道が崩落すれば復旧にはかなり時間が掛かるのだろう。幸い崩落現場に出会うことなく二本松林道を通過できた。一旦猩々池へと向かったことで偶然にも回避できたのかもしれない。
二本松林道から平野谷西尾根ルートを下山するつもりでやってきたが、西尾根ルートの南側に向かう入口には「迷いやすく危険、他のルートを利用せよ」との注意看板が立っている。つい3日前にこの近くで道に迷っただけに、無理に危険ルートに突入できるはずもない。
結局、今や勝手知ったる平野谷を再び歩いて下山する。道を塞ぐ倒木を潜るのも、今週4回目になる。
3日前にはしっかりと立てられていたはずの、東尾根ルートへ向かう道(たぶん)の入口に掲げられていた「この道は通るな」の注意看板が破壊されていた。この3日間は強い風雨も無かったはずだけれど…。
平野谷を横目に見ながら下山していく。3日前に何事もなければ、さほど印象に残る山行ではなかっただろうが、危ない思いをした平野谷は永らく記憶に残る道になりそうだ。
3時間半ほどの山歩きを終えて、今日も無事下山のお礼を兼ねて五宮神社に再詣する。何年か前に一宮神社から八宮神社まで生田神社の八裔神を祀る8つの神社を巡るスタンプラリーに参加したが、今も開催中のようだ。
本日の歩行軌跡。ヤマレコのマップだ。歩行距離は8.2㎞。