寒天山道~天狗岩南尾根【六甲山系】

 2021年2月9日


これまで歩いたことがなかった寒天山道で六甲山上を目指してみる。麓で寒天を作っていたことに由来すると言われる爽やかな名前を持つ登山道だけれど、そこそこ厳しい道だとも聞く。



スタートポイントは渦森台という山腹に開発された住宅街。既に標高300mほどからの登山には後ろめたさもあるのだけれど、御影から渦森台までの退屈な一般道を歩く気にもならず、市バスに乗ってやってきた。



住宅街の北端にある渦森台公園にある長い階段から山へと入っていく。



序盤からなかなかの急坂が続くが、道はよく整備されている。階段や手摺りがすべて古い木製なのがいい感じだ。



山登りを初めて以来、T字型のシングルストックを下り坂だけに使うというスタイルを貫き通しているのだけれど、今日は今や主流のI型のダブルストックを登りから試してみる。両手が塞がる鬱陶しさを堪えて登っていくが、話に聞くほどダブルは楽に感じない。



右が険しい道、左が緩やかな道、とある。序盤の急坂で結構疲れたこともあり、躊躇なく緩やかな道に進む。トレッキングポールはもはや邪魔にしか思えなくなってきた。



ちょっと心細い道幅のトラバース。登りでもこんなところなら、路肩の具合を確かめながら歩くのにトレッキングポールは有用かもしれないけれど、2本持つ意味は無いように思う。



木を伐採したついでに、道案内を作ってくれている。林業関係者の遊び心によるものかもしれないけれど、人工物を持ち込んで立てられた標識とは違って、とてもやさしい気分にしてくれる。



油コブシとの合流点に近づくと残雪が目立つようになってきた。滑ることはないけれど、再びダブルストックで背筋を伸ばして地面を靴底全体で踏みしめるように歩くことを試したけれど、やはりダブルの効用は実感できない。正しい使い方を判っていないのだろうか。



歩き始めてちょうど1時間で油コブシと合流する。六甲山上はもう近いはず。さすがに渦森台スタートなら六甲山上までの所要時間はかなり短かそうだ。



たまに平坦な道が続くのは有難いけれど、登っていないと寒さが身に染みてくる。



木々の隙間から六甲ケーブルの山上駅が見えてきた。標高があがってきたこともあってか、登り道でも寒くてたまらなくなってきた。



ちょっと寄り道六甲山上駅の展望台にやってきた。写真の中央部がスタート地点の渦森台だ。ここまで1時間20分と短めの登山だったけれど、体が冷え切ってしまった。眺望を楽しみながら自販機のホットコーヒーを飲み、一枚重ね着をしてようやく人心地がつく。



山上を走るドライブウェイを歩いて、下山路に予定している天狗岩南尾根へと向かう。



長年休止中の六甲有馬ロープウェイの支柱の下を通って天狗岩へと向かう。マイカーやバスが交通の主役となり、ロープウェイ再開は絶望的とも感じる。再開に必要な老朽設備の更新には大金が掛かるし、かといって撤去する金もないといった悩ましい状況だと想像できる。



天狗岩への北斜面を登っていく。先日東おたふく山や蛇谷北山の北斜面で見つけた霜柱がないものかと探すが見当たらない。霜柱をザクザク踏んで歩く快感が忘れられないのだけれど、どこに行けば出会えるのだろうか。



天狗岩。掬星台や天覧台からの眺望も素晴らしいが、天狗岩からの眺望が一番という意見が多い。特に夜景を楽しむためにここまでナイトハイキングをする人が最近多いそうだ。



評判の高い眺望に向かって天狗岩から下っていく。再びトレッキングポールを取り出して、下り坂でのダブルストックの有効性を試してみる。



下りのダブルストックは確かに安定性を感じる。もっとも岩場など手を使う必要のある急坂ではストックが邪魔になるように思えてならない。



幸い、厄介な岩場などもなく、ダブルストックで快調に坂を下っていく。もっとゴツゴツした道だったように記憶していたのだけれど、松葉などが路面に積もって靴底に伝わる感触も優しい。



天狗岩南尾根を下ると、再び渦森台へと達する。予想していたよりも随分早くゴール地点の渦森台をはっきりと捉えるところまで下りてきた。



渦森台に近づくと、多少ゴツゴツした坂道になる。路面に突き出たアンカーボルトのようなものは何なんだろうか。かつて階段が設置されていた残骸のようなものだろうか。気を抜くと容易に躓きそうな厄介な道になっている。



ちょっとした渡渉をすれば、渦森台へと到着。3時間ほどで六甲山上まで行って戻ってこれた。半日かけての軽めの山歩きには丁度いい。



本日の歩行軌跡。立体地図に落とし込んでみた。