小野アルプス(福甸峠登山口より)

2022年4月19日


6年振りに小野アルプスの縦走に出掛ける。6年前にはシューズのアウターソールが剥がれた状態で急登の大岩盤に挑み、二度と登りたくないと思うほどの恐怖の体験をしたため、長らく敬遠していたのだけれど、今回は岩盤登りを回避するため福甸峠からの縦走を目指す。



小野市のコミュニティバスを利用して鴨池までやってきた。冬には無数とも思えるほどの鴨が飛来し、夏にはボート遊びで賑わうところだ。ここが最寄りバス停になるとはいえ、登山口がある福甸峠までは1.5㎞ほど歩かなければならない。



小野市と加古川市の市境付近に福甸峠の登山口がある。小野アルプスの西コースと書かれているが、ここから「白雲谷温泉ゆぴか」まで西コース→中コース→東コースと進み、12のピークの踏破を目指す。



いきなりシダなどが生い茂る歩きにくい道が続く。厄介なことに、暖かくなって虫たちも元気に飛び回っている。きっと蛇とか蜘蛛なども活動を開始しているはずだ。



登山口から数分で早くも第一峰、南野山(116m)を制覇。地元の野鳥会と歩人会が製作した山頂標がある。小野アルプスの標識類はすべてこの2団体の製作で統一されているので、とても整然としたものを感じる。



宮山(147m)を過ぎ、岩山(163m)までやってきた。名前通り頂上は岩稜になっているけれどこの程度の岩稜は全然平気で、むしろ楽しい。岩盤に腰を下ろして景色を楽しもうとしたけれど、左右からクマバチの偵察兵が現れたので急いで退散する。



岩山からは岩稜のアップダウンが続く。歩き始めは調子がいいと思っていたものの、次第に息が上がり汗ばんでくる。とにかく暑くジャケットを脱ぐ。虫も多いし、もはや夏山だ。シャツ一枚で十分な気温だ。



西紅山(162m)。頂上には夫婦岩と名付けられた一対の巨岩のうちの男岩がある。女岩は10mほど離れたところにあって目立たない。



いよいよ紅山の大岩稜が見えてきた。斜度は40度くらいあるように見える。途中からは二足歩行ができず、四つん這いで登っていくことになる。前回はシューズの底が外れかけたことで随分と怖い思いをしたけれど、しっかりしたシューズであっても二度と登りたくない…。



西紅山からの縦走路は紅山(184m)の山頂へと繋がるため、大岩稜を登らずとも縦走ができる。山頂から下を覗き込むだけで足が震えてくるような気がする。日本一低いアルプスとと自慢げにPRしているのは、この恐ろしい岩の急斜面があればこそだろう。



以前来た時は、この大岩稜を駆け下りる人を見かけたけれど、命知らずの暴挙にしか見えない。大岩稜とは反対側にある坂(これもかなりの急坂なのだけれど)をのんびりと下っていく。



野鳥会と歩人会が整備していただいている案内標識はデザインも統一され、情報量にも過不足がなく有難いんだけれど、距離と所用時間には首を傾げてしまう。ゆびかまで12.2㎞もあるとは思えない(たぶん5㎞くらいのはず)し、3時間50分もかかるとも思えない。



惣山の手前にある展望台。権現池や鴨池がよく見渡せる。正式名称は「きすみの見晴らしの森・展望デッキ」というらしい。「きすみの」とは播磨国風土記に登場する地名で漢字では「伎須美野」と書くようだ。



惣山は円錐形の独立峰とは思えないのだけれど、小野富士とも呼ばれている。付近で一番標高が高いからだろうか。ここもまた岩山だけれど、ごく薄い土壌に岩上草地が形成されている。



西側から見た紅山。岩稜の斜度はやはり40度くらいあるように見える。先日の斉藤山・桶居山への岩場であらためて痛感したけれど、長く続く急勾配の岩場は苦手だ。紅山の大岩稜もたぶん二度と登ることはない…。



惣山(199m)の山頂に到着。この辺りが小野アルプスの中間地点になる。登山口から2時間10分。想定外の暑さだけれど、ほぼ予定していたとおりのペースで歩けている。



登山道にはツツジが多い。ピンクがミツバツツジ、赤いのがヤマツツジだと思うんだけれど、いつまで経っても基本的とも思える花の名前さえ自信が持てない。



惣山を過ぎても地味なアップダウンが続き体力を奪われる。しかも相変わらず何度も小さな岩場を登らされる。600mlのペットボトルを2本持ってきたけれど、あらかた全て飲み干してしまった。もはやちょっとした登山でも2リットルの水分が必要な季節だ。



アンテナ山(171m)。山の由来はこの小さなアンテナのようだが、テレビ共聴用のものだろうか。アンテナが立つ前、山の名前は無かったのだろうか。



何度もアップダウンを繰り返し、総山(168m)、安場山(156m)、愛宕山(154m)と順々に制覇する。徐々に標高が低くなるとともに、山頂部が平坦ななだらかな山になってきた。



前山(136m)。6年前にはこんな電波塔は無かったように思う。こちらの方こそアンテナ山という名前に相応しくなったのではないだろうか。



第12座目の高山(127m)。周囲の山と比べれば一番低いというのに高山という名前なのは解せないけれど、これで予定していた全山のピークを踏んだことになる。



ゆぴかに下山。「ゴールです。おつかれさまでした。」の標札が嬉しい。



ゆぴかの前には、朝にも利用した小野市のコミュニティバス「らんらんバス」が停車している。乗車して気付いたのだけれど、65歳以上は無料なのだ。あと半年で無料となる年齢に達することに今更ながら愕然としてしまう。



歩行軌跡と標高グラフ。歩行距離は8.3㎞、アップダウンばかりの縦走路で12座制覇とはいえ累積標高は750mどまり。所要時間は4時間50分。