三濃山(相生市)

 2022年4月5日


一昨年秋にチャレンジしたものの、山ビルの攻撃に逢い無念の撤退をした相生市の三濃山(みのうざん)に再チャレンジする。羅漢の里をスタートし、上級コースで感状山経由で登り、通常コースで下山する予定だ。



羅漢の里は桜も見頃。しかも4月とは思えないポカポカ陽気だ。こんな日はのんびりと羅漢石仏でも見て回る方がいいようにも思わなくもないが、石仏には目もくれず、感状山への急な階段へと向かっていく。



石段の脇には「ヤマビルが発生していますので長袖・長ズボンで登山してください」との注意書がある。この注意書って年中貼り付けられているのではなかろうか。まだヤマビルには早いとは思いつつも、少し不安な思いで階段を登っていく。



一昨年、昨年と3年続けて登ってきた感状山(305m)。往時の石垣が良く残されていて、中世の山城を最も実感できるところだと思う。ここまでは休憩なしで登れたはずなのに、今日は途中で腰を下ろしてしまった…。まだまだ序盤だというのに大丈夫だろうか…。



感状山を越えると、道は急に心細いものとなる。一昨年は感状山で早々にヒルにやられ、それでも三濃山を目指したものの、生い茂るシダがヒルの巣窟のように見えてきて、とてもシダを掻き分けながら進む気になれず撤退したのだ。



ヒルの気配も感じられないまま、シダが生い茂る道を進み、西山(339m)までやってきた。なだらかな坂だったうえに山頂碑もないので、危うく頂上をスルーしてしまうところだった。登り始めて1時間、まだ三濃山までの3割程度しか来ていないが疲れを感じる。



この先、三濃山までの間、特段の見どころもないようだ。次の目標は白い鉄塔。しかし白鉄塔を視認できるところはごく限られていて、ほとんど眺望のないシダが生い茂る道を進んで行くことになる。



どうも様子がおかしい。こんなトコ進んで行けるのかぁ…と思っていたところにYAMAPの道外れアラームが吹鳴した。さすがにアラームが鳴らなくとも、この道は間違っていると思っていた…。



正しい道に戻ることはできたけれど、シダで道はほとんど覆われている状態。これでは道を見落とすのも無理はない。年中茂っているシダとはいえ、今の季節は未だマシなはず。夏になれば他の草木も加わってジャングル状態になるのではなかろうか。



坂を攀じ登って、ようやく白鉄塔が建つ小山までやってきた。太陽が眩しい。そして暑い。次の目標地点は赤白に塗り分けられた鉄塔。地図では「赤鉄塔」と記されている。



シダにはゼンマイのような芽?が生えている。というか、我々が食するゼンマイもシダの仲間のはずだ。この芽も食べれるのかぁ?美味そうなものには全く見えないが…。



北に進むにつれて、幸いなことにシダの姿が見えなくなり、灌木地帯にやってきた。長い道のりだけれど、眺望にも恵まれず、史跡とか奇石のような見どころもないので、植物を観察することくらいでしか気を紛らわすことができない。



更に北へと進んでいくと高木が増えてきた。松の向こうにようやく赤鉄塔が顔を覗かせる。スタートして2時間余りを経過。退屈なうえに暑くて疲れてきたけれど、全行程の4割くらいしか進んでいない。三濃山まではまだ1時間以上あるが、とにかく前に進むしかない。



路上に白く大きな花弁がところどころに落ちているのに気づく。見上げると白モクレン(たぶん)が咲いている。開花期も終盤なのだろうか。ちょっと風が吹けば簡単に花弁が飛んでしまいそうな気配だ。



白鉄塔を過ぎたあたりから「→三濃山」の看板が見られるようになった。道を隠すようなシダも無く、道の分岐もないけれど、全く人の気配も感じられない山の中ではこうした案内表示があると心細さを和らげでくれる。



感状山を過ぎた後は大したアップダウンもなく、基本的には歩きやすいはずだけれど、前半はシダが、後半は倒木が歩行の邪魔をする。もっとも倒木はベンチ替わりになると思えば有難い存在だ。露出した岩が少なく、倒木以外には腰を下ろすところが見当たらないのだ。



登山開始から3時間と少し。やっと三濃山頂にある求福教寺のお堂までやってきた。かつては山岳信仰が盛んなところだったと聞くが、道中にそれっぽい遺跡は見当たらなかった。てっきりここが山頂だと思ったけれど、山頂はさらに先だと知りちょっとガッカリする。



求福教寺から10分ほど急な斜面を登りやっと山頂(508m)到着。現地のマップで2時間半、YAMAPで3時間が標準タイムとして案内されているけれど3時間半も掛かった…。休憩時間込でYAMAPの2割増の時間が必要というのが、現在の脚力だと心得ておくべきだろう。



兵庫100名山にも数えられている山だけれど、山頂を示すは小さな木板は割れて地面に落ちていた。ちょっと寂しい…。



瀬戸内海を見通す素晴らしい眺望が開けている。ここまで全くといっていいほど展望が無い道が続いたけれど、ようやく写真に撮りたくなる眺望に出会えた。海に浮かぶのは家島諸島のはず。とすれば、その向こうに薄っすら見えるのは四国(あるいは淡路島?)だろうか。



広場状になった山頂部には何本もの桜の木が植えられているけれど、さすがに未だ咲いていない。でもしっかり蕾が芽吹いている。



下山は通常コースと呼ばれる道を進む。登りに使った上級者コースと比べるとアップダウンがほとんどなく、緩やかな下りばかりが続く。もっとも倒木が多いことには変わりない。



そこそこ大きな溜め池がある。Wikipediaによれば、こんな山中だというのに「三濃千軒」と謳われるほどの人家がかつてはあったらしい。



三濃別れから先は自動車の轍も見られる渓流沿いのさらに平坦で歩きやすい道になる。こんな道なら標準タイムどおりに歩ける。最後の牡丹を楽しみながら、羅漢の里へと戻っていく。



歩行距離が10㎞、獲得標高は800m。所要時間は5時間半。退屈な道だと思いながら歩いてきたけれど、歩き終われば程よい山歩きだったと思う。



数えてみれば兵庫100名山も60山を制覇している。残った山はアクセスが悪い山やポンコツハイカーには難しそうな山が多い。100名山の全制覇は考えない方が良さそうだ。