打越山・七兵衛山~万物相【六甲山系】

 2022年12月3日


JR住吉駅からバスで標高260mの住吉台までやってきた。ここをスタート地点にすると六甲の山歩きも随分と楽になる。打越山・七兵衛山を経てハブ谷から岡本に下る、という軽い山歩きのつもりで丁度正午に出発する。(実際には実に危ない山行になったのだが…)



住吉台の奥にある荒神山(314m)。YAMAPでは摩耶山と並んで最多登頂を数える山だけれど実は登ったことがない。山頂から100m以内に近づくと登頂判定されるのだ。登ってみようとも思ったのだけれど、山頂部一帯は墓地。呑気に登る山ではなさそうだ。



住吉川の西岸をのんびりと北上していく。小さな柿がたわわに実っている。
ちょっと肌寒さを感じるけれど、これくらいの気温が山歩きには最適なように思う。きっと六甲の主要な登山道は多くのハイカーで賑わっているはずだ。



しばらく進むと十字路が現れる。直進が住吉道、左折が石切道、いずれも主要登山道だ。ここを右折すると打越山に向かうことができる。住吉道や石切道と違って無名の登山道だけれど、しっかり整備されている。道端には何故か鹿威しが設置されている。



住吉川に架かった木橋を渡る。あまりハイキングマップなどにも紹介されていこの道ならば混雑もなく、自分のペースでのんびりと歩くことができるはずだ。



期待どおり、ほとんど誰とも出会わない。勾配も緩やかでマイナスイオンを体中に浴びながら気持ちよく山道を登っていく。思っていたより随分と体調も良いようだ。



天気のせいか、湿度のせいか、六甲ガーデンテラスがすごく近く見える。1時間もあれば楽に到達できそうに見えるけれど、実際には直線距離でも2㎞以上、歩けば2時間以上はかかるはずだ。山における遠近感の乏しさには我ながら呆れてしまう。



住吉台から1時間ほど歩いて打越山山頂(480m)に到着。Fさんお手製のたくさんのベンチに十数人のハイカーが休憩中。山頂碑の撮影をしようとしたら、皆さんわざわざカメラのアングルに入らないよう席を移動してくださった。



覚悟はしていたけれど、他の登山道と合流する打越山以西はかなりハイカーの数が多い。他のハイカーと競う気持ちなど皆無なんだけれど、どうしても意識してしまって自分の技量以上のハイペースで歩いてしまい、結果的にひどく疲れてしまうのだ。



七兵衛山(462m)の山頂もハイカーがいっぱい。でもここには頂上以外に3つもの休憩所があるのだ。すべてFさんの手作り。特に少し目立たないところにある第4休憩所(と勝手に呼んでいる)は個室感もあってとても落ち着くお気に入りの場所なのだ。



打越山・七兵衛山に登り、ハブ谷から下山しようと思っていたのだけれど、以前から気になる道が現れた。YAMAPにも六甲山系詳細図にも記載はない道だが、おそらくFさんの手による頑丈な手摺りが設置されている不思議な道だ。



実は以前も少し探検したことがあるのだけれど、尾根に出て右に行くと電力の鉄塔があることは確認済だ。今日は時間もあるので左を探検してみよう。



さほどの難路でもないが、YAMAPで現在位置を確かめながら慎重に進んでいく。やはり予想通り打越峠と横池の間を繋ぐ道に向かっている。



横池への道に合流。合流地点には標柱が立っている。擦れてほとんど読めなくなっているけれど、「←行き止まり」と書かれている。でも実際には危ない個所もなく、ごく普通に歩くことができた。



以前から気になっていた登山地図にも記載のない道の探索ができて、気分は上々。疲れも感じないまま、横池(雌池)までやってきた。



続いては多くの水草が浮かぶ横池(雄池)。予定とは随分と違った方向に歩いてきてしまったけれど、どこから帰ろうか…。



六甲銀座とも呼ばれる中央稜に出て風吹岩に向かう。途中、これまた地図には掲載されていない横池に向かうショートカット(実際には起伏があるので余計に時間が掛かる)道に「横池南アルプス」との案内が付け足されている。アルプスとはちょっと大層すぎないかぁ。



風吹岩。大勢のハイカーが岩の上に登っている。時刻は14時過ぎ。下山のピーク時間なので、ロックガーデンは混雑してそうだ。岩場の下りが苦手なので、できるだけハイカーが少ない時間に下りたいものだ。



ということで、久しぶりに万物相(ピラーロック)に寄り道していこう。15時を過ぎるとロックガーデンも人が少なくなるはずだ。と、難路危険の看板が立つ風吹岩南の脇道から下っていく。難路は承知のうえだが、万物相までは大したことはないはずだ。



地獄谷コースを下っているつもりでいたのだけれど、実はこれがとんでもない勘違い。難路ではあるけれど、歩けないほどではない。ピンク色のテープに導かれて少しずつ下っていく。



20分ほど下って、なんだか方向がおかしくないか?とようやく異変に気付く。YAMAPを見ると万物相とは遠く離れた方向へと進んでいる。これって地獄谷(地図上の点線)じゃなかったのか。地獄谷でもヤバいのに、さらにヤバい道を進んできたようだ。



万物相の方向に軌道修正できないものかと足掻いたけれどムリ。風吹岩に戻ろうとしたけれどテープが見当たらない。その後YAMAPの歩行軌跡のおかげでテープを発見し、無事戻ることができた。歩きなれた山域でも勘違いや思い込みで遭難となることを思い知らされた。



精神的にも肉体的にも一気に疲労してしまったけれど、あらためて正しい道を思い出して万物相にやってきた。いつものことながら、ここの風景には圧倒される。



それにしても、どうしてピラーロックっていうのだろうか。ピラー(柱)というほど、まっすぐでも高くもない。万物相の方がこのミステリアスな風景に似合った名前だと感じる。



道迷いと寄り道で、すっかり時間を食ってしまい既に16時近く。日暮れを気にしないといけない時刻になってしまったけれど、おかげでロックガーデンはほぼ無人になっていた。年々苦手になっていく芦屋川駅に向かってロックガーデンを時間をかけて慎重に下っていく。



本日の山行。距離8.4㎞、総所要時間4時間40分。獲得標高は610m。反省と教訓の多い山歩きだった。