仁川から武庫川新橋・西宮北口(阪急フリーハイキング)

2023年5月6日


電鉄会社主催のハイキングイベントの多くは、決められた日に集合して大人数で歩くスタイル。この種のイベントはどうも苦手だ。以前はマップだけ配布して、阪神の沿線散歩など、日程自由のフリースタイルのハイキングも多かったのに、最近は少なくなっているようだ。



ところが、集合型ハイキングでは関西私鉄のなかでは最も力を入れていると思われる阪急がフリーハイキングを提供しはじめた。10㎞前後のコースが12ほど用意されている。どれも目新しさは感じないコースとはいえ、暑い日や雨が心配される日のウォーキングには有難い。



今日も夕方からの雨が予想される。山には行けなくとも、街歩きなら雨が降ってもなんとかなる。阪急の設定したコースのなかから、宝塚市の仁川から武庫川河川敷を歩いて西宮北口まで歩くコースを選択。競馬場の関係でやけに改札口が広い仁川駅をスタートする。



阪急各駅の改札内には、それぞれオリジナルのスタンプが用意されている。もし改札外にあるなら沿線を歩き回ってスタンプを集めたいとも思うんだけど、すべて改札内にある。電車に乗りまくってスタンプを集めるのではつまらない。



仁川駅の西に弁天池という、住宅街のなかにしては、そこそこ大きな池がある。ここから見る甲山のシルエットが好きだ。でも今日は甲山までは見通せるけれど、その向こうの六甲山系は完全に雲に覆われている。



競馬場周辺の道には、カバーを施された道路標識が並んでいる。競馬開催日にのみわざわざカバーを外し駐車禁止にしているようだ。駐禁の標識はカバーがされているけれど、場外馬券の購入に来る人が多いのか、各交叉点には交通整理のガードマンが立っている。



阪神競馬場の北側を武庫川に向かって歩いていく。競馬場の監視塔は見えるけれど、高いコンクリート壁と分厚い緑地帯に阻まれて、内部の様子は全く窺うことができない。馬ならばあっという間に駆け抜けるバックストレッチに沿った道が随分と長く感じられる。



武庫川の土手までやってきた。広い河川敷を一旦北上し、武庫川新橋まで歩く。北の空も西の空も、いかにも雲行きが怪しい。



武庫川新橋を渡ると伊丹市へと入る。上空にはたびたび飛行機が通過する。ちょうど伊丹空港から機首を上げながら目的地方向に向けて急旋回するところなので、いいカメラがあれば結構迫力のある写真が撮れそうなところだ。



以前宝塚から阪神武庫川駅まで武庫川沿いを歩いたことがあるけれど、あまり良く覚えていない。武庫川の東岸に木のトンネルのようになっているところがある。よく見ると両側とも桜の木だ。こんなトコあったかなぁ…。桜の時期に歩けばさぞ気持ちよさそうなところだ。



な~んにも無い殺風景でだだっ広い河原だけれど、道はできている。人工的に設定された道ではなく、人が歩くことにより地面が踏みしめられ、草が生えなくなくなる、自然にできあがった道だ。道の原点を感じる。



黙々と歩いていたら、やっちまった。両側を川に挟まれた剣先にやってきた。川沿いだからと地図も見ず呑気に歩いているうちに中州に入り込んでしまったようだ。平地だからと油断していたけれど、下山時の谷筋でやっちまいがちな失敗と同じだ。



道間違いで1㎞以上もロスしてしまったけれど、それより厄介なことに雨が降り始めた。そこそこの雨足だ。天気予報では17時までは大丈夫そうだったけれど2時間ほど早く雨が降り出したようだ。近くに雨宿りできるところもなく、とにかく前に進むしかない。



河川敷にコンクリート製の祠がある。大雨が降ると冠水するところだから水に流されないコンクリート製にしているようだが、こんなだだっ広い河川敷に祠とは珍しい。わざわざ製作したものか、あるいは市販しているものなのか。いろいろと気になるぞ。



阪急の地図では、このコースの最大の見どころとして「武庫川髭の渡しのコスモス園」とあるけれど、今はただの草っパラ。ウォーキングコースとしてはいいとしても、限られた期間でしか見どころにならないコスモス園をタイトルにまでしていることには疑問がある。



新幹線の高架を潜る。写真だけでも撮っておくかとスマホを構えたところに、うまい具合に東へと向かう新幹線が通りかかった。空は未だ黒いけれど、この辺りで雨があがってくれた。



河川敷にはさほど整備されたものではないけれど、野球やサッカーなどが楽しめるグランドがいくつも整備されている。もちろん走っている人は多いし、楽器の練習をしている人もいる。



ところどころに水位を計るための鋼鉄の棒が立っている。豪雨の後に武庫川河川敷を歩いたことがあるけれど、上流から流されてきた木やゴミで河川敷が大変なことになっていたことを覚えている。河川敷全体が冠水することも決して稀なことではないようだ。



スタンプポイントのバスケット広場までやってきた。阪急の地図には「2019年にリニューアルして、子供から大人まで大人気。毎日誰かが汗を流している」とあるけれど、ゴールが2つだけ立つ、さして目を引くこともないものだ。どうしてここがスタンプポイントなんだ?



何はともあれ、GPS方式のスタンプをゲット。これがあるか無いかでフリーハイキングのモチベーションは全然違ってくる。12㎞のコースでスタンプポイントが一つだけ(簡単にズルできる)というのは気になるけれど、まあヨシとしよう。



広い河川敷だけれど、なぜか所々に高く立派な木が立っている。おそらくは自生しているのではなく水に強い木を植えたものだろう。木の根元にはベンチなども置かれていて、殺風景な河川敷に少しの憩いと潤いを与えてくれている。



阪急の鉄橋が見えてきた。阪急の地図によれば、ここから少し南下して、遠回りするように西宮北口へと向かうことになっている。何とも遠回りではあるけれど、この種のフリーハイキングでは地図に忠実にひたすら愚直に歩くことにしている。



山手幹線の橋を西に渡る。天気は少し回復し、武庫川の向こうには六甲山の山並みが少し霞んではいるものの見えるようになった。そういえば武庫も六甲も漢字は違うが由来は同じ「向こう」だと聞いたことがある。京・大阪からは、それぞれ向こうの川、向こうの山だ。



阪急西宮北口に到着。GWということもあって、駅前に立つ巨大ショッピングセンター「西宮ガーデン」はかなりの賑わいだ。かつてここが阪急ブレーブスの本拠地、西宮球場であったことを知る人も少なくなってきたように思うと、ちょっと寂しい。




歩き終わってビックリ。YAMAPの軌跡が途中で飛んでいる。地図どおりに愚直に歩いたのに、ありもしない近道を進んだことになっている。YAMAPベースでは10.3kmということになっているけれど、道間違いも含めて13㎞以上歩いているはずだ。所要時間は3時間15分。