中山道(3)(大宮~北本)

 2024年7月10日


予定が大きく狂って、関東遠征の3日目にしてようやく北大宮駅から中山道歩きを再スタート。昨年12月以来となる。朝8時半だというのに、既にメチャクチャ暑い。湿度も高く、俄か雨も覚悟しなければならない。



東京の日本橋を出て2日で大宮までやってきたものの、ずっと都会歩きが続き、とてもモチベーションが上がらない道だった。大宮を過ぎるても、ビルの高さが低くなったくらいで、相変わらず退屈な国道歩きが続く。暑さもあって早々にウンザリしてきた。



早々に汗ビッショリ。タオルを買うため小さなコンビニに立ち寄るものの、あいにくタオルは売っていない。自販機で水を購入していたところを、店のおばちゃんに呼び止められ、貰い物だというタオルをプレゼントしてくださった。ありがとう、おばちゃん。



タオルは戴いたものの、汗は止まることを知らず、飲んだ水は数分で汗として体外に排出されてしまうようだ。涼し気な鎮守の森で、堪らず座り込む。まだスタートしてから1時間ほどだというのに…。こんな日に国道を歩いているなんて狂気じみていると感じ始める。



スタートして2時間、国道17号線の歩道をトボトボと歩き続け、さいたま市を脱出し、上尾市に入る。風景はさほど変わらない。あまり馴染のない市だけれど、人口は23万にもなる。なんか面白いもの出てこないかなぁ…。



上尾市に入ると、さいたま市では殆ど見当たらなかった「中山道」の道標が見られる。とても素朴でシンプルなものだけれど、これ1本あるだけで随分と元気になれるのだ。



馬鹿でかい物流センターがある。今も昔も江戸の後背地にあって、物や人の流れの拠点となっていたことが判る。




JRの上尾駅のあたりが、かつての上尾宿だったところ。江戸日本橋から約10里。江戸を出た旅人が最初の宿泊地に選ぶことが多かったという。昔の旅人の健脚ぶりには、あらためて驚かされる。



上尾のマンホール。どうやら上尾名物の大綱引きをイラスト化したもののようだ。中山道の東西に分かれて計3000人が綱を引きあったというが、何故か近年中止されてしまったようだ。



本陣跡など、上尾宿の遺構はほとんど残されていない。街はずれに、県の土木事務所が建てた「彩の国 平成の道標」があり、上尾宿の説明などが書かれていたのが、せめてもの救いになった。



国道17号線歩きは続く。続いては桶川市へと入る。国道に沿って建つビルの高さは更に低くなったように感じる。



桶川宿を江戸からの第一夜の宿とする旅人も多かったという。旧宿場の中心部に近づいていくと、国の登録文化財になっている武村旅館が現わる。江戸時代からの旅籠で、旅籠だった当時の間取りを今も引き継いでいるらしい。期待できそうな宿場町だぞ。



適当に入ったうどん屋「いしづか」。うどんは絶品。更に特筆すべきが好きな野菜を3つチョイスできる天ぷら。舞茸、ヤングコーン(写真ではともに半分食べた後)はサクサク。カボチャは肉厚のものをハサミでカットする。これで1500円ほど。また食べに来たい。



旧宿場町の中心は、桶川駅の東側。マンホールには、旧宿場町がデザインされている。観光案内所で伺ったところでは、旧宿場町のゆるキャラで草鞋を履いているのは、桶川のオケちゃんだけだそうだ。ゆるキャラの足元まで、これまで注目してなかった。



街道沿いには、かつての宿場の賑わいをイラスト化したバナーが吊られている。ここまで宿場町をプッシュしていたのは、蕨宿以来だ。浦和、大宮、上尾と、ガッカリ宿場町が続いたけれど、ようやく期待していたような宿場町にやってきた。



かつては穀物問屋だったという矢部家。いかつい瓦葺の建物だ。どうやら来るべき祭礼の寄合所になっているようだ。向かいには古い旅籠が今なお残されている。



皇女和宮も降嫁の際に逗留されたという本陣が今も残されている。個人の敷地ということで、内部を窺うことはできない。



桶川を豊かにしていたのは、中山道の通行だけではなく、紅花の存在が大きいようだ。残念ながら紅花の開花時期は過ぎたものの、観光案内所に生け花が展示されていた。紅花一貫(3.75㎏)が米二俵(120㎏)の価値があったそうだ。



トイレなど、中山道の宿場歩きを楽しむ人のための施設も充実している。気分はかなり盛り上がってはきたけれど、同時に気温もひどく上がってきた。昼食休憩後に歩きたくなくなるのはいつものことだけれど、今日はいつも以上に歩くのが辛い。



桶川は旧宿場町の遺構が良く残り、案内所の方にも丁寧な対応をしていただいた。更に絶品のうどんも食べることができて大満足だったのだけれど、唯一残念なのは一里塚が残っていないこと。埼玉県に入ってから未だにまともな一里塚にお目にかかっていないように思う。



埼玉県独特の道路標識だろうか。一方通行の進入禁止マークを路面にデカデカとペイントしている。ここまで大きくしなくても判りそうなものだが…。それに多くのマークは路面の劣化に伴い、歪みがひどくなっている。



北本市に入る。暑いうえに、雲行きが怪しくなってきて、パラパラと雨も降り始めた。なんとか鴻巣まで行きたいと思ってスタートしたのだけれど、ムリだなぁ…と感じ始める。



北本も元々は宿場町だったところ。土木事務所の「北本宿」の石標が立っているけれど、江戸時代初期にはこの宿場町は北に移され鴻巣宿になったという。



JR北本駅。もう少し歩いて鴻巣宿まで行きたかったけれど、無理すべきではないと判断。明日も明後日も中山道歩きは続くのだ。少しでも気温が下がってくれれば嬉しいんだけれど、明日も暑いだろうなぁ…。



今日の歩行距離、16.9㎞。登り獲得標高はわずか23m。大した距離でもないのに所用時間は8時間。うち1/3が休憩時間だ。休憩を長めにとって、冷たい飲み物やアイスクリームを連発して体力回復を図ったけれど、これだけ暑いと多少のことでは回復しない。