伏見名水めぐり2019

2019年3月23日(土)


今年も伏見名水スタンプラリーの時期がやってきた。もう10年以上も続けて参加しているうえに、これまた毎年出掛けている正月の伏見五福めぐりともスタンプぽイントが重なるため、いい加減飽きてきそうなものだが、少々コースを変えるといつも新たな発見があるし、なんといっても桜が咲くころの伏見はとても爽快なのだ。



今日はJR藤森駅からスタート。駅のすぐ近くにある西福寺は、北朝の光厳天皇の創建という。近くに同じ北朝の光明、崇光両天皇の陵墓もあり、この辺りは北朝に所縁があるとこなんだろうか、と気になっているのだけど、ちょうどお寺に付属する幼稚園の卒園式の真っ最中。日をあらためて訪問しよう。



このブログに掲載された最初の写真となって以後、定点観測のように年に2回は藤森神社の正面入り口を撮影している。



藤森の名水、不二の水。二つとして無い名水とのことのようだ。水が湧き出る岩の横には、「水は尊し、美し、清し、強し、恐し、深し」と水の有難さと恐ろしさの双方を教える「水六訓」が掲げられている。



本殿の横には、神宮皇后の旗塚がある。新羅征伐の際に持ち帰った軍旗がここに収められているらしい。どうして神宮皇后が当時都でもなんでもなかったこの地に立ち寄ったのかも理解できないし、真面目に西暦に換算することに意味は無さそうな神話に属するような時代のことだが、これが真であるなら、藤森神社の創建は1800年ほども前のことになる。



藤森神社から墨染通を西へ15分ほど歩いたところに、2つめの名水「清和の水う」がある。料亭清和荘のなかにあって毎年お邪魔させていただいているのだけど、昼でも1万円くらいは覚悟しなければならないところだけに、料亭を利用させてもらう機会はなかなか無い。



さらに西に進んで城南宮。最近改装工事が行われて、なんだかスッキリしたように思える。ただ、これまで社殿前にいた一寸法師のパネルが見当たらない。一寸法師との関わりをアピールするんは止めちゃったのだろうか。



今や多くの神社は、御朱印ブームにいかに乗っかるか、に躍起になっているように思える。城南宮でも月替わりの朱印を用意していて、リピーターを取り込もうとしているようだ。



城南宮から南に下ったところに、京セラの本社ビルがある。このあたりでは図抜けた高さだ。ビルの南面にはソーラーパネルがビッシリと貼り詰められている。



悟真寺というお寺の門前脇に「明治元戊辰年 伏見鳥羽戦役 東軍戦死者埋骨所」の標石がある。東軍・西軍といえば、応仁の乱か関ヶ原の戦いくらいと思っていたが、戊辰戦争における旧幕府軍も東軍と呼ばれているようだ。戦没者にまで旧幕府軍とか賊軍とか敗者のレッテルを貼ることなく弔っているようだ。



橋の補修・補強工事で「ご迷惑をおかけしています」の看板がある。和服の女性がヘルメットを被って三つ指ついてお辞儀をしている。



普段は土日が休業のため、滅多に内部に入れないキンシ正宗なんだけど、今日は蔵開きのため、構内を一般開放していた。試飲ばかりでなく、音楽や出店などイベントも大々的に開催されて大変な賑わいを見せていた。



人ごみを掻き分けて、ビルの片隅に隠れているような名水「常盤井水」にやってきた。ずいぶん久方ぶりの再会になる。



大黒寺。何かの事情があるのだろうけど、ただでも狭い境内が駐車場のようになっていて、参拝も落ち着かない。境内の奥にある「金運清水」も肩身の狭い思いをしているようだ。



スタンプポイントは10ヶ所だけど、以前はあと2~3ヶ所あったように思う。大黒寺の近くにある金礼宮の白菊井もそのひとつだったように記憶している。伏見には、まだまだ名水が湧き出でるところがあるはずだ。



御香宮神社。本殿の脇に「御香水」と呼ばれる名水が湧き出ているんだけど、「濾過していないので飲めない」とある。傍らに、これとは別に濾過済みの水の蛇口があるんだけど、由緒ある名水とはいえども保健衛生行政の例外扱いにはしてもらえないということなんだろう。



御香宮神社の境内では、きき酒会が開催されている。このあたりで気付いたのだけど、この日は伏見あげての「日本酒まつり」が開催されていた。



日本酒まつりのせいか、京阪電車の伏見桃山駅付近も普段にも増して大変な人混み。そもそもこの駅は車両の先端が踏切の歩道スレスレに止まらざるを得ないほど、進行方向の余裕は皆無だし、踏切ギリギリに大手筋のアーケードが立っていて、ホーム幅にも拡張余地が無い。ここまで窮屈な駅も珍しいのではなかろうか。



焼き鳥料理の「鳥せい」の脇にも名水「白菊水」がある。ここでは大概、ポリタンクに水を汲む人が列を成しているのだけど、どうしたことか今日は無人だ。



黄桜酒造でも、大規模な蔵開きイベントが開催されていた。会社の名前にもなっている「黄桜」が植えられた広場では皆さんご機嫌で、もはや花見状態。もっとも黄桜の蕾さえ膨らんでいない。



名水「伏水」はキザクラの記念館のなかにあって、近所の人?が汲みに来ていた。蛇口にホースまでつけて、ペットボトルなどに汲みやすいように配慮されている。業者のような人に来られても困るということだろう、「一人10リットルまで」と書かれている。



名水「さかみづ」を誇る月桂冠の大倉酒造も蔵開きイベントの真っ最中。他にもアチコチで日本酒イベントが行われていて、日本酒好きにはたまらない1年に1回の特別な日のようだ。



最後は長建寺。名水「閼伽水」の撮影も忘れて、美しく咲き誇っている桜を堪能する。「花人の落ち合う驛や中書島」という高浜虚子の句碑もいい。深い意味は読み違えているかもしれないが、字面、音感ともに良く、そして何よりも桜の花咲く長建寺の佇まいが素晴らしく表現されているように思える。



今年も全スタンプをコンプリート。賞品のお猪口を頂戴する。



歩行距離はおよそ11km。米国出張帰りのリハビリとしては適度なウォーキングだった。