2019年3月12日(火)
マンハッタンでの3時間ほどの空き時間。スタバで過ごすには長すぎるし、公園で過ごすには寒すぎる。そんななかで、ふとWTCにある911メモリアルの博物館にまだ入館したことが無いことを思い出す。
幸いWTCまでは、57Streetから地下鉄1本で行くことができる。合計500ほどもの駅があるという巨大かつ複雑なNY地下鉄を乗りこなすのはなかなか大変だ。そもそも駅名ひとつとっても、「57Street」では南北の位置は判っても、東西の位置が判らない・・・。
トークンと呼ばれるコイン状のメダルを使った自動改札は20年ほど前に姿を消し、今ではメトロカードと呼ばれる磁気カードが使われている。ほとんどの人は1回限りのカードではなく、チャージ方式のカードを持っているため、自販機に並ぶ人はごく少ない。
厄介なのは、チャージ金額がカードに印刷されず、いくら残高があるのかが不明なこと。駅の改札付近には、カードリーダーがあって、残高をチェックできるようになっている。
地下鉄構内。路線や駅によって雰囲気はかなり違うのだけど、NY州にしばらく滞在していた30年ほど前の「暗い」「怖い」「汚い」の3K地下鉄を知る者としては、随分と清潔になったと感じる。
車内の清潔感がある。昔は落書きだらけで、車内でもプラットホームでも決して気を抜くことなく、身構えるように乗車していたものだ。
約20分ほどの乗車で、WTCの傍にあるコートランドストリートに到着する。
911テロにより、壊滅状態となったWTCだけど、18年経った今では、美しいビル群が再建されている。右のビルはワンワールトトレードセンタービル。航空機テロの標的となったツインタワーより少し高い540mもある。
グラウンドゼロと呼ばれるツインタワーの跡地は、2つの大きなプールとなっていて、犠牲者に祈りを捧げる聖地となっている。犠牲者の名前が彫られたプールサイドから水が静かに中央部の穴に流れ込んでいく様を見つめながら鎮魂を祈る。
慰霊プールの傍に911メモリアルミュージアムがある。平日だというのに長い行列ができている。4年前にここを訪れた際には、あまりの行列のため入館を諦めたけど、その日と比べるとかなり行列は短そうだ。
施設が施設だけに、テロに対する警戒は厳重だ。マシンガンを携えた警官がミュージアムのエントランス付近で目を光らせている。
ありし日のWTCの写真がミュージアムに展示されている。2001年9月11日、ボストンの空港を飛び立った2機の旅客機が相次いで2つのビルに突っ込んだ日を忘れることができない。その日は欧州スロバキアでおよそ15ヶ国からのメンバーが集まっての会議が予定されていたのだけど、皆で会議そっちのけでテレビを見ていた。
ミュージアムのなかには、テロにより崩壊したビルの残骸が多数展示されている。110階建のビルを支えていた鉄骨が無残なまでに変形している。恐ろしいまでの火災の凄まじさだ。一説によれば、テロリストたちは、東海岸から西海岸に向かうため燃料を満載した長距離旅客機を狙ったしい。
残骸の撤去も行方不明者の捜索も遅々として進まず、ご遺体も身元確認ができないものが多数という悲惨な状況のもと、一縷の望みを託した尋ね人の貼り紙。悲しすぎる・・・。
ビルの頂部に立っていたというアンテナ。どちらが上やら下やらも判らない。
消防車の残骸。犠牲になった消防士は300人以上という。ここから何十キロも離れた消防署でも慰霊碑が見られる。
Historical Exhibitionと名付けられた外からは内部を窺うことができない区画がある。911テロ攻撃の記録が展示されているところだ。残念なことだけど写真撮影は禁止。まあ当然と言えば当然のことだろう。
過激な描写が多いだけに覚悟して入場しろということらしい。何かの拍子で入り込んでしまうなんてことがないような構造になっている。しかしこの中にこそ、当時のニュース映像など、911の記憶がビビッドに蘇るような展示が並んでいる。
ミュージアムを出た時には、悲惨な事件の記録をあらためて目の当たりにして気分はグッタリ。鳥が羽根を広げたような摩訶不思議な形をしたワールドトレードセンター駅から、次の訪問先に向かう。