セントルイス散策

2019年3月15日(木)



ミズーリ州のセントルイスにやっていた。所用の後、わずか3時間ほどの自由時間がある。アメリカ中部を代表する町を見て回るにはちょっと物足りないが、精一杯回るとしよう。



なぜかデトロイト、メンフィス、ボルチモアなど、米国で治安の悪さで五指に入る都市を訪れる機会が多いが、このセントルイスも治安最悪都市としてあげられることの多い町。まあ、ダウンタウン中心部は問題無かろうと楽観的に考えて、投宿しているホテルの傍にあるボールパーク付近から歩き始める。



MLBセントルイスカージナルズの本拠地、ブッシュスタジアム。ワールドシリーズでNYヤンキースに次ぐ11回の優勝を誇る名門チームだ。



スタジアム付属のレストランを通り抜けて、外野席まで行くことができた。先日訪問したシカゴカブスのリグレーフィールドは未だ整備工事中だったが、こちらは既にシーズン開幕の準備は完全に整っているようだ。



カージナルスという球団ニックネームはショウジョウコウカンチョウ。漢字で書けば「猩々紅冠鳥」と厳めしい名前だけど、米国における代表的なスズメ科の野鳥だという。赤い衣を纏った姿が枢機卿(cardinal)を想起させることから、この名が付いたそうだ。以前からとても気になっている鳥なんだけど、いまだにお目にかかったことがない・・・。



旧裁判所。米国における奴隷制において、極めて重大な裁判が行われたという史跡だ。少々勉強したくらいでは理解できないが、ミズーリ州は、奴隷州と自由州の境界となっていて、南北戦争や公民権運動において様々な事件の舞台になっているようだ。



セントルイスを代表するランドマーク、ゲートウェイアーチにやってきた。ミシシッピの川岸に立つ、高さ630フィート(192m)、幅も630フィートのアーチは、おそらくは、かつて西部開拓の出発点であったところから、このようなゲート状の造形物が制作されたのだろう。



アーチは単なるモニュメントではなくって、「タワー」と呼んでも良い構造になっているようだ。トラムと呼ばれる小っちゃいゴンドラ風の乗り物で、アーチの頂上部まで運んでくれるらしい。興味はあったが、料金も高いし時間も無い。それにアーチの上からの展望よりも、やりたいことが他にあるのだ。



それにしても眩しいほどにメタリック感の強い造形物だ。どうやらコンクリートをステンレス鋼板で覆っているようだ。



ゲートウェイアーチの展望台をパスしてでも行きたかったのが、ミシシッピ川を渡るイーズ橋。この橋を渡るとイリノイ州になる。歩いて州境を超えるのは、ニューヨーク→コネチカット、テネシー→アーカンソーに続いて3度目となるが、いつも異様にテンションが上がってしまう。



築150年ほどの古い橋梁には、しっかりと歩道も設けられている。当時は世界初の鋼鉄橋でもあり、世界最長のアーチ橋だったという。



橋梁は2階建てで、上を自動車(+ごく僅かな歩行者)、下は鉄道が走っている。



イーズ橋の上からミシシッピ川を見渡す。とてもドンヨリとした色をしているが、流れは結構早い。ロッキー山脈とアパラチア山脈の間の川はすべてと言ってもいいほどにミシシッピ川に繋がっている。ミシシッピ川無くしてアメリカの発展・開拓はなかったのではなかろうか。



橋の中間あたりに州境の表示がある。黒い電灯のポールを挟んで、歩道と車道を隔てるブロックに、MISSOURIとILLINOISの文字がみられる。



橋の欄干には、いくつもの鍵が見られる。恋人たちが永遠の愛を誓って橋に南京錠を掛け、鍵は川に投げ捨てるという。日本ではこの種のスポットがアチコチの観光地が設置しているけど、NYのブルックリン橋では禁止されたし、最近のアメリカではもはや流行遅れとも感じる。



約2kmの橋を渡ってイリノイ州に入るが、あまり流行っていなさそうなカジノがセメント工場に隣接して建てられていたり、いかにも産業の空洞化を思わせる荒廃感が漂う。落書きも多く、あまり長居はすべきところでなさそうだ。



イリノイ州側から見たセントルイスの街並み。やはりゲートウェイアーチの存在感は半端ない。



エドワード・ジョーンズ・ドーム。アメフトのスタジアムだけど、3年前にラムズがLAに移転してからはここを本拠地にするNFLチームは無い。



セントルイスの旧市街も少し覗いてみる。魚の顔を付けた鉄製の楽団が妙にかわいい。



18世紀あたりの古き良き時代を感じさせる町並みが残されている。ミシシッピ川の水運拠点を支える倉庫や商店のビルが並んでいる。



年季が入った道路だ。敷き詰めたられた煉瓦の劣化や摩耗のせいで路面は隙間だらけで凹凸も半端ないけど、実に渋い。



マンホールも渋い。ST.LOUIS WATER DIVISIONの文字に過不足はなく、華美なところも一切無い。



ミシシッピ川の水運がトラック輸送にとって代わられても、セントルイスがアメリカのほぼど真ん中にあって交通の要衝であり続けているようだ。ダウンタウンには何本ものインターステートが近くを走っている。



限られた時間のため、セントルイスのごく一部しか見て回れなかったのが残念。スタジアムなどでウロウロしていたときに、GPS信号が不安定になり距離が加算されているが、実質は10kmほどのウォーキング。



やはりこの規模の町を堪能するには、5~6時間は欲しいところだ。再訪したいとは思うけど、その機会があるかどうかは、微妙だ・・・。