2019年3月2日(土)
河南町が「岩橋山名石めぐり」を開催中。寒い日が続いていたので挑戦を見送ってきたが、期間終了を数日後に控え、もう待っていられない。鉄道も無くアクセスが難しいうえに、奈良県境に聳える岩橋山にも登頂しなければならない。タフなウォーキングになりそうだ。
最寄り駅は、近鉄の富田林駅。駅前には楠氏遺跡里程標があって、駅のシンボル的な存在になっている。楠木正成といえば、河内長野市や千早赤阪村というイメージが強いけど、富田林との関係がそんなに強いとは知らなかった。
富田林からバスに乗って20分ほど、ようやく河南町にある「近つ飛鳥風土記の丘」にやってきた。10ヶ所あるうち最初のポイントがこのなかにある。近つ飛鳥博物館だ。
河南町の古いマンホールを発見。「河」の一文字。空前のマンホールブームで、各自治体が挙って絵柄やカラーのマンホールを導入しているなかで、この種のマンホールは逆に渋い。以前忠岡町でも「忠」の一文字のものを見たことがあるが、この種のマンホールも長く残ることないだろう。
広大な近つ飛鳥風土記の丘のなかには、一須賀古墳群と呼ばれる100基を超す6世紀を中心とした古墳が保存されているらしい。横穴式石室には石棺が残されているものも見られる。
園内には梅園もある。今日は今年一番とも思えるポカポカ天気。ピンクや白の花が一気に開花したのではないだろうか。立派なカメラを構えている人が多いが、どうやら梅ではなく、鳥を狙っているようだ。この園内には様々な野鳥が棲息しているようだ。
近つ飛鳥博物館の設計は安藤忠雄。安藤自身、この博物館を代表作と言っているらしい。塔らしきものが聳える階段状の建物は例によってコンクリート打ちっぱなし。築後25年も足った今でも、斬新であり、そして失礼ながら奇天烈だ。
以前も訪問したことはあるので、博物館見学は無しにして先を急ぐつもりだったのに、どういうことか今日は入場料無料だというので、つい長い時間かけて見学してしまう。
名岩めぐりの応募には、10ヶ所の指定ポイントでの写真が必要となる。自撮りか、あるいは、持ち物か体の一部が映り込んだ写真を撮影しなければならない。自撮りは小っ恥ずかしいので、被っていた帽子に現地訪問の証拠となってもらう。
近つ飛鳥博物館から、次のポイント平石城址まで、風土記の丘を突っ切っていくことにする。地図上は近道だと思ったのだが、随分なアップダウン・・・。急がば回れとはよく言ったものだ。まだウォーキング序盤だというのに、体力の消耗は激しい。
道に迷いながら結構歩いたように思えたけれど、平石城跡の標識によると未だ風土記の丘から抜けきっていない・・・。古墳群のひとつ、P支群という表記が見える。
小高い山の上にある平石城。楠木正成の赤阪城の支城のひとつだったところだ。それにしても、近つ飛鳥博物館も平石城も「名石」とは関係がない・・・。
平石城から平石の集落に向けて、落葉の積もる道をダラダラと下っていく。後に判るけど、平石の集落に降りるのは遠回りだった。次のポイントの磐船神社まではイイ感じのハイキング道が繋がっていたようだ。
平石の集落に降りてきた。向こうに見えるのが岩橋山。随分と高いし、いやそれ以上に随分と遠い。ホントにあの山の山頂まで行って戻ってくるのかぁ・・・。既に結構疲れているんだけど・・・。
再び小高い山に登って磐船神社にやってきた。猪除けだっただろうか、神社の周囲ばかりか、鳥居の前の参道にまで、電気柵が設置されていて、神社に入るためには高さ30cmほどの電気柵を跨いで入らねばならない。
磐船神社の本殿の裏には色々な奇岩、巨岩があって、祠になっているようなものもある。ようやく名石めぐりらしくなってきた。
磐船神社から次のポイント高貴寺に向かう。とても整備された道が続いている。ベンチもあるし、枝打ちもしっかりとされている。実際、落葉を清掃している方とも出合う。こんな道が平石城跡から繋がっていたようだ。
高貴寺。この辺りの寺では珍しい話ではないが、行基が創建し、弘法大師も修行したという古刹だ。そんな由来より、門前にある「写真撮るより、絵を描け、一句出せ」と書かれた警告に唸ってしまう。至極ごもっともだが、絵も俳句も難しいんだよね・・・。
さあ、決断の時が来た。金剛生駒国定公園と書かれた大きな石板がある。意を決して平石峠から岩橋山への道を登り始める。
遠回りだが、岩橋山への比較的緩やかな登りとなると思われる平石峠経由の道を7選んだけど、驚くことに、この道は府道704号だ。無論自動車など走れる道ではない。
平石峠までは、割とすんなりやってきた。しかし問題はここからだ。岩橋山まで80分とある。以前ダイヤモンドトレイルを歩いた記憶では、平石峠と岩橋山の間は、それほどの急坂ではなかったような気がするのだけど・・・。
5年ぶりのダイヤモンドトレイルだけど、この間にかなり整備が進んでいる。道標は充実し、ベンチなどの設置も行われている。
比較的緩やかな坂だと思っていたのだけど、そうは甘くない。延々と続く丸太階段に足が攣りそうな思いをしながら登っていく。
ヘトヘトになりながら、標高680mの岩橋山の頂上にやってきた。樹々に遮られているため眺望を楽しめる山頂ではない。ダイヤモンドトレイルの石板が埋め込まれている。ここが5つめの撮影ポイントだ。
さあ、残り5つのポイントこそが、岩橋山の名石めぐりの真骨頂。平石に直接下りていく急坂の途中に様々な名岩があるという。下りるのも大変だが、ここを登ってくる気にもならない・・・。平石峠経由で岩橋山に登ったのは正解だった。
あまりに凄い歴史ミステリーで、一度見て見たかった久米の岩橋。なんと、役行者が一言主神という神様を脅しつけて、この岩橋山から吉野の金峰山まで、大和盆地を超えて岩の橋を掛けさせようとした残骸だという。直線距離で20kmはあるぞ。
胎内くぐり。大きな岩の間に細い隙間がある。ちょっと見ただけで、くぐってみようなんていう気持ちは完全に失せてしまった。
胎内くぐりから、次の名岩に向かうためには、一度下りた道をまた延々と登っていかなければならない。なんて疲れる道だ。坂道には、丸太ではなく、黒い硬質ゴムのような階段が設置されている。きっと安価で施工も簡単な新しい工法なんだろう。
続いては鉾立石。絶壁のような岩が聳え立っている。
鍋釜石。どれが鍋やらどれが釜やら、さっぱり判らないけど、巨岩がゴロゴロと転がっている。
最後は人面石。う~ん、そう言われれば、そのように見える。
ポイントになっていた岩だけを淡々と紹介したけど、急坂と滑りやすい道に苦労しながらの下山だった。しかも下山道で道に迷うなど酷い目にあった。
疲れた・・・。とっても疲れた・・・。