2019年10月15日 ①
大磯駅からスタート。大磯町内には見どころが多いんだけど、今日は何としてでも小田原まで行かねばならない。寄り道の時間を少しでも確保できるよう、さっさと歩くようにしよう。
旧宿場の施設があったことを案内板は、平塚宿のものなどと比べるとカラフルな絵も描かれているなど、丁寧なつくりだ。和英双方の説明があるのも、世界中からの観光客を意識しているのだろう。
その一方で、路地の片隅に追いやられてしまっている古い石碑もあったりはする。
海水浴場発祥の地と書かれた標識が立っている。でも、そもそも人類は古来海浜で活動をしてきたはずで、漁業とか海運などばかりではなく、海で泳いだり浜辺で遊んでいたはずなのだ。何をもって海水浴の始まりとしているのだろうか。
新島襄終焉の地の石碑がみられる。小さな緑地になっているのだけど、この土地は同志社大学の所有地になっているようだ。
続いては「湘南発祥の地」の石碑。江戸時代にこの地に住んでいた中国人が中国の地名に肖って自らの住処を湘南と呼んだのが始まりとのことだ。
大磯には旧街道の松並木が多数残されている。もっとも巨木や老木は多くないので、江戸時代のものではないのかもしれない。
海岸近くを通る国道1号線の起伏はそれほど感じないのだけど、そこそこのアップダウンがあるようだ。1号線の標高を細かく測定した結果なのだろうが、津波浸水想定区間が小刻みに設定されている。
六所神社。平安時代、相模に赴任した国司が、近隣の6つの神社をここににまとめたらしい。月に一度のお参りの手間を嫌ったからだという。
実は大磯町では、アチコチと寄り道をしたんだけど、これについては「大磯めぐりスタンプラリー」として別にアップする。大磯町を出て二宮町に入る。
国道1号線を歩くこと2kmほど、面白そうなところを見つけることもできないまま二宮町を横断してしまい、小田原市に入ってしまう。
ゆるやかにカーブする海岸線に沿った道の向こうに小田原の街並みが見えてきた。その向こうに連なるのが箱根の山々のようだ。
JRの国府津駅に立ち寄る。御殿場線の起点となる駅とはいえ、4階建ての立派な駅舎ビルが建っていることに驚く。旅客エリアはさほど広くないのだけど、何に使っているのだろうか。
御殿場線を少し探索してみる。昭和9年に熱海の西に丹那トンネルが開通する前は東海道線だったのだから、そこいらへんの支線とは格が違うはずなんだけど、かつて東西を繋ぐ大動脈の一部だったとは思えない長閑な単線だ。
箱根登山バスのバス停が現れる。今日は小田原までのつもりだけど、いよいよ東海道五十三次最大のハイライト、箱根越えが近づいてきたことに心が躍る。
「酒匂中学校」と書かれた門柱があるのだけど、その奥にあるのは住宅ばかり。調べてみると中学校はこの先100mも向こうにある。疲れてくると足取りが遅くなって、逆に色々と面白いものをみつけがちだ。
酒匂川。江戸時代には橋がなく、急な大雨で川止めになると、4里も東にある大磯宿に戻るわけにもいかず、野宿して朝を待つ旅人も多かったらしい。そんな旅人たちが飲む酒の匂いが充ちていたことが川の名前の由来かと思ったけど、全然違うようだ。
いよいよ小田原宿に入る。江戸から歩き始めて、初めての城下町と宿場町がひとつになった町だ。
「もせるごみ」と書かれたポスターが目につく。小田原の方言のようだけど、「燃えるゴミ」という言い方もおかしいように思えてきた。「燃える太陽」のように、本来は「燃える」=「燃えている」で、「燃やすことができる」ではないような気もする。う~ん、日本語は難しい・・・。
小田原城からは1kmほども離れているところに、土塁の址が残る。相当広大で堅固な城だったようだ。信玄や謙信の侵攻を凌いだまでは良かったけど、秀吉に対しては残念な結果に終わってしまった。
小田原かまぼこ通り。城下町であり宿場町でもある小田原だけど、さらに水産加工業の集積地でもある。かまぼこ通りにはかまぼこだけでなく干物屋や鰹節屋などが軒を連ねている。
小田原駅のコンコースには、大きな小田原提灯が吊り下げられているのだけど、先日の台風の影響でボロボロになっていた。復旧するのも大変そうだ。
駅の西口には騎乗姿の北条早雲像。なぜか黄色い法被のようなものを着ている。よく見るとラグビーワールドカップで来日し小田原でキャンプを行うオーストラリア代表のユニフォームを着ているようだ。
華やかな早雲像とは対照的に、駅の東口近くには、ビルの陰に北条4代目氏政とその弟氏照の墓所がひっそりと佇んでいる。北条氏も早雲以降、氏綱、氏康と英傑が続き、続く氏政も凡庸では無かったものの秀吉との外交を誤ってしまった。
本日の歩行軌跡。う~ん、電車に乗っても、車で走っても同じような軌跡になるんだろけど、間違いなく22km歩いたのだ。
別に大磯町での史跡探索については「おおいそめぐり」と題して別にアップする。