2019年10月15日(火) ②
東海道五十三次ウォークの途中、大磯町で「おおいそめぐり」スタンプラリーに出くわす。さほどの寄り道にもならなそうだし、スタンプポイントには面白そうなところが多いので、可能な範囲でチャレンジしてみよう。
まずは駅近くにある元木下家別邸。大正元年に建設されたという東京の貿易商の別宅だ。三角屋根が可愛いお洒落な洋館は、今ではレストランとして活用されていた。
大磯町立図書館もスタンプポイントになっている。こちらも三角屋根だ。
大内館という旅館の離れになっている「蔵にて」という喫茶ラウンジ。関東大震災の直後に建てられた当時の最高強度を有する蔵らしい。開店前のせいかスタンプゲットならず。もとよりコンプリートは難しいとは思っていたけど、3ヶ所めで早くもギブアップだ。
次なるスタンプポイントは見るからに老舗の和菓子屋「新杵」。吉田茂も愛したといわれる饅頭や豆大福を購入するつもりだったのに、こちらは定休日。
吉田茂がしばしばロールスロイスでやってきたという井上蒲鉾店。吉田茂の好物はハンペンだったらしいが、名物のさつまあげを購入。これが予想を遥かにに超える旨さ。白身魚のすり身の旨味が口の中に広がる。追加購入してしまった。
鴫立庵。京都の落柿舎、滋賀の無名庵と並ぶ日本三大俳諧道場なんだそうだ。西行がこの地で詠んだ「心なき身にも憐れは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」に由来するという。
鴫立川のせせらぎと木立に囲まれた庭には、茶室、お堂、石仏などが静かに佇んでいる。しみじみとした趣が感じられる空間だ。
島崎藤村旧邸。大文豪としては以外に質素な住まいだ。「夜明け前」などには感銘を受けたものだが、この人のあまりにも罪深い私生活を知ってからは大嫌いになってしまった…。
せっかくなので大磯海岸を見に行こう。かつては住宅街がそのまま海辺に繋がっていたのだろうけど、今は高い堤防を兼ねていると思われる西湘バイパス道路が聳え立ち、町と海とを遮っている。
「大磯こゆるぎの浜」と呼ばれるところらしい。「こゆるぎ」とは「小揺るぎ」なんだそうで、かつて群発地震がよく発生したことに由来すると聞く。広く長い砂浜が延々と続いている。きっとこの風景は西行など昔の旅人が見たものと同じもののはずだ。
大磯から小田原まで続いている西湘バイパス道路。歩道も併設されていて、この道なら海を眺めながらのウォーキングを楽しめそうなんだけど、写真を1枚撮っただけで、本来の目的、旧東海道に戻る。
旧伊藤博文邸(滄浪閣)。工事中で敷地内に入れない。どうやら隣接する旧陸奥宗光邸、旧大熊重信邸、旧西園寺公望邸を合わせて再整備しようとしているようだ。それにしても凄い顔ぶれだ。政界の奥座敷とはよく言ったものだ。
工事の体制や工程を表示する立看板には、働き方改革への取り組みについての記載もあるのだけど、その横には伊藤博文、西園寺公望の2人の元首相が描かれている。
戸塚正商店。明治創業の米穀店だ。単に昔からあるお米屋さんというだけでなく、お米マイスターとして、イノベーティブな商品開発と販売手法で全国に商圏を広げているお店だ。
大磯城山公園内にある大磯郷土資料館。スタンプポイントになっているので寄り道したのだけど定休日。う~ん、歩留まりの悪いスタンプラリーだ。
「旧吉田茂邸地区」と書かれた門がある。吉田茂邸はずっと奥にあるようだ。
随分と広大な敷地のなかに邸宅がある。もとは吉田茂の養父が別荘として建てたものを相続したらしい。邸宅は2009年に全焼したものの、寄付金を募り復元され、今は大磯町の郷土資料館の別館として開放されている。
和装にトレードマークの葉巻とステッキを持った吉田茂の似顔絵パネルなども見られる。売店などもあって、吉田茂が愛したバラと有名な暴言に因んだ「バカヤローズティー」などという思わず苦笑してしまうようなお土産が販売されていた。
吉田茂の銅像が立っている。像は自身が日米平和条約を締結したサンフランシスコを向いているそうだ。
巨大なプールがあることで有名な大磯プリンスホテルもスタンプポイントになっているんだけど、定休日などでスタンプゲットできないところが多く、すぐそこに見えるのだけど立ち寄る気にならない…。
ゲットしたスタンプは全11個中わずかに6つ。定休日などは仕方ないのだが、吉田茂邸では立派な邸宅や庭に圧倒されて、ついスタンプを押すことさえ忘れてしまうという失態を演じてしまった。