灘区一万歩ロード(神戸)

2020年9月15日


神戸市灘区に「一万歩ロード」というものが設定されている。1万歩では区民の健康増進のための施策の一環で、名所旧跡を巡るような観光色とは無縁なコースのようだけれど、一度試しに歩いてみることにしよう。



JRの六甲道駅をスタート。灘区には阪神3駅、阪急1駅、JR2駅の計6駅があるけれど、灘区役所が近くにある六甲道駅が灘区の中心ということになるのだろうか。



六甲道駅のすぐ南に六甲道南公園がある。芝生が敷き詰められた駅前とは思えない広々とした公園だ。阪神大震災で大きな被害を受けたこの地域の再開発・再整備を行い、防災公園の役割も担う空間を創り出したところだ。ここが今回の一万歩ロードの起点となる。



六甲道駅から南下し、阪神の新在家駅にやってきた。名前のとおり、比較的新しい町のようだ。隣町の大石駅が古くからの酒蔵町であるのに対して、この駅の浜側には巨大な製鉄所が建っている。



市バスのバス停の一部に設置されている傘立てが悲しいことになっている。屋根を作るより、少々盗まれても傘を置く方がよほど安上がりだというお役所らしからぬ発想には大いに賛辞を贈りたい。もっとも一部の利用者のモラルの低さには憤慨を禁じ得ない。



新在家駅から大石駅方面に向かう。高層住宅群のなかにある広場には、酒樽をモチーフにしたモニュメントが見られる。その向こうには神戸製鋼の高い煙突が見える。新旧の産業が交差するところだ。



路面には、一万歩ロードのサインが埋め込まれている。これによると全長は4.6㎞。少々歩幅が狭い人でも一万歩には届かないように思える。



灘五郷のひとつ、西郷の「酒蔵の道」。昔の酒蔵らしい板塀が続いている。もともとは酒造メーカーが並んでいたのだろうけれど、今では板塀の内側はディスカウントスーパーや物流倉庫になっている。



日本酒の空き瓶のケースが何百(何千箱かもしれない)も積み上げられているところがある。ここを通るたびに写真を撮ってしまう。



酒蔵めぐりでは、古い酒蔵や資料館の写真ばかりを撮ってしまうのだけど、当然近代化された酒造設備もある。これは西郷を代表する沢の鶴の工場。何十本もの縦型タンクが行儀よく並んでいる。



灘区の真ん中を貫いている都賀川の河口。大した川幅ではないのだけれど、灘区にとっては自慢の川のようで、灘区は都賀川沿いのウォーキングを大いに推奨していて、今回歩く一万歩コースでも目玉的な扱いになっている。



阪神大石駅より北側になると都賀川はさらに立派に整備されていて、うまい具合に堤防が陽射しを遮るウォーカーに優しい親水遊歩道だ。しかし公園内の人工的な水路のようにあまりにも完璧すぎていて、自然のなかを歩いているような気がしない。



阪神間の河川に共通することだが、山が近いので大雨が降ると急激な増水が発生する。アチコチに増水を注意喚起する看板があり、最寄の階段までの距離が示されている。階段は100~200mおきにあるけれど、十分なのかなぁ…。危なっかしい古い猿梯子が残されている。



川の中に設置されている飛び石のためのブロックにはスリットが切り込まれている。災害で断水が発生した時には、ここにプレートを嵌め込んで生活用水を確保できるようにしているらしい。阪神大震災で得られた教訓から生まれた工夫だろう。



増水の注意喚起のための、電光掲示板やパトロールライト、スピーカーなどが数多く見られる。増水時には遊歩道はたちどころに水没する。写真の左側にあるプレートの黄色いところまでは「注意」、赤いところまで水が上がってようやく「警戒・危険」となっている。



阪急線を超えたところで都賀川は二つに分かれて遊歩道も途切れてしまう。右側は神戸大学方面からの六甲川、左側はカスケードバレイから続く杣谷川だ。



神戸といえばダイエーの本拠地であったり、今でも生協が多数の店舗を構えているところだけれど、活気溢れる(ディープとも言える)商店街も多い。この水道筋商店街もその一つだと思うんだけど、気のせいか以前より垢ぬけたような気がするぞ。



阪急王子公園駅前のアーチ橋の下で一万歩ロードはゴール。駅前に立つ一万歩ロードMAPの看板を見ると、区内にはいくつかの一万歩コースが設定されているようだ。



少々歩き足りないので、もう少し付近をウロついて帰ることにしよう。名物のパンダが近々中国に帰国することになった王子動物園。幸か不幸かコロナで帰国が延びているようで、引き続きパンダ観覧の予約は受け付けられているようだ。



王子公園からJR西灘駅を通り、先日歩いた神戸臨港線跡に建てられたと思われる超細長いマンションを眺めながら阪神岩屋駅方面を目指す。



阪神岩屋駅を通り過ぎ、シーサイドに建つ兵庫県立美術館周辺を散策する。撤去されたと思っていた美術館屋上のカエルがいつの間にか復活していた。岩屋駅の外壁塗装と同じく、黄色と緑のシマシマが個人的には不気味としか思えない…。



摩耶埠頭エリア。日本で初めてのコンテナターミナルを備え、一時は神戸港の主役だったところだけれど、今では随分と静かな埠頭になっているように感じる。



先日歩いた神戸臨港線の跨道橋を下から見上げる。架電設備も残っているため、まさか遊歩道であるとは思えず、鉄道のための橋にしか見えない。



阪神春日野道駅。三宮駅の隣というのに、日本一狭い、日本一危ない、と言われ続けてきた駅だが、15年ほど前に上下両線に挟まれた超狭小なホームは封鎖し、新たに2面のホームが設置された。地下化されて70年間、人身事故は無かったというのが奇跡のように思える。



本日の歩行軌跡。灘区をウロつくはずが、全9㎞のうち最後の2㎞ほどは中央区に入っていた。