2018年12月30日(日)
以前から気になっていた有馬街道と六甲縦走路に挟まれた蓬莱峡の探検に出掛ける。ちょっと寒いのと、ロクな地図が見つからないのが気になるが、まあ、西宮市の関係?と思われるHPでも紹介されているくらいのハイキングコースなので、まあ何とかなるだろう。
宝塚から有馬行の阪急バスに乗って「知るべ岩」なるバス停で下車。車内は座れないほどの人がいて、その大半はハイキングスタイルだというのに、誰も降りない。蓬莱峡ってそんなにマイナーなところなのかぁ?
ここから入っていいものだろうか、柵でガードされた道のあたりでウロウロするが、他に道らしきものが無い・・・。これは自動車の侵入を禁止しているだけで、歩行者は構わないのだろうと判断して、ガードレールの隙間から入り込む。
いきなり立派な橋が現れる。万里の長城橋なんて呼ばれているらしい。この先には民家も施設も無く、蓬莱峡があるばかりのはずで、どうしてこんな大きな橋があるのか理解できない。堰堤など治水工事の車両のためだとすれば立派過ぎる。
しばらく歩くと、ごく普通の林道となる。川に沿って歩いていけばいいだけなんだけど、誰もいないし、何の案内標識も見当たらないし、それにとっても寒い・・・。
蓬莱峡に入ってきた。。白い山肌は破砕された花崗岩が風化したものらしい。地質学的には、典型的な断層破砕帯とかバッドランド(悪地)と言われるそうだ。
沢を渡ったり、河原を歩いたりしながら、川の上流に進んでいく。風の冷たさが半端ない。
ゴツゴツした石の河原を上流に進み、いくつもの堰堤を超えていく。水の流れがほとんど無いので歩行には問題ないけれど、大雨が降ったりしたら、このあたりの光景は一変するに違いない。
スタートしてから、さほど登ったとは思わないが、なんと積雪が見られるようになった。まだまだ上に登らなければならないのに、大丈夫だろうか・・・。
周囲の風景はますます荒涼感を増してきた。座頭谷と呼ばれるところに入ってきたようだ。昔、この地に迷い込んだ座頭が道に迷って行き倒れたという話があるらしいが、健常者だって危ないぞ。
寒い中を頑張って歩いてきたものの、座頭谷をどこから出ればいいのかが判らない。急坂をよじ登って上を走る県道に出ればいいのだけど、激しく風化した岩がボロボロと崩れ落ちる坂に腰が引けてしまう。
グーグルマップでは、県道まで200mほどしかないのだが、どこからどう行っても凄い急坂。地図の等高線の間隔もメチャクチャ狭い。
無理すれば登れなくもないのだけど、後戻りが必要となったときに降りることができそうにない。降りることができない坂は登ってはならない。過去の滑落から得た教訓だ。
事前に調べていたところでは、所々にあるテープを辿っていけばいい、とのことだったけど、なかなかテープが見当たらない。
黒沢明の「隠し砦の三悪人」のロケ地となったという、岩だらけの殺伐とした荒地で、道を見失って一人座り込んでしまう。悩んだ末に、撤退を決意。県道は近いはずだが、これ以上はヘッポコハイカーの単独行では危なすぎる。しかも雪も降ったきた。
帰るとなると元気になってしまうのが不思議なところ。しかも天気も良くなってきて、来た道を呑気に下っていく。
てなことをしていたら、間違って違う沢に入り込んだりもして、ちょっと慌てたりもする。
バス停に近づいてくると、かつては人が住んでいたような気配を感じる。どうやら蓬莱峡温泉というのがあったらしい。この円形の縁石は、池か噴水の残骸だろうか。
どうやって運んできたのか、粗大ゴミなども放置されている。苦労してここまで運んでくるくらいなら、もっと合法的で楽な廃棄方法があるだろうに。
知るべ岩のバス停に戻り、有馬街道を通って宝塚まで歩いていくことにする。寒い中を苦労して歩いたのだけど、ここまで距離にすると5kmほどしか歩いていないのだ。
福知山線の鉄橋。何という川かわからないけれど、蓬莱峡から発した川は、このあたりで武庫川に合流している。
最近、福知山線の廃線歩きが、ようやくJRでも認められて、しっかりとした案内標識もできている。これまではJRが安全が確保できないとのことで、ヤミのハイキングコースとして黙認され続けてきたところだ。古いトンネルや鉄橋を歩くことができるワクワク・ドキドキのハイキングが公認されて本当にうれしい。
テクテクと歩いて宝塚駅に到着。JRと阪急が道ひとつ挟んで向かい合っている。
本日の歩行軌跡。大半は知るべ岩から宝塚までの帰路ということになる。
知るべ岩から蓬莱峡往復の歩行経路もつけておこう。
不完全燃焼に終わったけど、勇気ある撤退だったと自己評価している。季節の良いときに再挑戦しようとの思いも頭を過るけど、今の体力や技術では手に負えそうもない。それに、あのボロボロと崩れる岩肌は季節とは関係ないはずだ