西光寺山(丹波篠山市)

 2020年12月8日


丹波篠山市と西脇市の市境に聳える西光寺山に登る。いくつかある登山路のうちから、丹波篠山市の今田本荘からのルートで出発だ。(写真は下山路で撮影したもの)



しばらくはススキが茂る平坦な野道を進む。正面に見えるのが西光寺山だが、単純往復では面白くないので、まずは西光寺山の南側(写真の左側)に並ぶ大峰、加東神山、洞ヶ山の三山を制覇していこう。



加東神山に向かう道はマイナールートとは聞いていたが、なかなかの荒れっぷりだ。進路をYAMAPで確認しながら、赤いテープを探しながら林の中を分け入っていく。



急斜面が続くうえに、苔むした岩、ゴロゴロ転がる石、そしてと倒木と枯れ枝が散乱する路面でとても歩きにくい。谷筋のため眺望もなく、進路を見失いがちな道(道とは言えないようにも感じる)が続く。



急坂を登り切ったところにある木に、元々は標札だったと思われる錆びついた金属板が括り付けられている。既に大部分は腐り落ちてしまっているが、残された部分に「跡」の文字が読み取れる。一体ここに何があったのだろうか…。



登り始めてしばらくは進路が判らず苦労したが、途中から蛍光ピンクのリボンに随分と助けられた。木の幹に巻かれたテープ(写真前)より、枝にぶら下げられたリボン(写真後)はよく目立つ。まだ真新しく、取り付けられて1日ほどしか経っていないように感じる。



スタートから1時間半、うち1時間は急坂を登り続けてようやく標高648mの加東神山(かとうこやま)に到着。眺望はないけれど、加東市最高峰を示すイラスト入りの山頂標がある。山名は数年前に市民公募で決まったらしいが、それ以前は名無しだったのだろうか。



加東神山から北にある西光寺山ではなく、まずは南にある大峯を目指す。何もない山とはわかっているけれど、YAMAPの登頂山数を稼ぐことを目的とした寄り道だ。こんな目的が本来の山の楽しみ方から逸脱していることは判っているのだが…。



先日登った虚空蔵山でも見られた直立した堆積頁岩?がここでもアチコチに露出している。虚空蔵山とは直線距離で10㎞も無いのだから、この山系も同様の地殻変動を経て今日に至っているのだろう。



赤く小さな実が多くみられる。葉の上に実があるので千両だろうか。万両と千両の見分け方は最近知ったけれど、他にも百両、十両、さらには一両といった同様の実を付ける植物があるらしい。とても覚えられない…。



加東神山から15分ほど歩いて大峯(618m)に到着。聞いていたとおり、眺望もベンチも無い殺風景な山頂だ。山頂を示す標識も質素な木札だ。山頂に滞在すること数十秒で歩いてきた道へと引き返す。



再び加東神山を通過して、洞ヶ山(672m)にやってきた。ここもまた眺望は無い。そればかりか山頂碑は見当たらず、慰霊碑が立っているだけ。「西光寺洞ヶ山諸死精霊」と刻まれている。



洞ヶ山から西光寺山に向かう下り道がとんでもない激坂。落ち葉のせいもあって、滑りまくる。か細いロープにしがみつくように滑り落ちるように下っていく。予定していた4座のうちの3つを制覇し少々緩んだ気持ちが一気に引き締まる。



急な下りを終ったあとは、杉林のなかの緩やかな登り道が続く。木が細くて林の密度が低いのでこれまでの道よりも随分と開放感がある。



最後にちょっと岩が露出した道が登場。このあたりの岩は頁岩状にはなっていない。西光寺山の山頂はすぐそこだ。



歩き始めて2時間半、今日登頂を予定していた4山の最終峰となる西光寺山山頂(712m)に到着。山頂標識は見当たらないが、地面には陶器のプレートが埋め込まれている。





これまでの3山と異なり、眺望は開けている。登ってきた丹波篠山市の今田の集落が見渡せる。残念ながら雲は少ないのだけれど、霞がかかっているようで、遠方の山々はあまり見通せない。



山頂には小さな祠と案内板と東屋がある。偶然出会った加東市からのハイカーさん2人と東屋で一緒に弁当を食べながら、山の話で大いに盛り上がる。気が付けば1時間以上もお喋りしていたようだ。



いつもは何時間も無言が続くソロ登山なので、久しぶりの長話が嬉しくてお2人のハイカーさんにはご迷惑だったかなぁと反省しつつ、今田方面からのメインルートで無難に下山していくことにする。



メインルートとはいえ、道は狭く、木の枝が頭上にまで伸びているので、かなり閉塞感を感じる道だ。



もっとも、路面はさほど荒れてもいないし、勾配も思っていたよりは緩やかで、歩きやすい。念のためYAMAPでたびたび道を確認しながら歩いていくが、迷いこむような分岐も見当たらなかった。



炭焼窯が現れた。道々クヌギ系の木が多くみられたが、それらを焼いているのだろう。さほど古い窯とも見えず、今も使っているようにも見える。



登山口にある東屋には、西光寺山に関する古い伝承が紹介された看板が据えられている。西光寺山山頂に住んでいた高僧の金の鶏を村人が禁を破り盗み見してしまう話だ。高僧は旅だったが、今も金の鶏が西光寺山のどこかにいると伝えられているそうだ。



本日の歩行軌跡。南西から順に大峯、加東神山、洞ヶ山、そして一番北が西光寺山だ。累積標高は615m、歩行距離は7.7㎞。