稚児ヶ墓山(神戸市北区)

 2020年12月17日


全国各地から豪雪被害のニュースが入っているけれど、神戸市内ならまだ大丈夫だろうと、稚児ヶ墓山に出掛けてみる。六甲山系の北側に位置する丹生山系のなかで、以前登ったシビレ山、丹生山、帝釈山の西に連なる山だ。



稚児ヶ墓山の最寄駅は神戸電鉄箕谷駅。高速道路の大きなインターチェンジがある反面、駅は鄙びたローカル駅の雰囲気だ。雪こそ降っていないが、かなり寒い。やはり六甲山の北と南ではかなり気温が違うようだ。



柏尾台ニュータウンの北端にある登山口から稚児ヶ墓山へと登るのだけれど、厄介なことにこのニュータウンにはバスが通っていない。やむなく箕谷から2㎞以上も歩いて登山口を目指すが、前方に稚児ヶ墓山が見えてきた頃には、既に寒いなかを歩くことに倦んできた。



既に午前10時を過ぎているというのに、ニュータウンの歩道には、霜が残っている。もう少し暖かい恰好で来ればよかった、念のため軽アイゼンも持って来ればよかった、いや今日は止めておいた方がいいかも、などと考えながら登山口へと向かっていく。



ニュータウンの北端にある大塚山北公園の横に登山口はある。不安はあるけれど、空は晴れているし、ここまで来たんだから取り合えず登っていこう。



しばらくは、落ち葉が積もる雑木林のなかののんびりとした道が続く。



ところが次第に石がゴロゴロと転がる歩きにくい道になってきた。勾配も少しずつ急になってきたぞ。



登れば登るほど路面の石の量は増えてくるうえに、大きな石になっていく。谷道のため、眺望は全くなく、寒々しい道だ。



歩いているのは道というより、涸沢のようだ。石ばかりか木の枝や幹がゴロゴロと転がっている。山の上から押し流されてきたものだろう。



肘曲りと名付けられた三叉路にやってきた。ここから西にある稚児ヶ墓山に登頂し、再び肘曲りに戻って、次は東にある花折山と金剛童子山を経て神鉄大池駅に下りるつもりだったけれど、どうしたものか…。早くも寒さのため心が半ば折れかけている。



とにかく早く石ゴロゴロの沢道を登り稚児ヶ墓山まで登頂したいものだが、道はますます荒れたものになり、足取りは重い。



積雪はないけれど、アチコチに霜が付いている。滑るほどのものではないけれど、軽装備でやってきてしまっただけに、なんだか心細い。寒さも相変わらずだ。



丹生山系縦走路の標識が見られる。健脚者は、シビレ山から金剛童子山(あるいはその先)まで一気に歩きとおすようだが、とても真似できるものではない。



沢道を脱出し、尾根道によう頂上に近づくと、勾配はさらに急なものになりロープが張られている。登りでは不要だが、下りではロープがあるか無いかで大違いのような坂だ。



山頂の手前に、稚児ヶ墓がある。秀吉の三木城攻略の際に犠牲になった多くの子供たちがここに葬られたという。当時、墓に植えられたという椿の木が、再現されている。



予想を上回る疲労を感じながら、ようやく稚児ヶ墓山の頂上に到着。標高596mの頂上には三角点はあるものの、山頂碑のようなものは見当たらない。十字架のような木組みがあるが、おそらく元々はここに山頂を示す標識が掲げられていたのではないだろうか。



山頂碑は無いけれど、稚児ヶ墓山の説明板があるが、「この沢を登りつめたところが稚児墓山です」と書かれていて、明らかに頂上での説明文ではない。おそらく柏尾台の登山口か、肘曲りあたりにあった看板をそのまま頂上に移設したのではなかろうか。



しばらく休憩していると、汗が引き、ますます寒さが身に沁みてくる。花折山方面に歩くことは諦めて、大回りになるものの双坂池を経て箕谷に戻ることにしよう。落ち葉に埋もれた急坂と狭いトラバースに苦しめられながら注意深く下山していく。



しばらく進むと、登りと同様、枯れ沢歩きが始まる。なんとも厄介な道だ。



双坂池の登山口まで下りてきた。稚児ヶ墓山に向かう道や、帝釈山に向かう道が交差しているところで、複雑な標識が掲げられている。複雑なだけではなく、腕木が折れたり曲がったりしていて、あまり信用できないような標識になっている。



国道428号線のすぐ近くにある双坂池。ここまで下りて来れば、あとはダラダラと国道を歩いて戻るだけのはずだ。



ある程度覚悟はしていたけれど、国道の路肩を歩くというのは気分のいいものではない。運転手の「こんなところを歩くなよ」という声が聞こえそうだ。歩きたい訳ではないけれど、他に歩けそうな道がないのだ。



トンネル歩き。自動車専用とも歩行者通行禁止とも書かれていなかったので、入っていたけど、気分のいいものではない。



本日の歩行軌跡。歩行距離は10㎞だけれど、半分以上は舗装道を歩いていたように思う。予定していたコースを断念し、累積標高も530mしかないけれど、なんだかとても疲れた。