竜山&宝殿山(高砂市)

 2020年12月19日


六甲山方面に出掛ける予定だったが、標高500m以上では積雪があると聞き、急遽予定変更。積雪の心配が無さそうな石の宝殿で有名な高砂市の生石神社がある宝殿山と竜山方面へと軽いハイキングに出掛けることにする。



まずは長い階段を登って宝殿山の中腹にある生石(おうしこ)神社に向かう。日本三奇のひとつに数えられている石の宝殿と呼ばれる巨大な石造物がご神体だ。



久しぶりに石の宝殿にご対面。巨大なサイコロのような立方体の石造物だ。資料によれば、横6.5m、高さ5.6m、奥行7.5m。重さは推定500トンだという。



天の浮石とも呼ばれているように立方体の巨石があたかも浮き上がっているように見えること、いつ、だれが、なんのために、この石造物を造ったのかは不明であること、巨石の下に溜まった水は旱魃時にも干上がらないなど、不思議がいっぱいだ。



素人目にも判るのは、この石造物がどこかで造られたものを持ち込んだのではなく、もともとの岩盤をくりぬいて造られたものだということ。もともと一体化していたはずの岩盤が石の宝殿を取り囲んでいる。



上から見ると、石の宝殿は単純な立方体ではなく、後方に奇妙な出っ張りがあることが判る。まるで昔のブラウン管テレビのような形だ。実は未完成だ、とか、どこかに持ち出すつもりだったとか、多種多様な説が唱えられているけれど、結局何ひとつ判っていない。



石の宝殿をくりぬいた宝殿山という岩山を登っていく。岩山自体に階段が穿たれている。



生石神社から数分で宝殿山の頂上まで登ってこれる。山全体が巨大な一枚岩になっているのだが、高御位山や紅山など、この付近に岩山は多いけれど、これほど頂上が広々とした平坦な岩山は珍しい。頂上には大正天皇行幸碑が建つ。



高御座山を中心n馬蹄形に連なる山々は、播磨アルプスと呼ばれ、その大半は岩稜だ。馬蹄形の連山を縦走したのはもう何年も前のことだ。まだ歩いていない道もあるので、近いうちに登ってみたいと考えている山のひとつだ。



宝殿山の西に伊保山という低山がある。この山にあるゴリラ岩(その名のとおりゴリラの横顔に似た巨岩)を見たいのだけれど、道が判らない…。伊保山方面に向かって宝殿山を下る急坂を行こうと思ったけれど、伊保山に続くのだろうか…。



地図も無いなかで伊保山に向かうことは一旦諦め、手元にある地図(石の宝殿竜山めぐり)で紹介されている竜山にまず向かうことにする。一旦宝殿山を下り、一般道を南へと進んでいく。



宝殿山と竜山の間には、大きな採石場がある。竜山石と呼ばれる良質の凝灰岩の産地として知られるところだ。国会議事堂や皇居にも使用されている石材なんだそうだ。採石場があるため宝殿山から竜山に直接歩いていけないのかもしれない。



竜山の南まで一般道でまわりこんだところに、ひっそりと竜山登山口がある。



石が多いことは予想どおりだけれど、このあたりの山ではあまり見かけることの無いシュロの樹が多く見られることは意外だ。やはり高砂は暖かいのだろうか。



「タヌキの穴」と書かれた木札がある。確かに石の下に隠れて小さな穴があるが、ホントにタヌキの棲み処なんだろうか。山でタヌキには出会ったことはあるけれど、どんなところに住んでいるのかなんて考えたことも無かった。



大きな岩場もあるけれど、子供たちでも問題なく登れる山のようだ。地図には特徴的な岩がいくつか紹介されているけれど、どれがどれなのか、よく判らない。「ジャイアント馬場岩」という気になる岩も地図には載っているけれど、判らず終いだった。



ちょっとした岩稜歩きも楽しめる。大した難路でもないけれど、しっかりとロープも張られていて、誰でも安心して歩き回れるようになっている。



写真奥が竜山の山頂。360度のパノラマが広がる山頂の手前には「魚崎構居跡」の碑が立っている。構居とは、早い話が山城のようなもののようだ。秀吉の別所攻めの際に生石神社とともにこの城も焼き討ちされたらしい。



竜山山頂から北に向かって笹などの背の低い草木が茂るなかを進んでいく。岩山の特徴だと思うのだけれど、高い木はほとんど見られない。



竜山にはいくつもの古墳があるようだ。4世紀後半に建造された前方後円墳らしいが、笹が生い茂っていてその姿は確認できない。さらに文化財保護のため立入は遠慮してくれとの看板が立っている。



古墳だけでなく、このエリア全体が「竜山石採石遺跡」として国の文化財に指定されている。そのため、この地にある石ひとつ持ち出すことも動かすことも禁じられているようだ。



竜山の西端の岩肌に「観濤處」の三文字が彫られている。姫路藩家老河合寸翁が彫らせたものだという。当時はここから高砂の浜辺が一望できていたのだろうけれど、今では工場が立ち並んでいる。



竜山を下りて、あらためて伊保山への道を探したが、さっぱり判らない。そればかりか、伊保山のかなりのエリアは採石場になっていて、容易に登山できるような雰囲気ではない…。ゴリラ岩との対面は後日のこととしよう。



(おまけ)
生石神社の休憩所に、モンスター?の看板が立っている。東播磨の5市町村で開催中のデジタルスタンプラリーのスタンプポイントになっているようだ。スタンプラリーもデジタルばかりとなってきて、最近はめっきり参加意欲が無くなってきた…。



本日の歩行軌跡。伊保山を諦めたこともあって歩行距離は4.2㎞、累積標高は202mと、軽いハイキングに終わってしまった。